女優の土屋太鳳さんが、2021年早春に公開される主演映画「哀愁しんでれら」で、社会を震撼させる凶悪事件を起こした女性という難役を演じることが5月19日、明らかになった。自身初となる連れ子の母親役でもあり、土屋さんは今作のオファーを3回断ったという。
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主人公は、市役所に勤める平凡な女性・福浦小春で、一晩で怒濤の不幸に遭い、すべてを失ってしまう。人生をあきらめようとした小春は、8歳の娘を男手一つで育てる開業医と出会い、引かれていく。彼の娘とも仲良くなり、プロポーズを受け入れ、シンデレラになった小春だったが、新婚生活を始めたある日、前代未聞の凶悪事件を起こしてしまう……というサスペンス作品。
日本テレビ系の連続ドラマ「時をかける少女」(2016年)、映画「3月のライオン」(大友啓史監督、2017年)、「ビブリア古書堂の事件手帖」(三島有紀子監督、2018年)などの脚本を担当した渡部亮平さんの完全オリジナル脚本で、渡部さんは監督も務める。渡部さんは今作が商業映画の監督デビューとなる。
同時に、土屋さん演じる小春の場面写真が解禁された。シンデレラさながらのドレス姿で、娘が通う小学校の教室のような場所にたたずむ姿が収められている。
初めてこの物語を読ませていただいたとき、私が感じたのは嫌悪感と疑問でした。光栄だけれど、なぜ私にと思ってくださるんだろう。理由を知りたくて監督にお会いしましたが分からず、おこがましいながらお断りしました。覚悟できないまま取り組む物語ではないからです。でも、脚本は私の前に戻ってきました。4回目に戻ってきたとき、急に「この物語は生まれたがってるんじゃないか」と感じたんです。脚本の中で小春が泣いているようにも感じました。
私にできることがあるなら、一緒に泣くこと。理解できるかではなく生まれてくるものを愛すること。そう感じたころ共演者を知り、その方と踏み出せるならと覚悟を決めました。迷った末の撮影は得難い時間の連続でした。命が命を愛そうとする時の摩擦熱のような何かが今も心に残っています。感じていただけますよう。
◇渡部亮平監督のコメント
初めての商業監督作品をオリジナル脚本で挑戦できる喜び――。しかも主演は、SiaのMVを見たとき表現力の高さに圧倒された土屋太鳳――。TCP(TSUTAYA CREATORS’PROGRAM)に出品され、2016年のグランプリを受賞。監督自身の完全オリジナル脚本で映画化されでグランプリを受賞し、夢のようなチャンスを手に入れ、なにがなんでも面白い映画を作らなければと、一心不乱に完成まで突き進みました。脚本を書いたのは7年前、25歳のころか……。なかなか実現しなかったおかげで、幸運にも最高の舞台が整い、胸を張れる商業デビュー作となりました。
「私は幸せになれるのか?」という誰もが抱える漠然とした恐怖を、なんとか拭い去り日々を懸命に生きようとする『哀愁しんでれら』の主人公・小春は、現在の土屋太鳳さんにどうしても演じてほしい役でした。撮影を通して、怒濤の展開に振り回されながら、さまざまな表情を見せてくれる土屋太鳳という女優の表現力の豊かさに改めて胸を打たれました。
最後に。とびきり面白い映画に仕上がりました。「幸せにならなきゃ!」という思いに無意識ながら苦しんでいる方は必見です。いい人と結婚したい。いい暮らしがしたい。いい母親になりたい。いい子に育てたい。社会から押し売りされた幸福の理想像や手放せぬ願望によって、気づかぬうち真綿で首を締めるように追い詰められていく。普通だった女の子を、まったく想像もしてなかった存在にまで変貌させてしまう。「哀愁しんでれら」は決して他人事ではなく、あなた自身が主人公になりうる物語です。あっ、白馬の王子様は登場しません。でも、もっとすてきな俳優が出演します。続報をお楽しみに!
この物語の中で生きる小春はどこにでもいる可愛らしい真面目でひたむきな女性です。小春をイメージしたときに最初にはっきりと思い描けたのが土屋太鳳さんでした。いつも笑顔で頑張り、相手を気遣い、たおやかで母性を持ちながら、新しいことへ飛び込むことに躊躇しない大胆さ。小春の移りゆくさまざまな感情を等身大で細やかに表現してくれると確信してオファーしました。そして、いざ撮影が始まってみると、私の想像を超える小春がそこにいたのです!“土屋太鳳”という女優に新しい1ページを作ることができたのではないかと勝手に思っております。
この作品は弊社TSUTAYA CREATORS’ PROGRAMより選出されました。最終選考では喧々諤々(けんけんがくがく)の議論を呼び、この議論こそがまだ見ぬ面白さが詰まった作品の証拠ではないでしょうか。今回で渡部亮平監督は商業映画デビューとなります。その演出と脚本は、時に大胆に、時にワガママに、世界を狙える作品となりました。土屋太鳳さん演じる小春が皆さんの隣人として現れる日は2021年早春。ぜひ劇場でお楽しみください。
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