特撮ドラマ「ロボコン」シリーズの約20年ぶりの新作となる映画「がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻」(石田秀範監督)が、7月31日に公開された。令和のロボコンの声優を務めるのが斎藤千和さんだ。新生ロボコンを演じるにあたり「昭和のロボコンを見ていた方も、平成のロボコンを見ていた方も、一番ハマっていたのは子供の頃だったはず。だからこそ、今の子供たちに向けて勢いがあって楽しいロボコンを届けたい」と思いを込めた。映画、ロボコン役への思いを聞いた。
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「ロボコン」シリーズは、どんな困難にもくじけないロボコンが、人間社会で繰り広げる“熱血ロボット根性ドラマ”。1974~77年に第1作「がんばれ!!ロボコン」が放送され、最高視聴率は29.2%を記録した。1999~2000年には、「がんばれ!!ロボコン」のリメーク作「燃えろ!!ロボコン」が放送された。新作では、ロボコンは町の中華料理屋で手伝いをするもドジを連発し、それがきっかけで誰も予期しなかった“中華料理の大暴走”という令和最大の謎の事件が発生する。空回りばかりのロボコンは、ロボ根性でこの難事件を切り抜けようとする。「燃えろ!!ロボコン」を手がけた石田監督と脚本の浦沢義雄さんが再びタッグを組む。
斎藤さんは、「魔法少女まどか☆マギカ」の暁美ほむら役、「<物語>シリーズ」の戦場ヶ原ひたぎ役などで知られる。ミステリアスな印象のキャラクターを演じることもあり、今回オーディションでロボコン役が決まった時は「私はいわゆるロボコンぽい声ではないので、まさか自分ができるとは思っていなかった」と振り返る。
「オーディション用のテープを収録した時は、まさか自分がやるなんて夢にも思っていなかったので、とにかく楽しく好き放題やったんです(笑い)。ロボコン役が決まった時はもちろんすごくうれしくて、『やった!』と思ったのですが、『どうしよう……これはなかなかハードルが高いぞ』と正直思いました」
斎藤さんは、「燃えろ!!ロボコン」放送時が、声優の仕事を始めた時期といい、「ロボコン」シリーズにハマった世代ではないという。「ロボコンに対して、元気なイメージはあるんですけど、自分の中で固まった印象がなかった。演じる上では、それが逆によかったのかもしれない」と話す。これまでロボコンは、「がんばれ!!ロボコン」では山本圭子さん、「燃えろ!!ロボコン」では伊倉一恵さんが演じた。
「ロボコン役が決まってから過去の作品を見たのですが、ちょっと見て『あ、やめておこう』と思ったんです。レジェンドの先輩方がロボコンを演じてらっしゃるので、ものすごく面白いし、キャラクターもキャッチー。これは、先輩たちのやり方をマネしちゃうなと思いました」
当初は「がんばれ!!ロボコン」世代、「燃えろ!!ロボコン」世代のファンを意識し、「もう一度ロボコンを楽しんでもらいたい」という思いも強かったという。
「ただ、我に返った時、『ちゃんと子供に向けてやったほうがいいかもしれない』と思い直しました。昭和ロボコンを見ていた方も、平成ロボコンを見ていた方も、多分一番ハマったのは子供の頃だったと思うんです。だから、大人になった方に懐かしいロボコンを提供するという考え方は間違っていると気付きました。自分がロボコンとして感じたものを現場で出して、勢いがあって楽しいロボコンを演じる。それが今回私が託してもらったロボコンとしては正解かもしれないと思いました」
子供たちが「楽しい」「面白い」と思うロボコン。自身も子供を育てる母である斎藤さんは、子供とのやり取りも役作りのヒントになったという。
「私は2歳の息子がいて、毎朝車で送り迎えをしているんですけど、息子の前でロボコンの『ロボ根性』『ウララ~』というフレーズを聞かせていたんです。息子が笑った時は『あ、この“ロボ根性”はアリなんだ』、息子がスルーした時は『これはナシだ』と(笑い)。とにかく元気で、真っすぐな言い方のほうが子供は笑ってくれた。子供にとっての面白いって、大人がイメージする面白いとはちょっと違うかもと気付きました。私はこの業界も長いので『こんな引き出しあります』とやりたくなってしまうんですけど、そうではなくて本当にストレートで元気なほうが子供には響くんだという学びがありました」
「がんばれいわ!!ロボコン」は新たなロボコン、ヒロインのロビンといったキャラクターはもちろん、汁なしタンタンメンなど“中華料理の大暴走”が巻き起こるというストーリーも話題になっている。「汁なしタンタンメンというあまりのパワーワードに驚いた」「台本を読んでもストーリーがちょっと分からなくて……。むしろ、台本を読み込んで収録に行ったら負けかもしれないと思った(笑い)」という。
アフレコ現場では、監督に「ものすごい勢いで撮影したので、アフレコもノリと勢いで見たまま楽しくやってください」とアドバイスされた。
「私としては、ロボコン役はかなりパワーを使う声の出し方でした。全てのせりふで、常に120%、200%を出すような、『常に一番面白い』という感覚でやっていました。『これが最後のせりふだ』『常に必殺技』という感じで、収録の間はテンションが上がってしまって、休憩中にイスにも座らず『イエーイ!』という気持ちのままぶっ通しでやりました。演じた後はフラフラになって、こんな感覚は久しぶりでしたね」
収録の中でも印象に残っているのが、ロビンに「ロボコン、あんた、あたしをなめてんの!」と言われたロボコンの「なめたーいロボコン!」というせりふだという。
「このせりふをテストでやった時に監督に『うーん、もうね、とにかくエロく!』と言われたんです。子供向けの作品でその演出だったので最初は面食らったんですけど、よくよく考えてみたら、子供たちはいわゆる『エロく!』という感じが楽しいんだろうなと思って。そこが、常にトップギアを出そうと思ったきっかけでしたね」
まさに全力で挑んだ新生ロボコン役。「ロボコン」シリーズで、ガンツ先生がロボットたちを採点するおなじみのシーンにちなみ、「ロボコン役は何点?」と聞くと、「今回は挑戦の意味も込めて77点」と答えた。
「ハッピーな数字で77。やはり作品はお客さんが見に来てくれて、楽しいといってもらって完成だと思っています。『面白かった、ロボコン!』と元気になってもらえたら100点を越して、200点にでもなる。大人の方にも構えずに見ていただいて、子供の時にテレビの前にいた感覚で見ていただけたら一番うれしいです」
昭和、平成、令和と時代を超えて愛され続けるロボコン。「がんばれいわ!!」も、今の時代に笑いと元気を届けてくれるはずだ。
(C)石森プロ・東映
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