名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
故・水木しげるさんのマンガが原作のテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期(フジテレビほか)のブルーレイディスク(BD)&DVDボックス第6巻が、2020年1月8日に発売される。特典のブックレットには、鬼太郎役の沢城みゆきさんと石動零役の神谷浩史さんのインタビューが掲載される。未収録インタビューの一部が公開され、沢城さんと神谷さんがお互いの役者としての印象、作品への思いを語った。
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――お二人が初めて会ったときの第一印象は?
神谷さん 最初は「ぱにぽにだっしゅ!」になるのかな? それから「さよなら絶望先生」とか「化物語」とか。
沢城さん 「夏目友人帳」もあったね。
神谷さん そうだそうだ。とにかくみゆきと共演する作品は、割と濃い作品ばかりで(笑い)。それぞれ結構重要なポジションを占めている役柄が多くて、お互いに「大変だね」と声を掛けたりしていました。
沢城さん お互いに違う大変さを背負っていたよね。神谷さんは特に大変だったと思います。でも、こんなに対等に話ができるような役柄は「鬼太郎」が初めてかも。
神谷さん そうかもしれないですね。
沢城さん とにかくどの現場でも、この人は頑張り屋さんなんだなあ……という印象が強烈に残っていますね。
神谷さん 何が大変だったかも、もう覚えていないくらい(笑い)。
沢城さん もちろん、みんなが頑張っているんですよ。みんなが頑張っているんだけど、神谷さんの頑張り方って、ちょっと質が違うんですよ。
神谷さん 当時は今よりも周りの人が、みんな自分より優秀に見えたんです。そんな中でみゆきは天才肌なのかなと思っていたんだけど、実はそうではなく、自分のいろんな経験からロジックで芝居をするタイプだと分かったんです。なので今では面倒くさくて可哀そうだなと思っています。
沢城さん 最後の可哀そうは要らない(笑い)。
神谷さん いや僕と似たタイプな気がするので、共感できるんですよ。天才肌の人って、瞬発力や反射神経でとてもいい音を作るんですよ。ロジックではなく感性で出てくる音を安定して出せる人が、僕の周りには多かったような気がします。そういう天才肌の人に囲まれた中で「自分は何ができるんだろう」と思った時に、地道な努力しかなかった。誰もができることを丁寧にやらないと、その人たちとマイクに並んでお仕事ができないと思ったんです。
沢城さん 神谷さんは丁寧だもんね。
神谷さん それしかやれることが思い付かなかったんだよね。
――沢城さんと「ゲゲゲの鬼太郎」での共演が決まった時の感想は?
神谷さん とてもうれしかったです。オンエアを見た時に、僕が理想としている鬼太郎像そのものだったので、「さすがだな」と思いましたね。僕の理想の鬼太郎像をみゆきが具現化してくれているのが、とてもうれしかった。理想の鬼太郎と共演できるのは幸せですよね。
――神谷さんの理想の鬼太郎像とは?
神谷さん 僕はシリーズ全てを通して見ているわけではないんですけど、断片的に子供の時に見ていた TV のアニメの第2期「鬼太郎」、大人になってから見た「墓場鬼太郎」や、原作のイメージを総合した時に、鬼太郎は単純な正義のヒーローではない気がしていたんです。遠くの方からげたの音を響かせながら、片方だけの大きな目で上目遣いに常に何かをうかがっている物静かな少年がやって来て、お社にイタズラしている子供たちに、「そんなことをしたら危ないよ」と、ぼんやりと言って去っていく。それで子供たちが後々ひどい目にあって「助けてー!」と言っているところに、「だから言ったのに……」って来るのが鬼太郎っぽいと思います。「そんなことをしたらダメだ!」っていう熱血漢やひどい目にあっている子供たちを率先して胸を張って助けに来る鬼太郎は、僕の中では少し違和感があるんですよね。なので陰々滅々とした雰囲気を漂わせている沢城みゆきの声を聞いて、「ああ、ステキだな」「本当に僕はこの女優さんのこと好きだな」って思いましたね。
沢城さん 陰々滅々って(笑い)。(放送は)日曜の朝なんですけどね(笑い)。
神谷さん ははは(笑い)。でも子供たちって妖怪みたいなちょっと怖い存在が大好きじゃないですか。人ならざるもの、人間の世界じゃないところでうごめいている何か。その案内的な鬼太郎が明るい雰囲気じゃない方がいいと思うんです。かといって鬼太郎は決して怖がらせようとしているわけじゃない。そのバランス感覚をみゆきはとてもセンシティブにやってくれているんだろうなというのが伝わってきましたね。「後ろに何か居る!」って脅かすんじゃなくて、「ほら、君の後ろの暗闇に……」って、そっとつぶやいて想像させる感じ。それを当たり前のようにアプローチしているところがステキですよね。
沢城さん 私たち、相思相愛ですから(笑い)。
神谷さん ははは(笑い)。
――仲の良いお二人が鬼太郎と零という対立する役柄を演じてみて、いかがでしたか?
