きのう何食べた?:話題の“神キャスティング”の裏側 プロデューサーが語った“化学反応”

連続ドラマ「きのう何食べた?」第7話の場面写真 (C)「きのう何食べた?」製作委員会
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連続ドラマ「きのう何食べた?」第7話の場面写真 (C)「きのう何食べた?」製作委員会

 俳優の西島秀俊さんと内野聖陽さんのダブル主演の連続ドラマ「きのう何食べた?」(テレビ東京系)のキャスティングが「神がかっている」とSNSで話題だ。特に、主要キャラクターの西島さん演じるシロさんと、磯村勇斗さん演じる“ジルベール”こと井上航(わたる)は「原作のまんま!」「尊い」と大絶賛、原作とはビジュアルイメージが違う内野さん演じるケンジ、山本耕史さん演じる小日向大策も、その演技力で「さすが」「違和感ない」と驚きの声が上がっている。同作を手がける松本拓プロデューサーに、キャスティングの経緯や手応え、気になる裏話を聞いた。

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 ◇“化学反応”を期待したキャスティングが大成功 うれしい誤算も

 ドラマはマンガ誌「モーニング」(講談社)で連載中のよしながふみさんの同名人気マンガが原作。西島さん演じる料理上手できちょうめん、倹約家の弁護士・筧史朗(通称シロさん)と、内野さん演じるシロさんの恋人・人当たりのいい美容師の矢吹賢二(通称ケンジ)という男性カップルの2人暮らしが、食卓を通して描かれる。

 第1話放送時から、ツイッターの世界トレンド1位に上がるなど、大反響となった同作。実写ドラマ化のニュース時点で「リアクションがすごかったので、第1話の反響もなんとなく」予感していたという松本プロデューサーだったが「ここまでは、規模の大きさとしては想像していなかった」と驚く。ドラマ化の話自体はずっと局内で声があったが「なんとなく形になり始めたのが2年前ぐらい」だったという。

 原作ファンも納得のビジュアルで「エプロン姿で料理する姿が尊い」などと絶賛された西島さんのシロさん役については「もうなんか(シロさんに)ぴったりじゃないですか。だから西島さんにやっていただくほかはない」と力を込めた松本プロデューサー。一方、ケンジ役については「他にもいろいろな役者のパターンがある。今回はこの形に収まった」と振り返る。制作側としても「内野さんのこれまでのイメージとしては、『侍』『男』という役柄が多かった。内野さんご本人としても(ケンジは)、これまで演じたことのない変化球の役」という認識はあったが「あえてと、いうまでは正直狙っていないんですが、『内野さんの演じるケンジ』という形も『アリかな』という考え」でオファーしたという。

 キャスティングの段階では「制作側でも明確な理由はない。『ちょっと面白いんじゃない?』というところからキャスティングするので、完成絵図を想像できるときとできないときがある」と説明する松本プロデューサー。特に今回のようなダブル主演の場合は「2人そろったときに“化学反応”を起こさないとあんまり面白くない」というが、今回は「こちらの想像を超えてきた。1足す1は2じゃなかった。“化学反応”が起きた感じはしますよね」と、手応えを明かした。

 また、キャスティング以外にも、制作側のうれしい誤算があった。オファー時には分からなかったというが「ふたを開けてみたら、西島さんが実は原作の大ファンで、シロさんの役を『演じてみたかった』と聞いた。『良かった!』という感じでしたね」と喜ぶ。「原作ファンとか、作品が好きで撮影に入っていただくのと、そうじゃないのでは全然違う。原作のよしながふみさんもケンジ役に賛成したという内野さんについても「この役がとてもやりたかったんだと思うんです。ですから結構作り込まれてきた」と、役にのめり込んだ演技だったことを明かし、「今考えれば、絶妙なコンビだったのかな。監督も演出をそこまで言っていないので、本当に2人が作ってきた」と振り返った。

 ◇“ジルベール”磯村勇斗は原作のままで「ちょうどよく」、一方“小日向さん”山本耕史は…

 さらに「神がかった」キャスティングと絶賛されたのは、磯村さん演じる「ジルベールのような美少年」こと航。実際は少年ではなく30歳で、ファッションセンスに問題のある無精ひげの青年、というキャラクターで、ファンの間で登場が切望されていたが、ついに第6話(10日放送)で、短い時間ながら待望のお披露目となった。松本プロデューサーも「結構ハマっていますよね。なんかちょうどいいですよね。まんまな感じ」と手応えを明かした。

 一方で「こちら(ジルベール)が(原作の)まんまな感じであれば、もう一人(小日向さん)は遊んでいいかな」と、ビジュアルイメージの違う小日向さんについて、「本当は原作みたいに、がたいが大きくて無骨で、というキャスティングをしても良かったんですが、あえて山本さんみたいな」とすこしイメージを外したキャスティングに挑戦した。

 山本さんの演技は「原作のキャラクターをちょっと大げさに」という演出はあったというが「監督が加減を調整していると思いますが、コミカルな感じは、山本さんご本人が作られてきたキャラクター」だという。SNSでは「トリッキーな演技たまらん」「キャラが濃い!」「まさかの演技にワロタ」と反響が集まり、「面白みがある。やってみるとちゃんとはまるんですよ」と、その演技力に感心していた。

 17日放送の第7話は、新宿二丁目で、シロさん×ケンジ、小日向さん×ジルベールという男性カップル2組が食事会=男子会を開催し、“神キャスティング”の4人が勢ぞろいする。原作ファンの記者も、神回となる予感がしてならない。「きのう何食べた?」は毎週金曜深夜0時12分に放送。 

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