その女、ジルバ:“40歳の主人公”が話題 ドラマPに聞く池脇千鶴の起用理由 役作りの裏側とは

連続ドラマ「その女、ジルバ」で主演を務める女優の池脇千鶴さん=東海テレビ提供
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連続ドラマ「その女、ジルバ」で主演を務める女優の池脇千鶴さん=東海テレビ提供

 女優の池脇千鶴さん主演のオトナの土ドラ「その女、ジルバ」(東海テレビ・フジテレビ系、土曜午後11時40分)が、「共感して泣ける」「希望が湧く」と話題を集めている。なかでも、夢も、仕事も、結婚も諦めかけていた40歳の主人公・笛吹新を演じる池脇さんについて、「池脇千鶴の本気を見ました」「完璧な役作り」など絶賛の声が上がっている。役作りについて「こちらからお願いしたことはほぼないです」と話す遠山圭介プロデューサーに、池脇さんの起用理由や、撮影現場でのエピソードを聞いた。

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 ◇原作を読んだときから、池脇千鶴をイメージ

 「その女、ジルバ」は、「第23回手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞した有間しのぶさんの同名マンガが原作。主人公の笛吹新(池脇さん)は大手百貨店でアパレル店員として働いていたが、物流倉庫に左遷されてしまう。そんな彼女が人生の折り返し地点で飛び込んだのは、“40歳未満お断り”の超高齢熟女バー「OLD JACK&ROSE」だった。新は、「小娘」「ピチピチ」とからかわれながらも、高齢ホステスたちの刺激を受けながら、忘れかけていたものを取り戻していく……というストーリー。

 第1話が放送されると、視聴者からは「池脇千鶴の演技に終始グッときた」「心にじんわりしみて泣ける」などの反響が上がった。「女は40から」というせりふも登場し、「一緒にがんばろって応援したくなったし、応援された気分」などの声も上がった。

 原作マンガについて、「ものすごく素直な主人公が、熟女たちに感化されながら成長していく物語がすごく面白いと思った」と話した遠山さん。一年ほど前からドラマの企画がスタートしたといい、「だんだんコロナの話が出てきて。とにかく元気が出るようなドラマを作りたいなと思って制作にあたっていた」と振り返る。

 原作マンガを読んだときから、新役は池脇さん、と考えていたという遠山さんは、「40歳の女性が主役なので、それに近い方に演じていただかないと共感を得られないだろうなと思っていた。池脇さんはちょうど39歳。運命的なものを感じた」と明かす。

 今作への出演理由について、池脇さんは「原作が面白かった、というのが出演を決めた大きな理由です。ドラマに出演するのはすごく久しぶりで、主演は9年ぶりです。女性で主演ができることは、ありがたいなと思います」とコメントしていた。遠山さんは、「(池脇さんには)熟女たちに“ワチャワチャ”されるシチュエーションってあんまりないので、それが楽しみだとおっしゃっていただきました」と明かす。

 ◇すべてを諦めてしまった40歳を表現

 池脇さん演じる新は、人生折り返し地点にして、男なし、夢なし、プライドもなくなった負け組アラフォー女性。「変わりたい!」と飛び込んだ熟女バーで、戦後の焼け野原から裸一貫で店を育ててきた女傑たちにインスパイアされ、大きな変貌を遂げていく……という役どころ。店での源氏名は「アララ」。

 新の印象について、「引っ込み思案で、失恋もしていて、自分に自信のない女の人。“猫背気味”というか、あんまり人としゃべるのが得意じゃない、そういうところを演じられればいいなと思っています」とコメントしていた池脇さん。

 第1話では、40歳の誕生日を迎えた新の姿から描かれた。誰から祝われることもなく、届くのはネット通販からのメールだけという、いつも通りのパッとしない朝。すべてを諦めてしまったような、疲れ切った様子だった。

 そんな新を演じる池脇さんの姿に、視聴者からは「池脇千鶴の本気を見ました」「完璧な役作り」という絶賛の声が続々と上がったが、制作サイドから池脇さんへ、役作りにおいてのお願いはあったのだろうか。遠山さんは、「こちらからはほとんどないです。最初に、『新が成長することが多くの女性を勇気づけると思うので、思いっきり楽しんで演じてください』ということしかお伝えしていないです」と明かす。

 台本のト書きには、「猫背」などの説明が書かれている。「それをふまえて、池脇さんが解釈して臨まれています。原作でも、背中にお肉がついて丸まっている主人公がシャキッっとして、女として磨かれていくお話。台本通りに演じていただいています」と続ける。

 遠山さんによると、池脇さんが一番最初に撮影に臨んだシーンは、第1話の冒頭。第2話では、少しずつ新が成長していく姿も描かれ、心を打たれた視聴者が多かったが、撮影現場でも、新を皆で見守る感じがあったという。「とくに第2話の、アララがダンスを踊れるようになったシーンは、『よかった、アララ』って感じで皆が見ていた。スタッフも一緒に(成長を)見守る感じはあります」と話す。

 ちなみに、「BAR OLD JACK & ROSE」のホステス役の草笛光子さん、中田喜子さん、久本雅美さん、草村礼子さん、マスター役の品川徹さんが集まる撮影現場は、「いいチームワーク」といい、「(草笛さん演じる)くじらママが来ると、みんなしっかりしなきゃ、みたいな(笑い)。ホステス同士も仲が良いです」と明かす。

 ◇完全に役になりきる池脇千鶴 「すごく引き込まれる」

 池脇さんの魅力について、演じるキャラクターに「完全になりきること」と話した遠山さん。「いろいろな映画を見て『すごいな』と思っていたんですけど、今回改めて思ったのは、(劇中では)完全に池脇さんじゃなくて新ですし、ホステスになるとアララです」と話す。

 また、「『ちょっと困ったときの表情がすごい』と監督とも話をしていたんです。台本の何千倍もの表現ができあがっている感じがします。ちょっとした表情の作り方、言葉の出し方。すごく引き込まれる感じがあります」と続ける。

 そんな遠山さんは、新と同じ40歳。「原作マンガを読んだときに、『違う見方から物事を見るだけで、価値観なんてすぐ180度ひっくり返る』と感じた。年齢にとらわれないで、違う見方をするだけで、人生なんてがらっと変わる、ということを感じていただければと思っています」と話す。

 最後に、視聴者に向けて「毎週土曜日に、いつものお店に通うみたいな感じで気楽に見ていただければ。見終わったあとに肩の荷が降りるようなドラマになっているので、楽しんで見てください」と呼びかけた。

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