名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
劇場版アニメ「思い、思われ、ふり、ふられ」(黒柳トシマサ監督、9月18日公開)に出演する声優の島崎信長さん。「アオハライド」「ストロボ・エッジ」などで知られる咲坂伊緒さんの同名マンガが原作で、島崎さんはイケメンな王子様タイプで女子にモテモテだがある葛藤を抱えている山本理央を演じる。島崎さんに、役への思いや演じる際に大事にしたことなどを聞いた。
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◇現実の人は「キャラが安定」なんてしない
「思い、思われ、ふり、ふられ」は「別冊マーガレット」(集英社)で連載されたマンガが原作。ダブルヒロインの山本朱里と市原由奈、理央と乾和臣の4人の恋模様を描いており、潘めぐみさんが理央の義理の姉の朱里、新人の鈴木毬花さんが理央に片思いする由奈、斉藤壮馬さんが由奈の幼なじみの和臣をそれぞれ演じる。
オーディションで理央役が決まったという島崎さんは「(原作は)エモーショナルだけど気持ちが追いやすく、とてもいい作品だなと思っていたのでうれしかったです」と喜ぶ。理央はクールなイケメンで女子にモテる王子様タイプだが、島崎さんは素直で不器用な等身大の高校生の内面を意識した。
「周りが勝手に王子様と思っているだけで、本人は格好つけているわけではなく、その時の気持ちで振る舞っているんです。むしろ内面だけ見ると、素直で不器用な男子だと思ったので、外側の格好よさや王子様的な要素より、内面の等身大の男子高校生の部分を意識して臨みました」
不器用な等身大の理央を演じるにあたり、キャラクターは固めすぎずに収録に臨んだ。大事にしたのはその人の真ん中にある芯の部分だったという。
「作品の求めるリアリティーが現実のリアルに近い時は、キャラクターを固めすぎないようにしています。現実の人は、芯が真ん中にあって、ほかの部分はブレるじゃないですか。キャラが安定なんてしないですよね。だから芯の部分を自分の中に落とし込んで(キャラを)つかむ作業はしますが、あまり整えない方がいいのかな、と。整え過ぎちゃうと、等身大の作品の時はきれい過ぎたり、伝わりづらかったりすると思うので。事前にいくら考えてもいいけど、マイク前ではあまり考えない。芯の部分さえあれば、あとはどこにでも飛べるかなと思っています」
一方、すべてを言語化してしまうのではなく、「自分の中に『理央ならこういう時に、こうするんじゃない?』という感じ」を考えていた。
「理央は、誰が見ても『こういうことを考えているんだろうな』と分かりやすい人なんですよ。そこもすごく好きで。王子とかクールとか思われているけど、そんなことないんですよ、不器用なだけで(笑い)。だから彼の芯は、すぐに構築できました」
ブレはアフレコの掛け合いのときも大事にした。「相手との掛け合いが大事。人は、話す相手によって話し方も変わるので、そういう変化、いい意味でのブレを大事にしたいなと思っていました」と語る。作中で理央がもっとも“掛け合う”のは、自分に片思いをする由奈だ。島崎さんは、由奈を演じる鈴木さんを「素質の塊」と表現する。
「新人の方なので、小手先の技術ではなく気持ちのままでのお芝居をしてくれて。由奈ちゃんとのやり取りは楽しかったです。作中でも、由奈と理央はどんどん変わっていく。その二人の関係性の変化や成長を順を追って演じさせてもらえました」
今作は、それぞれの「好き」という思いが複雑に絡み合う恋模様を描き、胸キュンなシーンやせりふも多い。島崎さん自身は、理央の「真っすぐな言葉」に「キュンとくる」という。過去に初めて主演を務めたアニメ「あの夏で待ってる」で霧島海人を演じた時の経験から、感じることもあったようだ。
「(海人の)告白シーンで、いざ告白となった時、せりふをちょっと盛る感じで作っちゃったんです。でもその時、『告白するのに一生懸命で、格好よくなんて言えない。不格好だったり、言うので精いっぱいに』と指示をいただいて、その通りだな、と。等身大の高校生で、格好よく言えるメンタルの人はそうそういないですよね。理央君もそうじゃないな、と思ったんです。だから、理央君の『思わず気持ちが出ちゃった』感じが、僕はキュンときます」
物語が進んでいくにつれ、理央も成長、変化し、本音で語る部分が増える。島崎さんは「そういう真っすぐさ、真っすぐ出てきた言葉が好きですね」と感じたという。
「Free!」「あの夏で待ってる」「ブラッククローバー」など数々の人気作に出演してきた島崎さん。演じる際に指針としているのは「そこに生きているよう」に表現することだという。
「『そこに生きている』というのは、とても大事だなと思っているんです。どうしてもキャラクターは強い属性があったりすると、例えばクールキャラと言えばずっとクールだったり、人間味がなさすぎたり、平面的、記号的になりがち。でも、そこに生きている、ということを見る人に感じてもらうためには、(自分が)その世界を生きていないといけない。例えばファンタジーなら、違う文化があり、常識が僕らの世界とは違う。そこで『そうか、この世界はこういう風習があって、こういうふうに育てられてきたからこう発言するんだ』と捉えることって、まさにそこに生きていることだと思うんです」
声優としてさまざまなキャラクターを演じていく上で「『そこに生きている』という状態で、役に取り組んでいきたい。『そこに生きているものを表現できたらいいな』ということは、いつも意識しています」と語る島崎さん。「思い、思われ、ふり、ふられ」でも「そこに生きている」演技を感じることができるはずだ。
※注:島崎信長さんの「崎」は立つ崎(たつさき)
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