菊池桃子:横田めぐみさんの母・早紀江さん役「しっかり伝えたい」

「独占取材 北朝鮮拉致 前略 めぐみちゃんへ ~横田夫妻、最後の戦い~」内のドラマのワンシーン(C)フジテレビ
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「独占取材 北朝鮮拉致 前略 めぐみちゃんへ ~横田夫妻、最後の戦い~」内のドラマのワンシーン(C)フジテレビ

 女優の菊池桃子さんが、30日に放送される特別番組「独占取材 北朝鮮拉致 前略 めぐみちゃんへ ~横田夫妻、最後の戦い~」(フジテレビ系)内のドキュメンタリードラマで、横田めぐみさんの母・早紀江さんを演じることが16日、明らかになった。俳優の勝村政信さんが父の滋さんを演じる。菊池さんは早紀江さんの20代から現在までを演じるという。

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 番組は、同局が取材した2000本以上の報道素材から、横田夫妻の知られざる姿などを紹介。現在86歳の滋さんは昨年4月から入院生活が続いている。滋さんが集会でなかなか言葉が出ずに詰まってしまう場面、会見で絞り出すようにめぐみさんの名を呼ぶ場面、靴の脱ぎ履きも含め日常生活のすべてを早紀江さんがサポートする場面などが登場する。笑顔を絶やさず精力的に活動してきた滋さんの姿など、入院するまでの姿なども紹介。北朝鮮でめぐみさんと8カ月暮らした曽我ひとみさん、蓮池薫さんも取材に応じ、めぐみさんについて語る。

 ドキュメンタリードラマでは、早紀江さんがめぐみさんに宛てた手紙を軸に、夫婦の戦いを描き、菊池さんと勝村さんが40年を超える夫婦を演じる。番組は30日午後3時半から放送。

 ◇菊池桃子さんのコメント

 ――今回横田早紀江さん役のオファーを受けたときの感想は?

 正直、難しいなと思いました。報道番組を通して拉致事件のことは何となく知っていましたが、詳しいわけではなかったですし、多くの人が知っている人物を演じるのが違和感なくできるのか不安でした。でも、台本を読んだとき「自分の子供が突然いなくなったらどうしますか?」というシンプルな親心がテーマの中心にあったので、それだったらできるかな、と思いました。

 ――母という立場で早紀江さんが突きつけられた現実をどうとらえましたか。

 本当に怖くて苦しくて悲しいことだと思います。自分に置き換えて想像したこともないし、想像したくもないことです。

 ――早紀江さんに抱いていた印象と演じてみて変わったことは?

 報道番組で見ていた早紀江さんには、とても強い方だなという印象がありました。インタビューにも毅然と答えていらして。そこが、自分が演じる上で壁になるかなと思ったのですが、プロデューサーさんとも話して思ったのは、早紀江さんは、実際は強いわけではなくて、普通のお母さんなんだ、と。そんな普通のお母さんがあそこまで人々に強い印象を与えるほど頑張らなくてはならないのか、という意味を皆さんに考えていただくきっかけになればと思います。皆さんの知っている早紀江さんのイメージを見せたいなと思いつつも、家庭にいるシーンでは、皆さんが知らないような普通のお母さんでいるところをしっかりお見せしたいです。

 ――印象的なシーンは? また難しかった点があれば教えてください。

 お父さん(滋さん)とのシーンで、早紀江さんのすごく弱い部分、不安な部分、怖い部分をお父さんにぶつけているんですね。本当に泣いてばかりのお母さんで、お父さんがいなかったら進めないような道を選ぶというシーンは印象的でした。また拉致被害者が帰ってきた羽田空港のシーンは自分の娘がいないタラップを見つめるカットは難しかったです。監督から“普通のドラマのように小さな感情の出し方では伝わらない”と言われました。ドキュメンタリードラマでは実際の映像の迫力が強いので、ドラマ部分は普通のドラマよりもポンポンと感情を上げていかないと生の映像に負けてしまう、と。そこは監督から指導いただきながら意識しました。

 ――早紀江さんの20代から現代まで長い期間を演じる上で工夫などは?

 ウィッグをつけて白髪にしたり、しわを描いてみたり……。プロの力を借りて変えていました。時代がどんどん進んでいくので気持ちを追いつかせていくのは大変でした。

 ――視聴者にメッセージを。

 自分の子どもが突然いなくなったらどうなるか? 皆さんも共感して見ていただけると思います。それが歴史的な事件と絡んでいく様子を見守っていただければと思います。

 ◇勝村政信さんのコメント

 ――今回横田滋さん役のオファーを受けた感想は?

 驚きました。ドラマ化されるのはもちろんですが、僕で大丈夫なのか、と。拉致事件は未解決ですし、横田さんご夫妻を日本中の人が知っていますから。しかし、ドキュメンタリードラマは何度もお世話になっておりまして、作品一つ一つに縁を感じています。なので、ぜひやらせていただきたいと思いました。

 ――横田滋さんへの印象と演じてみて変化は?

 ニュースでの知識しかありませんでしたが、滋さんたちが人生を懸けて戦わなければいけない理不尽さを感じていました。この作品で、滋さんの明るく知的な存在が、本当に皆さんを引っ張っていったということがよく分かりました。もちろん拉致被害者の家族皆さんが同じ思いをされているのですが、滋さんは際立って強い方だと感じました。

 ――難しかった、悩んだシーンはありますか。

 全部ですね。めぐみさんが拉致されるシーンは、演者だけではなく撮影スタッフもつらかったと思います。何故めぐみさんだったのか? そして帰国された人たちも素直に喜べないという悲しい現実があります。どうしても泣くシーンが多くなってしまうし、事実が分かっているので、すべてのシーンが苦しかったです。

 ――滋さんを演じる上でこだわったことは?

 余計なことをしないということですね。過剰なことはしない。現場では本当に菊池さんの存在が大きくて。悲しい中にも凜(りん)としたたたずまいで、そこに光があるんです。皆、真っ暗の中で手探りなのですが、菊池さんがいるだけで明るくなりました。菊池さんも大変だったでしょうけれど、キャスト・スタッフ全員が菊池さんに救っていただいたと思っています。

 ――視聴者にメッセージを。

 80歳を過ぎた親御さんたちの時間には限りがあります。今の若い人たちは拉致のことも、北朝鮮そのものをあまり理解していない人もいると思います。この番組を通じて“帰ってくるまで終わらない”戦いが続いていることを知っていただけたらと思います。

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