西郷どん:久光・青木崇高はMVP級の活躍 名を上げた男たち…

大河ドラマ「西郷どん」で島津久光を演じてきた青木崇高さん (C)NHK
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大河ドラマ「西郷どん」で島津久光を演じてきた青木崇高さん (C)NHK

 俳優の鈴木亮平さん主演のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」が16日、ついに最終回を迎える。今年1月から放送。一部視聴者から「スイーツ大河」などと言われることもあったが、主人公・西郷隆盛役の鈴木さん、西郷の盟友・大久保利通役の瑛太さんの両巨頭を中心に、小栗旬さんや玉山鉄二さん、松田翔太さんらキャスト陣の熱演は間違いなく目を見張るものがあった。中でもMVP級の活躍を見せたのが、島津久光を年間を通じて演じ続けた青木崇高さんだ。そんな青木さんをはじめとする「西郷どんで名を上げた男たち」を、ファンの声と共に紹介する。

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 ◇青木崇高の怪演に顔芸… SNSは“久光劇場”に沸いた

 「西郷どん」の前半戦を牽引(けんいん)した島津斉彬(渡辺謙さん)の“地ごろ(田舎者)な弟”として、ドラマには第1回「薩摩のやっせんぼ」(1月7日放送)から登場。今や鈴木さん、瑛太さんをも上回る最古参となった青木さんが、その独特の存在感を発揮し始めたとされるのが、斉彬の退場後、久光が“国父”として藩の実権を握った第20回「正助の黒い石」(5月27日放送)から。

 それまでも「ひさみちゅ」の愛称で、ひそかな人気を集めていた青木さん。第20回を境に、異なる怪演を披露し始める。感情がそのまま顔に出る、または感情を押し殺そうとしても顔に出てしまう、人間臭さも久光の魅力。時にその喜怒哀楽の激しさは“顔芸”ととらえられ、「久光の顔芸www」「久光様の顔芸、エスカレートしてる」「青木さんの怪演に再び笑う」といった声がファンから上がるなど、度々ネットをにぎわせてきた。

 そんな青木さんの熱演が最高潮に達したのが、第40回「波乱の新政府」(10月28日放送)から第41回「新しき国へ」(11月4日放送)にかけて。第40回では久光が大久保に見捨てられるシーン、第41回では久光と西郷の最後の対峙(たいじ)が描かれ、どちらも視聴者の高い注目を集めた。

 中でも第41回における西郷との最後の対峙は、久光が新しき国造りに迷う西郷を「こん、やっせんぼ!」と一喝し、さらに「やり抜け。最後までやり抜くんじゃ。やって、やって、そいでも倒れた時は、こん薩摩に帰ってこい」と叱咤(しった)激励するまさかの展開。

 「こん、やっせんぼ!」は青木さんのアドリブだったことが後に明かされた。「うおおお! かっけええ!!」「かっこいいよ、ひさみちゅ」とこの時も視聴者は興奮。かつて久光が、何かと西郷を目の敵にしていたことから「久光公が長い長いツンツン時期を経て、唐突にデレてる」「国父様がデレた!」「久光公、ついにデレたか」「最大のデレを見せてくれたひさみちゅ。ありがとうひさみちゅ」といった反応も多く、SNS上は“久光劇場”に大いに沸いた。

 ◇熊吉・塚地はヒロイン?の一人 「癒やされる」の声多数 アイドル人気も

 そんな青木さんと並ぶ最古参として「西郷どん」になくてはならない存在となったのが、熊吉役の塚地武雅さん。

 「スイーツ大河」と言われるゆえんに、西郷のファミリーパートが多いことが挙げられるが、その分、西郷家の使用人・熊吉が随所に活躍。たたずまいは大河ドラマの登場人物というより“ゆるキャラ”に近く、幕末から明治にかけての動乱の時代にあって「見るとほっこりする」「癒やされる」などの意見が圧倒的に多かった。

 明治編に入るまで衣装は一着のみ。あまりの見た目の変わらなさに「熊吉、不老不死」説や「熊吉、妖精」説も持ち上がったが、逆に言えば西郷の変化を見せる合わせ鏡のような役割も。その点については塚地さん自身も以前「僕(熊吉)が変わらずにいればいるほど、若さぁ(西郷)の変わりようがより分かる」と前向きに語っていた。

 塚地さんが出演した薩摩川内市のトークショーには「熊吉」と書かれたうちわを手にしたファンも駆けつけ、ちょっとしたアイドル人気を獲得。塚地さんも「熊吉が出てくると『癒やされる』とか『“ヒロイン”の一人なんじゃないのか』って言ってくださる方も多いらしくて、最後まで大きな事件が起こりますが、若さぁと一緒にいる熊吉を見て、ほっこりしてもらえるのが理想です」と視聴者にメッセージを送った。最終回の演技も見逃せない。

 ◇時代劇俳優の可能性示した井戸田潤 「意外としっくり」「表情が自然」

 最後にもう一人。時代劇俳優としての可能性を示し、名を上げたのが、桂久武役の井戸田潤さんだ。井戸田さんといえば「あま~い」のフレーズや人気キャラ「ハンバーグ師匠」のネタで知られるが、ドラマでは(当たり前だが)そんな部分をおくびに出さず、好演を見せている。

 かつら姿をはじめ、時代劇の扮装(ふんそう)も板についた感じ。声の通りも非常によく、時にイケメンにすら見えてしまう瞬間も。「期待してなかったが意外としっくりとはまっていて、演技がうまいと思ってしまった」「たたずまいや表情が自然なのに印象に残る」と大河ファンにいい意味での驚きを提供。「脇でしっくりハマる人にはなれると思う」「バイプレーヤーとしての需要はあるのでは」と期待する声も少なくない。

 そんな井戸田さんを取り上げ「時代劇への出演オファーが相当数、舞い込んでいる」といった内容の記事が出たことも。こちらは井戸田さん本人が「マネジャーさんに確認したら、『1本もオファー来てない』って言われた」と否定してみせたが、決して可能性はゼロと言い切れない実績を、この「西郷どん」で作ったことは間違いない。俳優・井戸田潤の今後の動向にも注目だ。

 「西郷どん」は大河ドラマ57作目で、西郷隆盛の生涯を描く。最終回「敬天愛人」は16日午後8時から放送。

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