ライオンの隠れ家
第7話 ライオンを守るための旅行
11月22日(金)放送分
俳優の林遣都さんが主演するドラマ「世界は3で出来ている」(フジテレビ系)が6月11日午後11時から放送される。同作は、リモートによる打ち合わせや“密”を避けて撮影するとった“ソーシャルディスタンスドラマ”と銘打った作品。同作について「なかなか挑戦的な試みをしているドラマ」と語る林さんが、一人三役に初挑戦した感想や見どころなどを語った。
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ドラマは、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」などの水橋文美江さんが脚本を担当し、「フジテレビ開局60周年特別企画 教場」などを演出した中江功監督がメガホンをとった。明るくお調子者で全てノリで生きてきた“落ちこぼれサラリーマン”の望月勇人が会社を辞めたいと思っていたところ、緊急事態宣言が発令され、仕事環境が一変。宣言が解除されたある日、一卵性三つ子の兄・泰斗と弟・三雄が勇人の元にやってきて……という内容。林さんは、勇人、泰斗、三雄を演じる。
昨年から今年にかけて、(「スカーレット」の)脚本の水橋さんと(「教場」の)演出の中江さん、このお二人との出会いは自分の中での大きな出来事でした。もっと水橋さんの描く人間を演じたいと思いましたし、中江組をもっと経験したい、またいつか参加したいという気持ちがあったので、まさかそのお二人で、しかも出演者が自分だけという形で、声をかけていただけたというのは、とてもうれしかったです。
今、いろいろなところで新しい試みでの撮影が行われている中で、映像作品を作る人たちにも、きっといろいろな変化があったと思います。そんな中で、自分が一人の俳優として何をやっていくのか……。脚本があって、監督さんやスタッフの方々がいて、普通に演じられる喜びを(今回で)改めて感じました。もちろん、撮影はソーシャルディスタンスを守ったり、スタッフさんの人数を減らしたりと変わってきていますし、いろいろ守るべきことはありますが、やっていることは今までと変わらず、スタジオにセットを組んでいただいて。改めて、役者って一人じゃ何もできないんだなと思いましたし、実際にこうして撮影に入ってみても、皆さん(スタッフ・キャスト)が集まって初めて、一つの映像作品が生まれるんだということを感じました。これからも撮影環境は変わっていくとは思いますが、今自分ができることをやっていきたいなと思いました。
本当に水橋さんの脚本が大好きなんです。昨年から今年にかけて1年弱、「スカーレット」で一人の人間を作っていただいて、それを演じていて、ずっと感動しっぱなしでした。水橋さんの見てきたものや、人生観や世界観、笑いのセンス、すべて本当にとても好きで、演じがいがありました。また、水橋さんが生み出す人間を演じたいと思っていたんですけれど、まさかこんなに早く、しかも三人も書いていただいて演じることができるというのは自分にとっては大きな喜びでした。
今回台本を読んでいて、改めて感じたことは、水橋さんの台本は、セリフが自分の(お芝居の)準備や努力とは別のところで勝手に染み込んでいくというか……。それが何でなのだろう、と思ったときに、水橋さんの台本ってすごく“余白”があるんだなと感じました。今回だと、3人が子供のころにお世話になった近所のラーメン屋さんの若社長の話とか、お母さんのこととか、いろいろな背景がどの登場人物でも、役の上で登場しない人でもしっかり描かれていて。演じる側がそれを想像してイメージを膨らませて、水橋さんが与えてくださった設定を作り上げていかないとすごく薄っぺらいものになってしまうと思うんです。かなりハードルの高い台本で、難解なのですが、その作業を自分でやっていくことによって、一つ一つのせりふが、本当に自分がこの役をずっと生きて経験してきたかのようにその手助けをしてくれるんです。だからやっぱりすごい台本だなって今回、より強く感じました。
三つ子という設定には最初驚きましたけれど……。とても難しいだろうし、かなり挑戦的な企画だなと思いましたがやりがいを感じました。演じ方によって、出来上がるものが全く変わってくるなって感じたので、一つ一つ台本を読みながら膨らませていきました。でも、自分が三つ子を、三人分を演じるので、同じ顔はどうしようもない。撮影期間も短く、入れ替わりながら撮っていく中で、とにかく一人一人気持ちを込めて演じていくことを軸におきました。見てくださっている人に、掛け合いや空気感で、だんだんそこにいる三人が何となく、気がついたら別人に見えていたらいいなと。精いっぱい自分の心を込めて演じることでどこまでできるかなって。
(三役を)入れ替わりながら演じていくのは、僕自身も混乱しました。台本ができてから撮影までの限られた時間で自分がどこまで膨らませられるかということが勝負だと思っていました。今回の企画で、映像作品のスペシャリストの方たちと一緒にお仕事できたということの喜びの方が大きく、とにかく楽しかったです。あとは自分がどこまで突き詰めていけたか?というところです。
昨年「教場」で初めてご一緒して、感銘を受けたというか……。当時も話していたのですが、中江組の雰囲気、演出……。映像作品の現場ってこうでないと、と思うことが多々ありました。今回もそれをより強く感じました。ものすごい分量と大変な撮影を短い時間で皆さんされていて。そんな現場が自分にとってすごくプラスで、こういう監督のもとでもっと演じるべきだなと改めて思い知らされました。
今回、自分なりに準備はしましたが、中江監督が「さあ、どう演じるの?」っていう感じで、どれだけ大変な状況でも俳優力が試されているというか、撮影中にせりふや芝居で失敗しそうになった時に、「中江監督のもとで育った役者さんは、たぶんこんなの当たり前にやるんだろうな」っていうのがすごく自分の中にはあったんです。それがあるので、自分もどこまででも頑張れるというか、やればやるほど結果や出来上がりが変わってくるんだなっていうのは感じています。今までなかなか出会えなかったタイプの監督さんなんです。
「教場」の時に印象的だったのは、大勢のキャストやスタッフの方々がいたのですが、誰に対しても分け隔てなく愛情を持って接してくださる……。とにかく人柄がすてきな方なので、今回出演者が一人で、これだけマンツーマンで演出していただけるというのは今後の自分の財産になると思いますし、大きな作品になりました。
あんなにうれしい言葉はないです。でも、プレッシャーでもあります。
今回のドラマは、ソーシャルディタンスドラマという、なかなか挑戦的な試みをしているドラマだと思います。現場も試行錯誤で苦労しながらやっていましたし、僕自身も(放送を見るまでは)どんな映像作品に仕上がっているのか想像ができません。今の段階でのこの作品の見どころは難しいですけれど、改めて「テレビドラマっていいな」と感じていただけたら。いくらでも想像が膨らむ作品になっているので、僕自身演じさせていただいて、こんなに幸せなことはありませんでした。「またドラマを見たいな」という気持ちになっていただけたらうれしいです。
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