山田裕貴:「“怪優”と言われたい」狂気的な役に自信 ドラマ「先生を消す方程式。」「頼田朝日の方程式。」で二面性ある副担任役

頼田朝日を演じている山田裕貴さん
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頼田朝日を演じている山田裕貴さん

 放送中の連続ドラマ「先生を消す方程式。」(テレビ朝日系、土曜午後11時)と、フライングドラマ「頼田朝日の方程式。-最凶の授業-」(ABEMA)で、田中圭さん演じる新担任の義澤経男に寄り添う副担任・頼田朝日役を演じている俳優の山田裕貴さん。義澤と生徒たちの前で異なる顔を見せるなど二面性を持つ狂気に満ちた人物を怪演し、話題を集めている。「HiGH&LOW」でのクレージーな番長役、「ホームルーム」でのストーカー教師役など「狂気じみた役をやりたかったし、やれる自信があった」と語る山田さんに、強烈なキャラクターを演じることへの思いを聞いた。

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 ◇怪演は“研究”が楽しい

 「先生を消す方程式。」は、東大進学率も高い、東京都内の進学校・帝千学園が舞台。成績優秀者がそろう3年D組には、実は大人を追い詰め、壊れていく姿をゲームのように楽しむ生徒が集っていた。新担任の義澤(田中さん)は、生徒たちから何をされても“笑顔”で指導を続けるが、やがて生徒たちの行動はエスカレートし、義澤を殺す計画が立てられる……というストーリー。フライングドラマ「頼田朝日の方程式。-最凶の授業-」は本編で追って明らかになる頼田の狂気性に焦点を当て、最終回以降の物語を“フライング”で描いている。本編に隠された謎や真実につながるヒントも、本編より先に解明していくという内容だ。

 ドラマで演じている頼田朝日は、義澤には明るくやさしく寄り添いつつ、その一方で裏では義澤を殺そうと計画する生徒たちを操っていた狂気的な人物。山田さんはそんな頼田を「純粋な悪」と言い切り、「世の悪い感情、負の感情を、役を通して全部伝えようと思っていて。ドラマ史上、僕史上、一番の“ただの悪”になればいいなって思っています」と語る。

 表ではさわやかな笑顔を見せつつ、実は底知れない悪の顔を持つ頼田。フライングドラマでもその狂気性が存分に描かれており、画面の向こうで突然、ひとり爆笑したかと思えば、唐突に大声で怒り出す……など不気味さに拍車がかかっている。こうしたフライングドラマや本編の頼田役がときに視聴者から“怪演”とも言われていることについて、「すごくうれしいです」と山田さん。実は、「“怪優”とか言われたいなと思っていた」という。「(自身の)良さが出る役、というか……。怖い役、狂気じみた役をやりたかったし、やれる自信があったので。普通の役も難しいですけど、こういう変わった役も難しいし、やりがいがあって、面白いです」と“怪優”と呼ばれることへの思いを語る。 
 
 山田さんといえば、今年1~3月に放送されたMBSの連続ドラマ「ホームルーム」でも女子生徒を狂愛するストーカー教師という強烈な主人公を熱演し、話題を集めた。そして今作と、強烈なキャラクターを演じる機会が続くが、こうした変わった役を演じることが「面白い」という山田さんは、その「研究」に楽しみを見出しているという。

 「仕草、行動、声色……そこの研究が、楽しいかもしれないですね。『どうやったらおかしく見えるんだろう』『どうやったら怖いんだろう』とか、『どう笑ったら気持ち悪いんだろう』とか、その研究が楽しいです。だから、案外緻密だったりするんですよ。自分が考えたことがハマって、現場でみんなが笑っていたり、『怖っ!』って言っていたり……そういう僕の“方程式”がハマっていくのが楽しいですね(笑い)」とユーモアを交えつつ語る。

 ◇「僕の中にある闇が出るほど面白い」

 頼田を演じるうえでは、映画「ジョーカー」のホアキン・フェニックスさんや「レオン」のゲイリー・オールドマンさんらを参考にはしたが、「物まねになってしまわないようにしよう、と思っていました。オリジナルの悪役になればいいな、と」と独自の色を大事にした。「僕の中にある闇が出れば出るほど、面白いんだと思います、きっと。普段は善の部分で抑え込んでいる何かを、ばっ、と爆発させたときに面白くなるのだと思います」と考えを明かす。

 フライングドラマでは、10分を超える長ぜりふも披露している。山田さんは「一言一句、間違わないで……ということではないので」としつつ、せりふの覚え方については「家でひたすら(台本を)読むしかないですね」と説明し、「違う現場に行っても、このフライングドラマの台本を読んでいたりしていました」と苦笑いで苦労を明かす。

 「ホームルーム」に今作、そして来年1月から放送されるNHKの連続ドラマ「ここは今から倫理です。」でもミステリアスでクールな倫理教師を演じるなど、先生役が続く。山田さんは「(田中)圭さんに『最近、先生役が多いんですよね』と言ったら『まあそういう歳になってきたってことだよ』と言われて。そこに感慨深いものを感じました」と田中さんとのやり取りを振り返る。

 “先生”役は、山田さん自身が望んでいたものでもあるようだ。頼田は作中でシェイクスピアなど偉人の名言を紹介しているが、実は山田さんも2年前から所属事務所のサイト内で偉人の名言を紹介するというコーナーを担当しているほか、ツイッターでも「こっそりと『僕の自然に出た言葉』みたいなものを流しています(笑い)」と“山田裕貴語録”を投稿しているといい、印象的な言葉を紹介するという共通点がある。「(頼田)朝日も偉人の名言を紹介するし、次の作品の先生役も、そういう感じで。(そういうことが)『好き』って言っていたら、本当にそういう役が来るんだ、と思いました」と山田さんは感慨深い表情で語り、最後に「『ジョーカー』みたいな役をやりたいとか悪い役をやりたいと言っていたらこういう役が来るし……言霊です」と、望んだ役と巡り合った喜びを語っていた。

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