お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんの恋愛小説「劇場」(新潮社)が、俳優の山崎賢人さん主演で実写映画化されることが7月16日、明らかになった。ヒロインとして女優の松岡茉優さんが出演することも発表された。映画は、「世界の中心で、愛をさけぶ」「ナラタージュ」などの行定勲監督がメガホンをとり、2020年公開。
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「劇場」は、又吉さんが「第153回芥川龍之介賞」を受賞した小説「火花」より前に書き始めていた作品で、劇作家を目指す主人公の永田と、彼に恋をし、必死に支えようとする沙希の生涯忘れることができない7年間の恋を描いた恋愛小説。
今回、演劇に身も心もささげながら、実生活では社会や周囲の人々とうまく協調できない不器用な永田を山崎さんが演じる。撮影前に何度も行定監督とエチュードを重ね役を作り上げたといい、人生初のひげを生やし、これまでに見たことのない表情で作品に挑んでいるという。ヒロインの沙希を松岡さんが演じる。
中学からの友人と設立した劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山崎さん)。しかし、前衛的な作風は上映ごとに酷評され、客足も伸びない。劇団員と永田の関係も悪く、永田は言いようのない孤独を感じていた。そんなある日、永田は街で、自分と同じスニーカーを履いている沙希(松岡さん)を見かけ声をかける。突然の出来事に沙希は戸惑うが、様子がおかしい永田を放っておけず一緒に喫茶店に入る。女優になる夢を抱き上京し、服飾の大学に通っている学生・沙希と永田の恋はこうして始まった。沙希は自分の夢を重ねるように永田を応援し続け、永田は自分を理解し支えてくれる沙希を大切に思いつつも、理想と現実と間を埋めるようにますます演劇に没頭していくが……というストーリー。
脚本は、行定監督とは映画「ピンクとグレー」に続き映画では2作目となる蓬莱竜太さんが担当。撮影は今年6月初旬から始まり、“演劇の聖地”下北沢を中心に東京都内で行われる。
初めて本を読んだ時、人としてダメな部分ばかりですが、表現者としてとても共感できる弱さを見せる永田をすごく魅力的だと感じました。自分にとってとても挑戦的な作品でしたが、以前からご一緒したかった行定監督のもと、今しか出せない自分のものを全部出せているのではないかと感じています。撮影を通して、とても魅力的な原作にさらに映画としての魅力を盛り込んだ作品になるのではないかと思っています。
同い年の山崎賢人君とは実は昔、共演しているのですが、直接一緒にお芝居するのは初めてです。永田と沙希について、撮影中何度も2人で話し合いました。2人とも脚本に心底ほれており、意見が違ったことはありませんでした。とても繊細な本で、私たちの演じ方が変わってしまうと、話の到着すら変わってしまいそうで。行定監督が若い私たちを導いてくれました。全国の恋する、愛する、はたまた情で離れられなかったり、何かのきっかけを失っているパートナーたちが救われる映画になると思います。完成を楽しみにしていてください。
小説「劇場」はあまりにも身に覚えがある場面ばかりで胸をかきむしるような思いで読んだ。私は又吉さんが書いた主人公がまとう空気をどうしても撮りたくなった。ザラザラとした、夜が明ける頃に感じる切なくてさみしい空気を。下北沢、渋谷、井の頭公園、そこかしこでさび付きそうな青春が吹き溜(だ)まっている。山崎賢人と松岡茉優という希代の若く鋭い感性と共に、自戒を込めてどうしようもない男と女の在り方を映画として映し出せたらと思います。
「劇場」という小説は、恋愛というものの構造がほとんど理解できていない人間が書いた恋愛小説です。恋愛小説と呼べるものになっているかすらも分かりません。ただ、若くて未熟な2人がともに過ごしたどうしようもない時間を必死で書いているうちに、作家のわずかな能力を超えて濃密な風景が幸運にも立ち上がったと感じています。ちょっと表現まわりくどいですか? 「こいつなに一丁前に作家ぶっとんねん」と思いました? でも、本心なんです。それくらい自分にとって、大事な作品です。
信頼している行定監督、そして山崎賢人さん、松岡茉優さんをはじめ、魅力的な俳優陣によって映像になることをうれしく思っています。普通、原作者はシンプルな言葉で感謝をつづるくらいがちょうど良いと思うのですが、思わず長文になってしまい恥ずかしいです。そして、言い訳しているせいで、より長くなってしまいました。すみません。絶対見に行きます!
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