沢城さん ねこ娘も言っていましたけど、鬼太郎は零君にだけは固執するというか特別に嫌いみたいですね。神谷さんがおっしゃっていたように、いろんな鬼太郎像があるけど、今期の鬼太郎は基本的には頼まれたから出向く、それもやっつけに行くんじゃなくて、まず話を聞いてみて、どうするかを考えるというスタンスなので、零くんみたいに、全く聞く耳を持たない人は生理的に嫌なんですね(笑い)。
神谷さん ははは(笑い)。
沢城さん でも今思うと、同属嫌悪だったんじゃないかなと思いますね。表面的な印象は違うんだけど、根本的な我の強さは共通する部分があって、他人のためだと思ってやっていたことも、もしかしたら、ただ自分の意見を押し付けていただけかもしれないって、鬼太郎がふと我に返るような場面があって。二人の違いは境遇で、零くんはすごく不遇でしたよね。それでああいうふうに想(おも)いを燃やすことしかできなかった。最後にはお互いに鏡のような存在であることに気付くことができましたけど、最初は……(笑い)。
神谷さん 「話し合えばいいじゃん!」ってことだよね(笑い)。でも、全く聞く耳を持たないのは、不遇な存在だから仕方ない。零を演じる僕は、それを受け入れなきゃいけないんですよ。でもそれを音にするとなると、とてもしんどくて。せりふって会話で成り立っていくのに、零の場合は頑張れば頑張るほど空回りをしていく。作品的にも僕的にも、加減が分からずとにかく全力で殴っていかなきゃいけない。それに対して誰かが殴り返してくれればいいんですけど、あまりにも一方通行で、何の戦いにもなっていないんですよね。それがもう、とにかくしんどかった(笑い)。
沢城さん 度が過ぎているから、みんな引いちゃうんだよね(笑い)。
神谷さん 鬼太郎が珍しく目玉おやじに「父さん、僕は彼のことは許せません」って愚痴っていたくらいだからね(笑い)。
沢城さん 小声で愚痴りましたから(笑い)。
神谷さん お芝居として成立しているんですけど、演じる側としては何の達成感も無い回がずっと続きました。ですが、第75話「九尾の狐」ではいろいろなことを分かった上での殴り合いになっていくので、ちゃんと熱量を持って言ったら、言い返してくれるという会話が成立した。やっと歯車がかみ合ったので、ようやく「鬼太郎」を楽しむことができましたね。ちゃんと最後の最後に、出口を用意してくださって感謝しています。
――零のエピソードは終わってしまいましたが、また「鬼太郎」に出演したいですか?
神谷さん 今回は7回だけの出演だったので、個人的にはもっと出たいとは思いましたが、これ以上関わっていたら鬼太郎たちと仲良くなってしまって、役の緊張感を保てなくなっていたかもしれません。なので7回の出演でちょうど良かったと思っています。それ
と石動零は孤独や卑屈な気持ちに支配された偏った意見を一方的に押し付けて、ひたすら空回りするだけの苦しい役柄だったので、僕の後ろ向きな性格と相まって実はやってる最中はとてもつらくて、楽しくはなかったんですよね。でも第75話ではやっと一方通行ではないせりふのやり取りをできて、いろんなことが解消したのですごく楽しかったです。だから、もしなにかの形でまた出演させていただけることになったら、今回の経験を踏まえた上で鬼太郎たちと違う関わり方ができるのかなぁと思います。トータルとしてはとても楽しかったと思います!
「ゲゲゲの鬼太郎」第6期BD&DVDボックス第6巻に付属する20ページのブックレットには、沢城さんと神谷さんのインタビューやスタッフインタビューなどを掲載。ポストカード2枚セットも付属する。BDが1万5200円、DVDが1万1200円(共に税抜き)。
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