注目映画紹介:「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」 より深みを増した新作 250カット以上追加

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の一場面(C)2019こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
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「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の一場面(C)2019こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

 大ヒットした劇場版アニメ「この世界の片隅に」に新規カットを加えた「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」(片渕須直監督)が12月20日、テアトル新宿(東京都新宿区)ほかで公開された。主人公・すずと遊郭で働く白木リンの交流など幾つものシーンが新たに描かれている。作品の印象が変わり、新作として見ることができる。

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 追加されたカットは250を超えるという。追加されたシーン、せりふによって、作品の印象が随分変わった。遊郭で働く白木リンのせりふの一つ一つが印象的で、すずの「この世界の片隅に……」というせりふがより深みを増したようにも感じた。

 「この世界の片隅に」の原作は「漫画アクション」(双葉社)で連載され、2009年に「文化庁メディア芸術祭」のマンガ部門優秀賞を受賞したこうの史代さんのマンガ。戦時中、広島市から呉市へ嫁いだ18歳のすずの生活が、戦争の激化で崩れていく様子が描かれた。アニメは2016年11月に公開され、いわゆる単館系の作品だったが、異例のヒットを記録。日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞に選ばれたほか、アヌシー国際アニメーション映画祭で長編部門審査員賞を受賞した。

 「この世界の片隅に」は何度見ても新たな発見がある作品だった。見る度に、同じく片淵監督が手がけた「マイマイ新子と千年の魔法」をもう一度見たくなる……というループを何度繰り返したことか。今作もきっと、一度見ただけでは、気付かなかったことがたくさんあるはず。何度も繰り返し見たくなった。そしてまた同じループに……。(小西鉄兵/MANTAN)

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