人気ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の二宮飛鳥役などで知られる若手声優の青木志貴さん。自身を「ボク」と呼ぶ“ボクっ娘”で、“魔王”のニックネームで「League of Legends」などのオンラインゲームをがっつりやり込むコアゲーマーという異色の経歴も併せ持つ青木さんが、その独自の視点で自身の歩みやさまざまな思いを語ります。
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こんにちは! 青木志貴です! もう2019年も終わろうとしておりますが、皆様にとってどのような一年だったでしょうか? ボクはこの一年、本当にまた新しい挑戦をたくさんさせていただけた年だったなぁと思います。そんなわけで、今回は前回に引き続き、11月のアイドルマスターシンデレラガールズ名古屋公演の振り返りをしていこうかなと思います! 前回は準備編だったので、今回はLIVEの内容だったりレッスンやゲネのときの感想についてお話しさせていただきます。(全4回、その4)
飛鳥さんのソロ2曲目「反逆的同一性 -Rebellion Identity-」。実はこの曲を名古屋で披露するとは全く想像していなかったので、セットリストをいただいたときに一番驚いてしまいました。デビュー曲の「共鳴世界の存在論」とはまた違うテイストのかっこよさがある曲で、歌詞からも飛鳥さんのこれまでの歩んだ道のりや成長が感じられる曲です。
ただとても心配だったことがあって。それは「ダンサーさんも全くいない、本当にひとりきりでの初めてのステージ」になるということ。今までソロ曲は何度も歌わせていただいたのですが、いつも後ろではダンサーさんが支えてくださったり、飯田氏とふたりで歌わせていただいたり……。本当の「ひとりきり」で歌ったことが一度もなかったんです。それがボクにはとても不安でした。
ボクは基本的に全く緊張しない人間なので、「ひとりきりでステージに立つこと」自体の不安ではなく、「ボクなんかにひとりきりで会場を魅了できるパフォーマンスができるのか」ということ。今までは本当にダンサーさんに助けていただけたお陰でかっこいいステージになっていたと思うんです。ただ今回は「ボクひとり」の力で、良いステージにしなければならない。これが本当にプレッシャーでした。
振り付け自体もソロ1曲目に比べるとマイクスタンドでのパフォーマンスがない分とてもシンプルなものだったので、本当に自分でなんとかするしかない、みたいな……。個人でスタジオを借りて深夜錬してたときも、反逆的同一性 -Rebellion Identity-を一番研究してたと思います。
ボクが初めてシンデレラのライブに出演させていただいたときのコラムを覚えている方はいらっしゃるでしょうか。そこでボクは「飛鳥さんはステージ上では最後までかっこよくあろうとするだろうから、ステージ上では絶対泣かないと思う。だからボクは涙もろいけど泣かないようにがんばりました」とお話ししていたと思います。
しかし今回はだめでした。みなさんご存じの通り大号泣(笑い)。 2日目の朝のリハの時点で、ちょっと自分の様子がおかしいなってことは感じてたんですね。喉の調子が悪いとか体調が悪いとかではなく、気持ちの部分で。今までに一度も間違えたことがなく、全く意識すらしていなかった箇所の歌のリズムがリハでは分からなくなってしまってちゃんと歌えなかったり。本番当日のリハになって急に歌えなくなってしまったので「これはやばい」と思って、リハが終わってからはいつも楽屋でおしゃべりしたり準備したりしてたのですが、この日ばかりはひたすらひとりでソロ曲を何度も何度も聴き直してリズムの確認をして。だから本番ではソロが終わってステージ上で散々泣いて一旦楽屋に戻ってきたとき藍原さんに「ちょっと何で泣くの~やめてよ~!泣きそうになるじゃん!!」って言いながら迎えられたんですけど(笑い)
「ボクもまさか泣くと思ってなかった~」って返したらそのあとに、「でも今日なんか朝からちょっと様子おかしかったもんね」って言われたんです。ボクの様子がおかしかったことに気づいてくれてたことがまたうれしくて、そこでも泣きかけましたけど、さすがに恥ずかしいから我慢しましたよ!!(笑い) ステージで歌っている間、ボクは今回いろんなことを考えながら歌ってしまったのもよくなかったなあと思います。
今までは歌って踊ることにただ必死だったのですが、(杜野)まこさんといろんなお話をしてからこの日を迎えたこともあって、この曲について、飛鳥さんについて、とてもたくさん考えました。
