海に眠るダイヤモンド
最終話前編(9話) あの夜
12月22日(日)放送分
俳優の長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)。ここまでの物語で「MVP」を一人挙げるとしたら、“美濃のマムシと恐れられた男”斎藤道三を演じる本木雅弘さんの他にいないだろう。5月10日放送の第17回「長良川の対決」では、道三が嫡男・高政(伊藤英明さん)と争い命を落とした「長良川の戦い」が描かれるといい、「道三ロス」待ったなしといった状況だ。そんな本木道三の活躍を振り返る名場面プレーバック。きょうは第16回「大きな国」(5月3日放送)で、光秀(長谷川さん)に思いを託した“遺言”シーンを紹介する。
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前週第15回「道三、わが父に非(あら)ず」(4月26日放送)で対立が決定的となった道三と高政。第16回では、国を二分する戦を止めようと光秀が奔走するも、その願いむなしく、高政を討つべく道三は出陣を決める。
自分のところへやってきた光秀を前に道三は、土岐頼芸(尾美としのりさん)が本当の父親だと言いふらしている高政を例に、「人の上に立つ者は正直でなくてはならぬ。偽りを申す者は必ず人を欺く。そして、国を欺く。決して国は穏やかにならぬ」と言い聞かせると、「わしはケチだが、それをわしは隠したことはない。そうは思わぬか?」と問いかける。
さらに光秀に「そなたは正直者だ。それでよい」と伝えると、自らを「老いぼれ」と呼びつつ、高政に家督を譲ったことを「間違い」と認め、「間違いは正さなくてはならぬ」と決意を告白し、光秀の制止を振り切り出陣の声を上げる。
最後に光秀に振り返った道三は、後光を浴びながら「わしの父親は山城の国から来た油売りで、美濃に居つき大を成した。わしによう申しておった。美濃も尾張もない、皆一つになればよい。近江も大和も。さすれば豊かな大きな国となり、誰も手出しはできぬ。わし一代ではできなかったが、お前はそれをやれと。わしも美濃一国で終わった。しかし、あの信長という男は面白いぞ。あの男から目を離すな。信長となら、そなたやれるやもしれぬ。大きな国を作るのじゃ。誰も手出しできぬ、大きな国を」と思いを託すと、「さらばじゃ」との言葉を残して、光の中に消えていく……。
同シーンでの道三のせりふは、視聴者に“遺言”と捉えられ、「うわあ(涙)」「何という悲しい戦」「これは光秀に対しての道三からの遺言……」「今回のサブタイ『道三の遺言』でもよかったかもしれない」「激アツ展開すぎて涙涙……」などと反応。さらにSNS上には「道三、かっこよすぎるじゃろ」「モックン、超カッコいい」「道三がかっこよすぎて涙出てきた」「分かってはいたが心が震えた」「本木雅弘さんの熱演する姿、震えるぐらい感動した」「スーパー道三様タイム最高だった!」といった声が次々と上がった。
第15回に続き、第16回の演出も担当した一色隆司さんは、「大桑城で道三が光秀と対面するシーンでは、道三の心情に合わせてメークを変えたほか、道三のエネルギーの高まりに合わせて、日が昇っていく様を照明で表現しています。演者だけでなく、メーク、照明などのスタッフが一丸となって作り上げました」と明かしている。
また、第16回の放送後、ドラマの公式ツイッターは道三役の本木さんのコメントを掲載。「道三、62歳。還暦を過ぎていますが、監督から『いくつになっても生気みなぎる道三でいてほしい』と言われました。たとえ息子でも、隙(すき)あらば襲いかかっていく父親。家督を息子に譲り、剃髪(ていはつ)もしましたが、まだまだ一筋縄ではいきませんよ」と語っていた。
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