トータス松本:「おちょやん」で朝ドラ初出演も「正直ちゅうちょ」 ダメおやじも「死ぬ時ぐらいは良い人間で」

NHK連続テレビ小説「おちょやん」にヒロインの父・竹井テルヲ役で出演しているトータス松本さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「おちょやん」にヒロインの父・竹井テルヲ役で出演しているトータス松本さん (C)NHK

 11月30日にスタートした、杉咲花さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」に出演しているトータス松本さん。演じているのは、ヒロイン千代(杉咲さん、子供時代は毎田暖乃ちゃん)の父・竹井テルヲで、ここまで飲んだくれのダメおやじぶりを発揮している。「テルヲは、ひどいお父さんですよ(笑い)。台本を読んでいても、この人はいったい何を考えているのだろうと。だらしなくて、どうしようもない。僕らは生きていく中で、家族に対する愛情とか世間体、恩や義理など人との調和を考えていきますが、テルヲはそういうことをあまり考えたことがない人なんでしょうね」と印象を語るトータス松本さんに、初の朝ドラとなった「おちょやん」について聞いた。

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 「おちょやん」は、上方女優の代名詞といえる存在で、「大阪のお母さん」として親しまれてきた女優の浪花千栄子さんの人生をモデルにしながらも、物語を大胆に再構築し、フィクションとして描く、103作目の朝ドラ。

 主人公の竹井千代は、明治の末に大阪・南河内の貧しい家に生まれ、9歳で道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出される。多くの芝居小屋が建ち並ぶ街で、華やかな芝居の世界に魅せられた千代は、自らも女優を目指すようになる……というストーリーが展開する。

 改めて「おちょやん」出演について、トータス松本さんは「朝ドラに出演するとは思ってもみなかったので、正直に言えばちゅうちょしました。朝ドラは、家族全員で毎朝日課のように見ているもので大河ドラマとはまた違いますよね。イメージがまったく湧かなかったです。その中に自分がいるのが想像できない(笑い)。撮影が始まってからも、不思議に思いながら演じていますね」と笑顔で話す。

 テルヲは養鶏で生計を立てているが、鶏の世話や家事も娘の千代にまかせっきりのダメな父親だ。見えっ張りだが気が弱く、世渡り下手。しかし口は達者で女性にはモテる。千代にとっては、憎みきれないトラブルメーカーであり続ける。

 トータス松本さんは「最初に言われたのは、(1983年放送の朝ドラ)『おしん』の伊東四朗さんが演じた作造さんのような、“西の作造さん”になってくれませんか?だったんですよ」と明かしつつ、「小作農家の作造さんは、一生懸命家族のために働いても働いても報われず、貧乏な暮らしに耐えきれず、娘を奉公に出すことになって。何も悪いことしてない、ひたむきに家族のために働いているだけなのに。かたやテルヲって……。完全にテルヲが悪いだけですよ。お前がちゃんとすればいいんじゃ!  作造さんとまったく比較にならないですよ、情けないですね、話が違う」と憤慨(?)していた。

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 役どころ的には見事なまでの“ダメおやじ”のトータス松本さんだが、「最初の現場は、子役もいてわちゃわちゃしていて楽しかったです。子役の皆さんもありがたいことになついてくれました」と明かす。

 また、子役を含めて「共演する役者の皆さんにはリスペクトしかない」というトータス松本さんは、「ヒロインの千代役の杉咲花ちゃんとは、2012年の民放のテレビドラマで共演して以来です。その後、いろいろなドラマに出演されて、めきめき頭角を現し、すごい女優さんになったなあと感心しきりです。なんか親戚の娘さんの成長を見ているような感じですよね。最初から能力の高い方でしたよね」としみじみと振り返る。

 今後に向けては、「テルヲがだらしなくてどうしようもない父親のままなのか、それとも最後は少しぐらい良い人間になるのか。死ぬ時ぐらいは良い人間でいたいなあと思っていますが、予定調和すぎますかね」とにやり。最後は「テルヲのこれからを温かく見守ってください」と視聴者に呼びかけていた。

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