これもボク個人の勝手な解釈なのですが、プロデューサーに見つけ出してもらって、デビューしたばかりの頃の飛鳥さんは、斜に構えて孤独であることを自ら望んでいるような。自分の理解者は全然いなくて、プロデューサーだけがわかりあえる唯一の人間。そんなふうに考えてる少女なのかなという印象でした。
それからたくさんのアイドルと出会って、たくさんのステージに立って、、中には結構激しく他のアイドルさんと衝突してしまったこともありました。特に印象に残っているのがダークイルミネイトでの蘭子さんとの出来事。収録の際、ボク自身がめいってしまうぐらい、胸が苦しくなるコミュだったので、そうやってたくさんの人と出会って、ぶつかって高めあっていくうちに、ボクの最初に抱いていた飛鳥さんの印象と今の飛鳥さんの印象は大きく変わっていました。
斜に構えているし、ひとりでいることも楽しめる。だけどプロデューサー以外にもたくさんの理解者を得ることができて、同時に他のアイドルさんや人間関係について理解することができるようになっている。本当に「二宮飛鳥」という少女はアイドル活動を通してたくさん成長しているんだと、このライブの期間中、反逆的同一性 -Rebellion Identity-という曲に向き合っていてとても強く感じたんです。
人を理解した気になっていた自分に気づけたこと、本当の意味で人を理解するということ。個性を理解して赦(ゆる)し合えること。そして現実と自分を俯瞰(ふかん)して、たとえそれが自分にとって屈辱的で受け入れがたいことだったとしても、きちんと受けとめられるだけの強さがあること。それから仲間であって同時にライバルで、絶対に「負けたくない」という意志。14歳の少女がここまで考えられるのかな?と思ってしまうくらい大人で、強くて、本当にすごいアイドルだと思ってます。
それと同時に、いろんな経験をつんだ今の飛鳥さんならきっと「泣かないことや我慢することが強さじゃない」という考えていてもおかしくないのではないかと。素直に自分の思いを伝えることの大変さ、大切さがわかったからこそ、時には感極まって泣いてしまうことがあってもいいんじゃないかと思い始めました。
ありのままの自分をさらけだすことって、とても勇気のいることだから。ありのままの自分を見せられるのも強さだよね。そんなことを考えながら、歌っていたらもう、だめでしたね(笑い) 涙もろいので号泣してしまうと歌えなくなるのは確実だったので、初披露でそれだけはなんとか避けたくて頑張ってこらえたのですが、曲の後半では声が詰まってしまったり。
そして自分で一番驚いたのが、指を差し出す振り付けのときにめちゃくちゃ指が震えてたんです。一度も経験したことないぐらい。人間って自分の意志に反して本当にこんなに指震えるの?ってぐらい震えてて、それを見て初めて「あぁ、ボク緊張してたんだ」って思った瞬間でした。まさかの本番中ですけど……。緊張しなさすぎることが悩みでもあったので、自分の人間らしい部分が一瞬見えて感動もしました(笑い)
結果的に、決して満足のいくパフォーマンスではなかったです。飛鳥さんはこんなもんじゃなくて、もっともっとかっこよくて可愛らしい部分もあって、ボクにとってはまだまだ遠くにいるアイドル。ボクももっと頑張ろうって、もちろん思うんですけど。ボクが頑張るのと同じように、もしくはそれ以上に、これからもどんどん飛鳥さんは成長していって先に進んでいくと思うから、きっとこの距離は埋まることはないんだろなあ。飛鳥さんがボクの人生を変えてくれて、ずっとボクの前を歩き続けてくれる、一番のアイドルで目標でもあり続けるんだろうなぁと思います。
長くなってしまいましたが、そんな感じの名古屋公演感想でした! ライブは本当にたくさんの反響をいただけて、本当に思い出に残る、そして本当に良い経験をさせていただけた公演でした。次は来年2月の大阪公演があるので、この名古屋公演を糧にさらに素敵なステージにできるよう頑張りたいと思います!
これからも飛鳥さん、そしてついでに青木志貴の応援よろしくお願いします! 今年もまた、すてきなセカイを見せてくれたプロデューサーと飛鳥さん、そして共演者の皆様やスタッフさんに心から感謝を。
あおき・しき 1月14日生まれ。162センチ、AB型。「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二宮飛鳥役など。声優、タレントと多方面で活動中。ゲーマーとしても「魔王」の愛称を持つコアゲーマー。
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