昨年、20周年を迎えたミュージカル「Endless SHOCK」。本作で作、構成、演出、主演を担うのが「KinKi Kids」の堂本光一さんだ。「Endless SHOCK」には、これまで長きにわたってキャストを務める「ふぉ~ゆ~」をはじめ、「KAT-TUN」の上田竜也さん、当時ジャニーズJr.だった「King & Prince」の岸優太さんら多くの後輩が出演してきた。しかし、堂本さんは同じ舞台に立つ彼らを「後輩として見ていない」と語る。そんな堂本さんに座長、演出家としてのエンターテインメントへの向き合い方や、本作史上初となる劇場公開への思いを聞いた。
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物語の舞台は、米ニューヨークのブロードウェー。常に頂点を目指し続ける若きエンターテイナー・コウイチ(堂本さん)と、彼が率いるカンパニーの姿を描く。昨年の9、10月には大阪の梅田芸術劇場(大阪市北区)で、「Endless SHOCK」の3年後を描いたスピンオフ作品「Endless SHOCK -Eternal-」が上演され、今年2、3月には東京の帝国劇場(千代田区)でも上演が決定している。
そして今回、2月1~18日の約2週間にわたって、「SHOCK」史上初となる劇場公開が実現。堂本さんは映画館での上映について、「去年、大阪で公演をしていたときに、何かもう一つ面白いことをできないかと考えていました。帝国劇場での公演と同時期に上映すれば、相互に楽しんでいただけますし、スピンオフの『Eternal』をより楽しめるようにもなるんじゃないかなと思ったのがきっかけです」と語った。
劇場公開される映像には、昨年2月の上演中止後、無観客で撮影されたステージが収められている。堂本さんは「去年で『SHOCK』は20周年。コロナの影響で中止となり、このまま何事もなく終わるのか、と思っていたところに無観客収録の話が出て。どういった形になるかは分からないけど、映像を撮影しておこうということになりました」と明かす。
「あの時は皆、突然自分の武器を奪われたような気持ちだったんですよね。いつものような達成感も得られず、喪失感だけが残ったというか。僕らだけではなく、きっと皆さんも同じだったと思います」と振り返る。「そんな中で撮影が決まり、キャストもとても喜んでいました。撮影は限られた時間で行わなければならなかったですが、皆とても協力してくれました」と語る。
「SHOCK」シリーズは、故・ジャニー喜多川さんが作、構成、演出を担当し、堂本さん主演の「MILLENNIUM SHOCK」として2000年に開幕した。2005年からは堂本さんも脚本や演出に参加し、「Endless SHOCK」として内容を一新。その後も新たなシーンを登場させるなど、今なお進化を遂げており、国内のミュージカル単独主演記録1位を更新し続けるなど、日本演劇界に金字塔を打ち立てた。
20年の歩みの中で、2011年には東日本大震災、昨年には新型コロナウイルスの感染拡大の影響で公演中止を余儀なくされたこともあった。さまざまな困難にぶつかりながらも、座長として「Show Must Go On=何があってもショーを続けなければならない」を体現してきた堂本さんにとって、今なお続くコロナ禍という状況はどのように映っているのだろうか。
堂本さんは「自分としては『こういう状況だから仕方ない』にはしたくない。今回、帝劇(帝国劇場)でも上演させていただく『Eternal』は、コロナ禍でなかったら作ろうとも思っていなかったもの。この状況だからこそ生む、生まれるものがあるだろうという思いでやっています」と力強く語る。「でも、だからと言ってアクセルばかり踏んでいては危ない。周りをよく見て、その時々に対応しながら、柔軟性を持って動いていく必要があると思います」と、エンターテインメントを担う者としての責任感をにじませていた。
「SHOCK」のほか、昨年には舞台「DREAM BOYS」の演出も手がけた堂本さん。演出家としての自身の武器は「ジャニーさんに育ててもらったこと」だという。「やはりジャニーさんをリスペクトしていますし、一生越えることはできない存在だと思っています。一方で、ジャニーさんへの反面教師的な気持ちもあって。その両方を持っていることですかね」と率直に話す。
そんな堂本さんが作り上げてきた「SHOCK」には、これまで多くのジャニーズ事務所の後輩が出演してきた。皆、「SHOCK」を経験することで、芝居やステージに立つことに目を輝かせていく姿が印象的で、成長の場にもなってきた。だが、堂本さんは「正直、“後輩”という視点で見ていない。幕が上がってしまえば、先輩も後輩も関係ないので」と語る。事務所の後輩としてではなく、プロとして対等に“カンパニー”の一員として捉えているのだ。そんな堂本さんの背中に、後輩たちもまた多くを学ぶのだろう。
「ストーリーに込められた『Show Must Go On』というメッセージは、どんな時代にも当てはまる言葉」と語る堂本さん。「作品を通してそれぞれの『○○ Must Go On』が見つかったらいいなと思います」と思いを語っていた。
初演から20年。壁に直面しながらも、堂本さんとカンパニー、スタッフが手を取り合い、絆で乗り越えてきた「SHOCK」。彼らの情熱が作り出すまぶしいステージから感じ取った夢や希望を胸に、これからもその背中を追い続けたい。
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