星野源:コメディーからシリアスまで “国民的俳優”として愛される理由とは…

8月30日公開の映画「引っ越し大名!」で主演を務める星野源さん(C)2019「引っ越し大名!」製作委員会
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8月30日公開の映画「引っ越し大名!」で主演を務める星野源さん(C)2019「引っ越し大名!」製作委員会

 8月30日公開の映画「引っ越し大名!」(犬童一心監督、8月30日公開)で主演を務める歌手で俳優の星野源さん。星野さんといえば、2016年放送のドラマ「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」(TBS系)では津崎平匡を演じ、森山みくり(新垣結衣さん)との契約結婚生活に”ムズキュン”する視聴者を続出させた。さらに、担当した主題歌「恋」に合わせて、新垣さんらがキュートに踊る「恋ダンス」も話題となり、社会的ブームを生んだ。その一方で、2015、2017年放送のドラマ「コウノドリ」(同)シリーズでは、クールな産科医・四宮春樹という真面目な役にも対応し、高い評価を得た。“誰からも愛される”俳優・星野さんの魅力に迫った。

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  ◇コメディーからシリアスまで幅広くこなす演技力

 星野さんは2000年に伊藤大地さんらとインストゥルメンタルバンド「SAKEROCK」を結成(2015年に解散)。2010年にソロデビューを果たした。

 一方、俳優業では、俳優の松尾スズキさんが主宰し、阿部サダヲさんや荒川良々さんといった個性派俳優たちが名を連ねる劇団「大人計画」に所属。同劇団所属の宮藤官九郎さんが脚本を担当した作品にも多く出演。「タイガー&ドラゴン」(TBS系)、「未来講師めぐる」「11人もいる!」(共にテレビ朝日系)でもコミカルな役を演じ、注目を集めた。

 現在放送中のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」では、ジャーナリストの平沢和重を演じ、流ちょうな英語を披露するなど、さまざまな演技で視聴者を楽しませている。

 ◇役の成長を身近に感じさせる親近感

 星野さんは、物語を通して“成長する”役を多く演じているのも印象深い。2013年に公開された映画「箱入り息子の恋」では、目の不自由な女性に恋をしたことから変化していく内気で恋愛経験のない35歳の独身男の主人公、「逃げ恥」でも主人公・みくりとの契約結婚を機に恋愛と向き合っていく自称“プロの独身”、2016年放送のNHK大河ドラマ「真田丸」では、偉大な父の側で失敗ばかりが目立ちながらも、次第に将軍としての貫禄と実力を備えていく徳川二代将軍・秀忠を好演した。

 最新作「引っ越し大名!」では、身分の高い武士でありながらも、人と話すのが苦手で書庫に引きこもって本ばかり読んでいる“引きこもり侍”の春之介を演じる。春之介は他の武士から「かたつむり」というあだ名で呼ばれ、馬鹿にされていたが、突如訪れた国の一大事である国替え(引っ越し)を取り仕切る引っ越し奉行に任命され、成長を見せていく。

 星野さんの堅実的な演技力、かつ多くの女性を魅了する愛嬌と清潔感のあるルックス、そして、自身の飾らない性格が視聴者により一層、親近感を与え、“成長していく”役との高い親和性を生んでいるようだ。

 ◇大根仁監督は「ニュータイプ」と評価 犬童一心監督は役作りへの柔軟さに驚き

 そんな星野さんについて、映画監督の大根仁監督は、かつて「星野君の表現スタイルはどう考えてもニュータイプだと思う」と評し、「バランスが良いとかそういうことではなく、音楽的才能と役者的才能が生まれつき同じ分量で備わっている」と絶賛。

 「引っ越し大名!」の犬童監督も撮影を経て「星野さんは事前に芝居のトーンや、セリフのニュアンスまでしっかり考えて現場に入るタイプの方だと思うんです。でも彼のクレバーなところは、僕が現場で『それはちょっと違うかな』と言うと、平気でがらっと視点を変えられるところ」と、役作りへの柔軟さに驚いたという。視聴者だけでなくクリエーターをも虜にする星野さん。今後のさらなる活躍からも目が離せない。

 「引っ越し大名!」は、映画化もされた「超高速!参勤交代」シリーズで知られる土橋章宏さんの小説「引っ越し大名三千里」(ハルキ文庫)が原作。生涯に7回もの国替えを命じられた実在の大名・松平直矩をモデルに、巨額の費用がかかる引っ越しを乗り切ろうと奮闘する姫路藩の藩士たちの姿を描く。

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