日本沈没2020:湯浅政明監督の新たな挑戦 「考えるきっかけを」 話題作が劇場版に

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「日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ-」のビジュアル(C)“JAPAN SINKS:2020”Project Partners

 小松左京さんのSF小説「日本沈没」が原作のアニメ「日本沈没2020」が、劇場版「日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ-」として再構築され、11月13日に公開される。Netflixで配信中のアニメで、湯浅政明監督が全10話を編集によって再構築し、音響は5.1チャンネルサラウンドの劇場仕様となる。「日本沈没2020」は一筋縄ではいかないアニメだ。配信がスタートすると、賛否両論、さまざまな意見がネットにあふれたが、劇場版はどのように再構築されたのだろうか……。湯浅監督に、劇場版の新たな挑戦について聞いた。

 ◇賛否両論もある中で

 「日本沈没」は1973年に発表された小松さんの小説。同年、公開された実写映画は配給収入が約28億2000万円を記録。2006年には、草なぎ剛さん、柴咲コウさんが出演する実写映画も公開され、興行収入が約53億4000万円を記録するなど大ヒットした。アニメ「日本沈没2020」は「夜明け告げるルーのうた」「四畳半神話大系」「映像研には手を出すな!」などで知られる湯浅監督が手がけた。舞台は2020年で、日本で突然、大地震が起こる。大混乱の中、東京都内に住むごく普通の家族、武藤家の面々は東京からの脱出を始めるが、沈みゆく日本列島は、容赦なく武藤家の面々を追い詰める。極限状態で突きつけられる生と死、出会いと別れなどが描かれる。

 「日本沈没2020」は意欲作だ。湯浅監督は「国って何だろう?」という大きなテーマに挑んだ。

  「日本選手が活躍するとうれしいし、海外の人が『日本のアニメが好き』と言ってるとうれしかったりもします。自分たちの文化が人気になったり、同国の選手が活躍するとうれしいけど、自分のことではないのに、なんでうれしいんだろ?という気持ちもあったりします。国って何だろう? どうして差別、人種問題が起きるんだろう? 国と自分の関係を、どういう認識でいればいいかを考えるいいきっかけになると思い、作りました。昔の『日本沈没』のように天変地異や政治のスペクタクルを今描くのは違うのかな?とも考えていました。そもそも自分は何の上に立っていて、国がなくなったときやはり何の上に立ってゆくのか考えていくような時間になればよいかなと思います。

 「日本沈没2020」は、人が簡単に死んでしまうし、人々は絶望的な状況の中で感傷的になる時間もないまま、パニックに巻き込まれてしまう。クールかつ俯瞰(ふかん)的な視点で社会を描いた。意欲作ということもあり、配信がスタートすると、賛否両論、さまざまな意見がネットにあふれた。

 「いろいろな意見があったので、考えることも多かったです。こういうふうに受け取るんだ……と思うこともあったし、間違っていなかったな!とも思っていました。うまく伝わっていないところもあって、劇場版でどうすればいいのか?と考えて編集しました」

 ◇劇場版は引っかかりをスムーズに

 「一本の映画としてストレートに見えるもの」を目指して、劇場版を編集した。

 「シリーズでは初見は異様な壁がありながら、裏を見ると尋常な想(おも)いがあるという展開で、ひっくり返していく構成が多くありました。ただ、異様な壁に意識が集中して裏まで意識が届かないこともあったようですし、映画は、引っかかりを減らすために壁を外して、淡々とのらりくらりとする中で、スムーズに見えるようにしています。シリーズで乗り切れなかった人に乗りやすく見せる方法を考えました。シリーズとはまた違う印象になると思います」

 音響環境が整った劇場で上映されることもあり、音にもこだわった。

 「音がすごくよかったので、劇場で聴いていただきたいという気持ちもありました。ただ、編集する中でぴったり合わせていた音楽が合わなくなってしまったところもありましたし、映画になったことで、集中して見ていただけると思いましたので、淡々と事実を見ていただきたいシーンは、音楽を減らしました。声や音がストレートに伝わると思うので、どういうふうに編集しているかも見ていただきたいですね」

 湯浅監督は「日本沈没2020」について「考えるきっかけになれば」と何度も口にしていた。劇場版は、テーマがより伝わりやすくなったことで、初見の人はそうなるであろうし、配信版を見た人も改めて感じるところがあるはずだ。

 ◇クレジット(敬称略)

 原作:小松左京「日本沈没」▽監督:湯浅政明▽音楽:牛尾憲輔▽脚本:吉高寿男▽キャスト:上田麗奈、村中知、佐々木優子、てらそままさき、吉野裕行、森なな子、小野賢章、佐々木梅治▽アニメーション制作:サイエンスSARU▽配給:エイベックス・ピクチャーズ

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