村川絵梨:朝ドラヒロインから15年の“境地” 日本酒プロデュース、30代…「自分の“間取り”が分かってきた」

日本酒「えりごのみ 104 純米大吟醸」を発売した村川絵梨さん
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日本酒「えりごのみ 104 純米大吟醸」を発売した村川絵梨さん

 日本酒の「 利酒(きき)師」の資格を持つ女優・村川絵梨さんが10月4日、33歳の誕生日に合わせて、金沢市の老舗酒蔵「福光屋」と共同でプロデュースした日本酒「えりごのみ 104 純米大吟醸」を発売した。共同とは言え、お酒の味はもちろん、ボトルのサイズ感、商品ロゴやラベルのデザインなどといったディティールまで、村川さんのこだわりが形になった逸品だ。村川さんと言えば、2005年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「風のハルカ」のヒロイン・ハルカ役で注目され、以降、数々の作品に出演。吉沢亮さん主演の2021年大河ドラマ「青天を衝(つ)け」では、主人公・渋沢栄一(吉沢さん)の姉・渋沢なかを演じることが発表されている。もともとお酒が好きで、今回の日本酒プロデュースは「とても自然な流れだった」という村川さんに、朝ドラヒロインから15年がたち、年齢的にも30歳を超えた、今の思いを聞いた。

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 ◇30歳超えて「自分がいやすくなった」 「すごくもがいていた」20代を経て…

 改めて、「とても自然な流れだった」という日本酒プロデュースについて、「私の中で、女優だけをやってきたことに対する不安だとか、(女優以外の)『何かをしなくちゃ』という焦りみたいなものもまったくなくて。30代になって、もう子供じゃないという意味で、こういうこともできる年齢になったんだなっていうくらいの感覚で。自然と結びついたご縁があって、一つの形にすることができました」と説明する村川さん。

 一方で30歳を超えて、「自分がいやすくなった」とも明かしていて、「先輩の皆さんが『30代になったら、いろいろと楽になるよ』って言うのをよく聞いていて、決して自分から『楽になりたい』と思っていたわけではないのですが、『楽になっている気がする、そう言えば』と思い当たる節はある。だからこそ、今回の日本酒プロデュースも、気負わずにできたのかなって思います」とほほ笑む。

 さらに「これがもし20代だったら、何かやらなくてはいけないって、変に責任感を持ちすぎてしまったはず」とも話す村川さんは、「自分も振り返ってみると、20代はすごくもがいていたなって思える時期で。景色が急にクリアになったり、ぼやけたり、安定していなかったんですね。それが30代になってからは、これはここにある、あれはあそこにあるという感じで“間取り”が分かってきたというか、自分の心も仕事も。かと言って野心がないわけじゃないっていう絶妙な位置にもいる気はしています。きっと40代になったら、もっとそぎ落とされて、よりシンプルになれるんじゃないかっていう希望が見えてきたところなのかな」と変化を楽しんでいる様子だった。

 ◇“幻のような時間”だった15年前の朝ドラ「風のハルカ」

 そんな村川さんに、女優業の原点の一つである15年前の朝ドラ「風のハルカ」を振り返ってもらった。「当時は生活の一部になっていたので、今もそのときのメンバーは自分にとって家族のようなもの。初めてのドラマの現場でしたし、1年間、学校にも行きながらで、今思うとよくやっていたなって思いますけど。1日もしんどいと思わなくて、せりふを覚えるのも苦じゃなかった。幸せな経験をさせてもらったなって思いますし、自分の純真無垢(むく)さを含めて、幻のような時間でした」としみじみと思い返す。

 「風のハルカ」がなければ、現在の「女優・村川絵梨」は存在しないわけで、「当時は私はグループ(『BOYSTYLE』)での活動に夢中になっていて、最初は『お芝居なんか……』という気持ちでいたのですが、それがどんどんと楽しくなっていった。現場には真面目でかっこいい先輩ばかりいて、すてきだなって思えて。今、同じ現場に10代の子がいたら、そう思ってもらえるような存在でいたいなってことを考える年齢にもなったんだなって」と笑顔を見せる。

 そういう意味でも「風のハルカ」と同じく大森美香さんが脚本を手掛ける来年の大河ドラマ「青天を衝け」は、村川さんにとって大いに楽しみな作品になるのではないだろうか……。

 すでに撮影には入っていて「個人的に大森美香さんの本を読んで、話自体はまったく違いますけど、いろいろ懐かしい気持ちになりましたし、美香さんが書いたせりふが自然と染み込んで腑(ふ)に落ちました。また今、なかなか経験できないことをやらせてもらっていると思いますし、時代劇の経験もあまりないので毎日が勉強というか、本当にぜいたくな環境の中で、一から学ばせてもらっています」とうれしそうに話してみせる。

 続けて「大好きな美香さんの作品で朝ドラ、そして大河も、というのは、なかなかないご縁だと思いますし、こういったときに続けてきて良かったなって思いますね」とうれしさを噛みしめると、「今年はコロナの影響で、先の見えない時期を過ごしたからこそ、気持ちをリセットしてまたここから、一から頑張れたらなって思います」と前を向いていた。

※「利酒師」の「 利 」は口へんに利

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