柴咲コウ:「エール」で初の朝ドラ 主人公夫婦に影響与える世界的オペラ歌手役 歌唱シーンも

2020年度前期の朝ドラ「エール」に世界的オペラ歌手の双浦環役で出演する柴咲コウさん (C)NHK
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2020年度前期の朝ドラ「エール」に世界的オペラ歌手の双浦環役で出演する柴咲コウさん (C)NHK

 窪田正孝さん主演で、3月30日にスタートする2020年度前期の連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」の公式ホームページが2月3日に開設され、女優の柴咲コウさんの出演が発表された。2017年放送の同局の大河ドラマ「おんな城主 直虎」で主演を務めた柴咲さんだが、今回が初の朝ドラ。主人公の古山裕一(窪田さん)と、裕一の妻となる女性・音(二階堂ふみさん)の人生に多大な影響を与える世界的オペラ歌手の双浦環(ふたうら・たまき)を演じ、歌唱シーンもある。

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 ◇世界的オペラ歌手の双浦環とは? 出演オファーをもらい…

 「エール」の主人公は、福島県の作曲家・古関裕而(ゆうじ)さんがモデル。古関さんは全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」、プロ野球・阪神タイガースの応援歌として知られる「六甲おろし」を手がけたことでも知られる。ドラマは昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲を数々生み出した作曲家、裕一とその妻・音の物語となる。

 柴咲さんが演じる双浦環は、大正12(1923)年の秋、音が11歳の時に豊橋の教会で出会う、世界的に活躍するオペラ歌手で、環の歌声に心引かれた音は、この出会いをきっかけにプロの歌手を目指すことになる。月日は過ぎ、昭和7(1932)年1月、東京の音楽学校で音は環と再会。そして環は、音はもちろん、裕一にも多大な影響を与える存在となる。

 柴咲さんは出演オファーをもらって、「“朝の顔”とも言えるドラマに出られるかもとなったときは、素直にうれしかった」というが、その一方で「世界で活躍されているオペラ歌手の役ですって言われて、どうすれば再現できるのか、という気持ちの方が勝った」とも明かしている。

 ◇オペラの歌唱法、演じながら歌う…「本当に難しさにぶち当たっている」

 女優業と並行して歌手としても活動してきた柴咲さんだが、オペラ歌手役は当然、初めて。歌唱法や立ち居振る舞い、たたずまいは、「それこそマリア・カラスのような」有名どころはもちろん、さまざまなタイプのオペラ歌手を参考にしつつ、地道なレッスンを重ねる道を選んだ。

 「普段もコンサートツアーを控えているときは、ボイストレーニングをしているんですけど。今まで自分が培ってきたものは独学の部分が多いので、自分の持っているものを活用しても、世界的なオペラ歌手にはなれない。だから、そこはレッスンを積み重ねるしかないと思って、練習しているところです」と柴咲さん。

 もちろん、オペラの歌唱法は一朝一夕で身につくようなものではない。さらに今回は“役を演じながら、歌う”という意味での二重の難しさもある。

 「本当に難しさにぶち当たっている感じです。最近、声がちゃんと出てきたなと思っても、いざ本番となると、お芝居として“見せる”というスイッチが邪魔をして、カメラが回っていないと出ていた声が急に出なくなってしまったり。そういう繊細な部分が声に表れてしまうものなんだなと、本当に苦戦しています」と明かす。

 それでも「たとえ全然違う道であったとしても、無駄なことは一つもないというか。声楽の基礎を一から学ぶという経験が、今後の自分の歌手活動にすごくいい影響を及ぼすのではないかと感じています」と前向きに捉えていて、「それこそプロのオペラ歌手は、体全体を使わないとこんな声は出ませんよっていうのをしれーっとやる、体が楽器みたいで声の響きが全然違うので。それを数カ月の練習で、というのは難しいですが、私に与えられた仕事は、いかにウソじゃないと思わせるか。技術的な面はもちろん、人として魅力的に見せることが一番の課題なのかな」と語ってみせた。

 ◇自分の姿勢を正された「直虎」以来のNHK作品 新たな“気づき”も

 柴咲さんにとって朝ドラ「エール」は2017年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」以来のNHK作品となる。

 改めて「直虎」を振り返ってもらうと、「自分の姿勢を正されたきっかけ。一つの作品を同じスタッフさんと一緒に1年以上やる機会なんて、なかなかないわけで。それまで自分のことを飽き性と思っていて、取り組む前は1年間も気持ちが続くのか不安でしたが、住まいも生活も変えるくらい、のめり込んでしまった。引っ越しをして、せりふを覚えることとNHKに通うこと、それ以外は何もしたくないくらいのモードで、修行僧みたいな生活をしていたのですが、それが自分にとって、とても心地良かったんですね。人ってそういう課題を与えられると、頑張れるんだなって思ったのと、もうちょっと自分に厳しく生きなくちゃなって思わせてくれた作品でした」としみじみと話す。

 「直虎」では、長い時間をかけて役が作られていくという側面があったものの、「私たちは本当は初日から100%演じられないといけないんですよね。そういった意味でも今回のような下準備って大切だなと思っていて。あまり練習とか好きな方ではなかったのですが(笑い)、つくづく事前準備の大切さを感じているし、この年になってそれに気づけたのは本当にありがたいなと思っています」と感謝していた。

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