全領域異常解決室
第10話 その答えは、神のみぞ知る―悠久の時を超えた絆
12月18日(水)放送分
西森博之さんの人気ヤンキーマンガを映画「銀魂」などの福田雄一監督が実写化する連続ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系、日曜午後10時半)が放送中だ。「ずっと連ドラでヤンキーものをやりたかった」と語る福田監督には、「テレビを家族で見てほしい」という思いがあった。あえて今「今日から俺は!!」を実写化する理由とは……。
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「今日から俺は!!」は、1988~97年にマンガ誌「増刊少年サンデー」(小学館)と「週刊少年サンデー」(同)で連載された西森さんのマンガが原作。80年代初頭を舞台に、金髪パーマの三橋貴志(賀来賢人さん)と、“トンガリ頭”の伊藤真司(伊藤健太郎さん)のツッパリコンビが、他校の不良たちとけんかしたり、騒動に巻き込まれたりする姿を描く青春コメディー。
ドラマ「今日から俺は!!」は、原作のファンだったという日本テレビの高明希プロデューサーが福田監督に連ドラ化をオファーしたことから始まった。福田監督は、「日曜日の午後10時半という、ファミリーがテレビを見る時間帯に『ヤンキー』という題材は非常にマッチするのではないか」と考えたという。
福田監督は今でこそ監督としてのイメージが強いが、元々は「笑っていいとも!」や「いきなり!黄金伝説」などのバラエティー番組の放送作家を務めてきた。そのため「家族でテレビを見てほしい」という思いが強いという。そんな福田監督にとって「ヤンキーもの」は、「家族の会話を生む」題材だった。それは、山田孝之さん主演の「勇者ヨシヒコ」シリーズ、柳楽優弥さん主演の「アオイホノオ」で福田監督が得た「かすかな成功体験」に通じている。
「『ヨシヒコ』は深夜ドラマでしたが、リアルタイムで見なくてもいいので、録画して休日にお子さんと一緒に見てくださいとアピールしていたんです。(作品のモチーフとなっている)『ドラゴンクエスト』というソフトは、子供がきっと好きだろうと考えていて、結果的にとても受け入れられました」と振り返る。また、40~50代のドラクエ世代である親が、ドラクエを知らない子供たちに教えるというやりとりも生まれた。
そこで福田監督は「子供は、自分のレベルに合わせてもらうよりも、ちょっと分からないものに興味があると確信した」という。また、子供を持つ親の世代が熱狂した「エヴァンゲリオン」を手がけた庵野秀明さんが登場する「アオイホノオ」も同じように家族がターゲットだったと明かす。
そして、今回の「今日から俺は!!」に登場する短ラン、長ランをまとったツッパリたちは、子供たちや10~20代の若者にとって「ファンタジー」だと福田監督は表現する。「とはいっても、ああいう格好をしたツッパリたちが、僕たちの学生時代にはそこら中にいた。ドラマを見て、僕らの世代が10代や20代の子供たちに『こういう時代があってさ』と話ができるとしたら、それはとてもハッピーなこと。だからこそ、現代のヤンキーものではなく、あの時代のヤンキーものを描く必要があった」と語る。
原作の「今日から俺は!!」は、ヤンキーマンガの中でも激しい暴力の描写は少なく、ギャグ要素も多い作品だ。だからこそ、福田監督は「けんかのシーンもありますけど、前面に出てくるのがコメディーだったので非常にやりやすいと感じた。やりたいという気持ちをそそられた」という。連続ドラマ化する上でも「これならお母さんが子供にも見せていいものだと判断してくれるんじゃないか」と考えた。
また、作中で描かれる「友情や普遍的な人間関係が素晴らしい。あの時代の友情を描く作品は、今の時代に確実に欠如している」と話す。中学時代の福田監督は、ヤンキーではなかったものの「ヤンキーたちに試験前に勉強を教えていた」経験があると明かし、「あいつらは本当にピュアなんです」と笑顔で振り返る。
「僕は仲間とつるむという感覚がなかったのですが、あいつらは仲間を大切にするし、僕なんかよりよっぽどハートウオームなんです」と話し、そんな当時のヤンキーたちのピュアさもドラマで表現したいという。
「テレビを家族で見てほしい」という思いと、“あの時代の友情”を描きたいという思い。そこには、福田監督の「テレビマンとしての希望を捨てたくない」という願いも込められていた。
「僕らの世代は、テレビは家族で見るものでした。ドリフターズやひょうきん族といったお笑い番組、ドラマの『噂の刑事トミーとマツ』もみんなで楽しく見ていたし、家族で一緒に見るからこそ感じられるものもあった」と振り返る。
「今のゴールデンタイムは、子供は見なくてもF2(女性の35~49歳)、F3(女性の50歳以上)層が見てくれたらいいんじゃないかと、悪いターゲットの絞り方をしている。でも、テレビというものが諦めかけている『家族で見てほしい』という希望が僕の中にはいまだにあるんです。まだ、テレビマンとして諦めたくないんです」と力を込めた。
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