女優の常盤貴子さん主演の連続ドラマ「グッドワイフ」（TBS系、日曜午後9時）で、常盤さん演じる杏子ら神山多田法律事務所の弁護士の右腕となる優秀なパラリーガル・円香（まどか）みちる役をクールに演じている水原希子さん。「（反響は）いっぽいです。ツイッターでも結構評判よくて。私はここまでインテリジェントでミステリアスな役はなかったので、うれしいです」と喜ぶ。女優業と共にモデル業でも活躍する水原さんに、撮影現場の様子、女優業への思い、演技についての考え方を聞いた。

あなたにオススメ

来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹”　朝ドラヒロインまで手が届くか

　◇はじめは「ロボットみたいに」？　正反対の感情表現、難解なせりふに苦戦

　ドラマは、米国の人気連続ドラマ「The Good Wife」が原作で、夫・壮一郎の汚職疑惑での逮捕を機に、子供を守るために弁護士に復帰した杏子の苦闘と成長を描いている。水原さんの演じる円香役は、東仲恵吾プロデューサーが「ミステリアスで無表情だから簡単ということはない。単調に演じるとつまらなくなる、最も難しい役」という。

　水原さんは「とにかく大変なのはせりふ。普段使わない言葉がたくさん出てくるし、事件をみんなに説明しなきゃいけないシーンがたくさんあって、自分でもこんがらかってくる。元々せりふを覚えるのは得意じゃないので」と苦笑する。それでも、スタッフやキャストが緊張させない心地いい雰囲気を作ってくれるといい、「甘えさせてもらっている。いい意味で緊張感のあるドラマだからこそ、（現場は）リラックスできる雰囲気を作ってくれてやりやすい」という。

　水原さんが初めに円香に想像していたイメージは「アメリカ版の、表情豊かで、色気を使って七変化する。女を演じて情報を取るタイプ」だったというが、日本版は「もうちょっとミステリアスで、みんなに心を閉じている子を求めていた。初めは『ロボットみたいにしゃべって』というオーダーで難しかった。私はみんなに結構オープンに心を開いているので（笑い）、『これで大丈夫かな』と思うことがあったんです」と演技の苦労を明かす。

　東仲プロデューサーは「コロコロ顔の印象が変わる、お芝居が上手というイメージだから（あえて水原さんに）オファーした」と話している。水原さんは「せりふはないけれど、心ではいろんなことを考えている。それが表情にも出ていたらいいな、と思っていたんですよ。そう言っていただけてうれしい」と笑顔を見せた。

　◇「モデルは自分のベース」　女優業とのバランスは…

　水原さんは、モデルとして第一線で活躍している。女優業とモデル業のバランスについて聞くと、「自分にとっては、写真を撮られることにあまりにも慣れ過ぎてしまっているので、モデルに関してはもはや自分のベース」という。「いい意味で、すごく自由に自分のやりたい表現をできる」とモデル業への自信をのぞかせる。

　一方、「女優の仕事はどっちかというとチャレンジングなんですよ。モデルは、こういう時はこうやればいいんだというノウハウがある。女優はつかみ切れていない」といい、「モデルの仕事はファッションやメークが好きな人が見ますが、女優の仕事は幅広い方が見るので、そういう部分で自分が何かをやるという緊張とかはあるかもしれないですね」と、違いを語る。

　女優業は、映画「ノルウェイの森」（トラン・アン・ユン監督、2010年公開）から。元々「あんまり女優になると考えていたわけではなくて、他者によって切り開かれていった（仕事）」と感じている水原さん。「映画は、オーディションに誘われて行ったんですが、選んでくれた監督が私の中に緑（という役）を見付けて場所を見付けてくれた。なので、今ここで演じていることを不思議に思うことがある。『女優』と言われても『女優じゃない』と思うこともある」と複雑な思いを明かす。

　「自信を持って女優と言えない」理由に「自分がそのシチュエーションになったことはないけれど、自分の感情を延長して想像してみたりしている。私は、割と自分の経験からお芝居をしている」というが、「キャラクターとして（自分が作品の中で）存在できている。それでいいと思っています」と演技についての考え方を語る。

　「女優という職業は素晴らしいけれど、そうではなくても、キャラクターとして存在感を放てるのなら、女優じゃなくてもできるのではないか。自分のやりたい役があったら、がむしゃらに取りに行くこともあると思いますが、自分が何かをできると思うのは自分が想像できる範囲でしかない。監督が（私に）できると思ってくれたことに感謝して精いっぱいやる、ということを、これまで毎回やってきたんです」と女優業への真摯（しんし）な思いを明かした。