俳優の坂口健太郎さんと吉田鋼太郎さんがダブル主演する映画「劇場版 ファイナルファンタジー(FF)XIV 光のお父さん」(野口照夫監督・山本清史監督)が公開中だ。スクウェア・エニックスの人気オンラインゲーム「FFXIV」をプレーする親子の姿をつづった実話のブログが原作。正体を隠して父親とオンラインゲームをするアキオを演じた坂口さんは「SNSで出演作のエゴサーチをよくする」と、日常でも顔の見えない人々の意見をチェックしているという。一方でアキオを慕う同僚の里美を演じた佐久間由衣さんは「SNSは見ない」と言い、対照的な2人にゲームや作品について話を聞いた。
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坂口さんが演じるアキオは、家族と暮らしながらも自分の部屋でゲーム画面に向かって過ごす時間が多い“FFXIVオタク”のサラリーマン。坂口さん自身も「気づいたら家にテレビゲームがあったので、一人でもRPGをやったし、家族と対戦(ゲーム)もやりました。学生の時は格闘アーケードゲームをやっていて、有名プレーヤーを求めてゲーセンに遠征をしに行ったりしました」と夢中になっていた時期があると話す。今でも休みの日にオンラインゲームをすることがあるといい、「昔ほどは、やらなくなったかな。本を読んだり映画を観たりすることに時間を割きたいなっていう気持ちがあって」とはにかみながら明かした。
佐久間さんは「小さい頃、祖母の家に親戚で集まって『マリオパーティ』をやったり、ダンレボ(ダンスダンスレボリューション)をみんなでやっていましたね」と振り返る。今回演じた里美は、アキオに興味を持ったことがきっかけで「FFXIV」を始めるという役どころ。自身も今作への出演が決まってからオンラインゲームの世界を知ったといい、「すごく豊かだなと思いました。コミュニケーションツールの一つで、自分の中にはなかった価値観」と新たな発見があった。
映画は、仕事一筋の吉田さん演じる岩本暁が、ある日突然仕事を辞めてしまったことをきっかけに親子の交流が描かれる。父の本音を知りたいと考えたアキオは、父を「FFXIV」の世界に誘い、正体を隠して共に冒険をすることで、父の意外な顔を知る……という物語。
今回の作品を「台本を読むまではゲームの実写化なのかと思っていました」という坂口さん。実際は「とってもヒューマンで愛らしい作品」と語り、佐久間さんも「ゲームの話かと思ったら、すごく温かいお話」と、いい意味で期待を裏切られたという。
また坂口さんは、初共演した吉田さんについて「すごく面白い方でした。すごくキュートだし、気さくだし、好きになっちゃうような可愛らしさがあって」と尊敬と愛情を込めて語る。吉田さんが出演して話題になった連続ドラマ「おっさんずラブ」を挙げると、「恋愛とかじゃないですよ(笑い)。キュートでいいなあと思いました」と、その人柄に魅了されたようだ。
物語は、俳優が演じる現実世界と、ゲームキャラクターが演じるゲーム世界の二つの世界がリンクしながら進んでいく。ゲーム世界の撮影はスクウェア・エニックスが全面協力し、山本監督の指示のもと、原作者のマイディーさんをはじめ、原作のブログに登場する人々がキャラクターアクターとしてキャラクターを操作している。
坂口さんは、ゲーム世界の制作の様子を見学したといい「ゲームでここまでクオリティーの高いものができるんだと驚きました」と目の前で作られる映像に感激した様子。原作者のマイディーさんと話をする機会にも恵まれ「すごく優しい方で、 FFXIVを愛しているんだなと思いました。父親との関係の構築の仕方を経験している方だったので、お会いできてよかったです」と作品を作る上での助けにもなった。
一方で、二つの世界がリンクする作品の構成について「どういうふうに組み立てられていくのか想像がつかなかった。(完成した映画を)見るまでは、どこか不安もあって、ドキドキしていました」とこの作品ならではの経験を振り返った。
劇中では、アキオがゲーム世界の仲間に相談したり、父親との交流を手助けしてもらったりと、顔の見えない相手とのコミュニケーションが親子の交流の重要なカギとなっている。
映画同様に、会ったことがない人からの言葉に助けられた経験を聞くと坂口さんは「僕、SNSをエゴサーチするんです。いいことが書いてあったらうれしいし、うーんっていうことが書いてあったら見ない!」と明かす。特に出演している映画が公開されたタイミングで、よくエゴサーチをするといい「『坂口健太郎』でも調べるし、『坂口 光のお父さん』でも調べて、全部見たい! みんなどんなふうに思ってるんだろうってとっても気になるし、その反応が直接でくるので」とにっこり。書いてあるとうれしいことを聞くと「そりゃあ、褒められてたらうれしいですよね」と爽やかな笑顔で答えた。
一方の佐久間さんは「(SNSは)見ないですね。(坂口さんのように)割り切りができるのはうらやましいです。匿名だからこそ本質的なことが書いてあったり、知れることはあるんだろうな」と語り、坂口さんに尊敬のまなざしを送っていた。
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