テレビ試写室:「スイッチ」 阿部サダヲ&松たか子が見事な会話劇 坂元裕二の最新作

「ドラマスペシャル『スイッチ』」の場面写真=テレビ朝日提供
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「ドラマスペシャル『スイッチ』」の場面写真=テレビ朝日提供

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、6月21日午後9時から放送される俳優の阿部サダヲさん主演の「ドラマスペシャル『スイッチ』」(テレビ朝日系)だ。

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 ドラマは、「東京ラブストーリー」(フジテレビ系)、「Mother」(日本テレビ系)などを手がけた坂元裕二さんが脚本、映画「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」「響 -HIBIKI-」などの月川翔さんが監督を務める“大人のリーガルラブサスペンス”。

 阿部さんは本作で、横浜地検みなとみらい支部勤務の駒月直を演じ、初の検事役に挑む。直と対峙(たいじ)する元恋人の弁護士・蔦谷円を演じるのは、テレビ朝日のドラマ初出演となる女優の松たか子さん。このほかに眞島秀和さん、中村アンさん、石橋静河さん、岸井ゆきのさん、井之脇海さん、醍醐虎汰朗さんも出演する。

 学生時代から7年間交際し、別れた後もお互いの恋人を紹介し合うなど、何かにつけて顔をつきあわせ、憎まれ口をたたきあうという微妙な関係を13年間続けている検事の直と弁護士の円。ある日、直が担当する「みなとみらい連続突き飛ばし事件」で死者が出てしまう。事件が一気に深刻化する中、絶対に刑事事件を引き受けないと決めていたはずの円が、連続突き飛ばし事件の被疑者を弁護することになり、元恋人同士の2人が、検事と弁護士として対峙する……というストーリー。

 坂元さんによる脚本の魅力の一つとして、会話劇の面白さを挙げることができるだろう。本作でもコミカルかつシニカルな会話劇が随所に盛り込まれている。舞台や映画で何度も共演している阿部さんと松さんの黄金コンビによるテンポの良い掛け合いは見事だ。

 ストーリーは、元恋人の直と円が、それぞれの現在の恋人を巻き込んだ大人の恋愛模様が描かれるパートと、検事と弁護士という立場で対立するサスペンスパートで構成されている。ちょっぴり愉快なシーンと、緊張感あるシーンが入れ替わり、あっという間に2時間が過ぎてしまった。後半、物語は予想だにしない展開になり、「正義とは何か?」と考えさせられた。

 また、恋人時代の直と円の恋愛がドラマ化されているという設定で、冒頭に劇中劇が流れるなど、仕掛けらた小ネタも面白い。こちらも、注目してもらいたい。

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