俳優の瑛太さん主演の時代劇「闇の歯車」(山下智彦監督)が19日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほかで期間限定上映される。原作は藤沢周平の同名サスペンス時代劇長編。一獲千金の夢を見て現金強奪に手を染める男たちの姿が描かれている。主人公の町人・佐之助を演じる瑛太さんと、謎の男・伊兵衛を演じる橋爪功さんの緊張感あふれるやり取りや対峙(たいじ)シーンには思わず引き込まれる。
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江戸・深川が舞台。闇の世界で日々の糧を得ていた町人・佐之助は、行きつけの酒亭おかめで謎の男・伊兵衛からもうけ話の誘いを受ける。その場では席を蹴るが、ふとしたきっかけで一緒に暮らすことになった女性、おくみとの未来に希望を抱く佐之助は、伊兵衛の誘いに乗ることを決意。伊兵衛のもうけ話は、さる商家への押し込みで、仲間は伊兵衛同様、同じ酒亭でいつも顔を合わせていながら話したことのない男たちだった。佐之助らは、魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめくといわれる逢魔が刻(おうまがとき)に犯罪を決行するが……というストーリー。
時代劇専門チャンネルの開局20周年記念作。全国5大都市を中心に期間限定上映されるほか、同チャンネルで2月9日午後8時に放送される。緒形直人さん、大地康雄さん、中村蒼さん、蓮佛美沙子さん、高橋和也さん、石橋静河さんらも出演。
時代劇で見慣れた義理人情ではなく、サスペンス色が濃い。裏社会で生きるが情にもろい一面もある佐之助と、物腰柔らかだが老獪(ろうかい)で時折鋭い目つきを見せる伊兵衛。瑛太さんの時代劇といえば昨年の大河ドラマ「西郷どん」での大久保一蔵役が記憶に新しい。今回は町人役だが、たたずまいと表情で孤独と悲しみを抱える佐之助を見事に演じている。
佐之助と伊兵衛以外の3人も、無骨な浪人に気弱な若旦那、前科のある酒好きな老人……と皆個性的だ。犯罪に手を染める背景や抱えている問題もそれぞれ描かれているため、押し込みの後、一人一人の運命が狂っていく姿には胸が痛くなった。(河鰭悠太郎/フリーライター)
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