世界最高峰のLPGA女子ゴルフツアーの2019年シーズンが幕を開け、2月からアジア・オセアニアシリーズが始まる。WOWOWでゴルフ番組で解説者を務めている服部道子選手が、前シーズンに世界ランキング7位という華々しい結果を残した畑岡奈紗選手、注目の高校生プロ・山口すず夏選手ら日本の選手たちの期待値を分析した。

あなたにオススメ

“あの頃”のジャンプ：実写ドラマ化も話題「ウイングマン」　1983年を振り返る

　初戦の「ダイヤモンド・リゾーツ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」は新規トーナメントとして開催。プロアマ形式で行われ、 プロは過去2シーズンの優勝者のみが出られるスペシャルなもの。 日本勢からは畑岡選手のみが出場し、 26人のトッププレーヤーがハイレベルな技術を見せた。

　――LPGA女子ゴルフツアーが始まりました。新しいフォーマットでの大会でしたが、振り返ってみていかがでしょうか？

　スポーツ界のレジェンドなどセレブリティーたちと選手が一緒にラウンドするという、LPGA女子ゴルフツアーでは初めてのイレギュラーなプロアマ形式でしたが、選手にとっては充実した大会だったのではないでしょうか。普段なかなか接する機会の少ない、他ジャンルのレジェンドたちからトップアスリートとして学ぶことは多かったと思います。唯一ゴルフという競技がこういった趣向の試合ができる、というのが面白いですよね。

　――選ばれた26人のトッププレーヤーのみが参加し、日本人選手で唯一出場した畑岡奈紗選手のプレーにも注目が集まりましたが……。

　開幕戦というのは、選手にとってどうしても独特の不安があります。畑岡選手はさらにクラブ、キャディーも新たに代えて臨みました。そんな状況の中、最終日を4アンダー、ベストスコア“67”というのは価値あるプレー。それまでの3日間もパッティングの歯車が合わなかっただけで、決して調子が悪いという印象はありませんでした。結果は16位でしたが、最終日のアグレッシブなプレーは、まさに「今シーズンもやれる！」と本人もどこかで確信していたからではないでしょうか。

　――早い段階でのツアー3勝目を期待してしまいます。そしてビッグタイトル、メジャーも勝ってほしいですよね。

　メジャーというと、非常にタフなセッティングで、日本人にはなかなか手に届きそうで届かないイメージもありますが、特に畑岡選手は樋口久子さん以来の日本人女子メジャー選手権大会優勝者にとても近い位置にいます。彼女のアグレッシブさとショットの技術の高さをもっていれば、メジャーで勝てる要素は十分あります。今シーズンからフロリダを拠点に置いているので、また気分的にも安心して試合に臨める状況にあると思います。

　――オーストラリアで行われる第2戦「ISPSハンダ・ヴィック・オープン」にはプロ転向したばかりの山口すず夏選手も参戦し、プロゴルファーとしてのキャリアをスタートさせます。

　ダイナミックなスイングが山口選手の持ち味ですよね。飛距離も出ますし。また、近くに畑岡選手という素晴らしいお手本もいますので、彼女にとっては大きなアドバンテージではないでしょうか。出場できる試合が限られているとはいえ、第2戦から推薦で3試合連続で出場できます。18歳と若いですし、適応能力も高いので思い切ったプレーで経験値を積んでほしいです。アメリカの芝よりはオーストラリアの方が日本の芝に近いですから、うまくアジャストできれば良い結果が期待できますね。

　――日本勢には上原彩子選手や横峯さくら選手、野村敏京選手もいます。

　きっと畑岡選手の存在がいい刺激になっていると思います。特に上原選手や横峯選手も飛距離もアップしてますし、忍耐力もありますから、ぜひ勝ってほしい。「勝ちたい！」と強く思っている2人なので、得意な地域、コースで優勝を狙っていくと思います。

　――“絶対女王”のアリヤ・ジュタヌガーン選手は今シーズン、ズバリどうでしょう？

　開幕戦というのは、試合をしながら調整している選手と、試合に出場しないで自分のペースで調整している選手がいます。ですので、この試合だけで判断するのは難しいですが、彼女はショット力もショートゲームも際立っていて、持っているエンジンが違います。2番アイアンで他の選手のドライバーと同じくらい飛びますから。7～8割の力で優勝できてしまう実力がありますし。ただ、タイトルを総ナメしたビッグイヤーの翌シーズンは、目標を見失ってしまいがちなのでモチベーションを維持するのが大変だと思います。そんな中で彼女がどう戦うのか、注目です。

　――そんなトップ選手に挑んでいく日本人選手の熱いプレーも見られるLPGA女子ゴルフツアー、さらに盛り上がりそうですね。試合数も増えましたし。

　かなり面白いと思います。選手層が厚いですし。LPGA女子ゴルフツアーは群雄割拠の時代に突入しました。近年はクラブなどギアの進化によるパワーゲームの要素もありますが、決してそれだけでは勝てない高い技術を見ることができます。実にいろいろなタイプの選手がいるので、ゴルファーの方は参考になるのはもちろん、そうでない方も見ているだけでも楽しめるはずです。2月からの試合もぜひ、お楽しみいただければと思います。

　＊……WOWOWでは、メジャー5大会を含む32大会の模様をWOWOWプライムとWOWOWライブで放送。第2戦「ISPSハンダ・ヴィック・オープン」の模様を7～10日にWOWOWライブで放送。7、8日は午後5時から、9日は午後1時から、10日は正午から放送する。第1日は無料放送。第3戦「ISPSハンダ・オーストラリア女子オープン」、第4戦「ホンダLPGAタイランド」も放送する。