全領域異常解決室
第7話 すべてお話します 物語はここから始まった
11月20日(水)放送分
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新作ドラマの制作が次々ストップすると、各局は「特別編」「傑作選」などの名の下、過去のドラマを再放送するなどして対応してきた。そんな中で、「JIN-仁-」「コウノドリ」「ノーサイド・ゲーム」「恋はつづくよどこまでも(恋つづ)」といった人気作を立て続けに放送し、存在感を見せたのがTBSだ。地域によっては現在、1週間で「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」「大恋愛~僕を忘れる君と」「愛していると言ってくれ」「99.9-刑事専門弁護士-」が見ることができてしまう豪華ラインアップが実現。「逃げ恥」のように、わざわざ今回のため未公開シーンを追加し、再編集した作品もあり、選定も含めて「さすがドラマのTBS」と感じている視聴者も多いのではないだろうか。
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作品は大きく二つに分類される。メッセージ性の強いヒューマンドラマと、見ているだけで気持ちが明るくなるような娯楽作だ。「神は乗り越えられる試練しか与えない」に代表される名せりふが数々登場する「JIN-仁-」、命が誕生する「奇跡」などをテーマにした「コウノドリ」、 低迷中のラグビーチームの再生を背景に戦う男たちの誇りを描いた「ノーサイド・ゲーム」は前者で、男女が障害を乗り越えながら愛を深めるラブストーリーの「愛していると言ってくれ」や「大恋愛」もこちらに含まれるだろう。
一方、後者は「恋つづ」と「逃げ恥」が該当し、この2作品は、同局の火曜ドラマ(火曜午後10時)枠を代表する近年まれに見る大ヒットラブコメ(だけとは言い切れない魅力があるが)という共通点もある。また、「99.9」も勧善懲悪と逆転劇が絶妙に合わさった王道エンタメで、最後にはスカッとできる娯楽作と言える。
もちろん、どの作品も一つのジャンルに押し込めることはできない多面的な要素を兼ね備えているが、TBSの編成担当者は、今回の作品選びに関して「コロナ禍だからこそ、見た方が前向きになれるメッセージ性。コロナ禍だからこそ、大変な日常を忘れて楽しめる娯楽性。この2点を意識して作品を選びました」と話していて、各作品、SNSを中心に盛り上がりを見せ、好評を博していることに対して「しっかりとテーマを持って描かれた作品は、時がたってもまた支持されるのだと、改めてテレビドラマの持つ力を感じました」と手応えを感じているようだ。
「コロナ禍だからこそ」という意味では、「逃げ恥」の“リモート恋ダンス”のようなサプライズ演出も見逃せない。5月26日放送回で新垣さんと星野さんがリモートで恋ダンスを踊る新映像がエンディングで流れると、当然のようにSNSは沸いたが、「Paraviなどの配信プラットフォームで過去作が気軽に見られる時代だからこそ、STAY HOME中の視聴者の皆さんに、少しでも『あ!これ初めて見た!』という楽しいサプライズをお届けできたら」(前出の編成担当者)というのが狙い。5月31日放送の「愛していると言ってくれ」で話題となった豊川悦司さんと常盤貴子さんによる“リモート同窓会”も、制作サイドの「楽しいサプライズをお届けできたら」という思いの表れだ。
一方、テレビ局としては、「特別編」「傑作選」などの名の下、続けられてきたドラマ再放送が好評であればあるほど、視聴者の間で「このままずっと過去の名作ドラマの再放送でもかまわない」という思いが膨らんでしまうというジレンマもあるのではないか。
その点について質問すると、編成担当者からは「過去のTBSドラマが2020年の今でも、多くの視聴者に支持されたことは率直にうれしいです。そして、その評価を超えられる新作ドラマを早くお届けしたいと思っています」と明快な答えが返ってきた。
本当の意味で“ドラマのTBS”が存在感を見せるのは、次の新作ドラマの放送からなのかもしれない。
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