ちちんぷいぷい:今週いっぱいで21年の歴史に幕 「本当に家みたいな存在」放送2日目から出演の松川浩子アナ

「ちちんぷいぷい」に出演する松川浩子アナウンサー=MBS提供
1 / 7
「ちちんぷいぷい」に出演する松川浩子アナウンサー=MBS提供

 1999年10月の放送開始以来、21年に渡って親しまれてきたが、3月12日をもって終了することになった、MBSの長寿ローカル番組「ちちんぷいぷい」。時にはMCとして、時にはリポーターとして番組を盛り上げてきた名物局アナたちに、印象に残った企画や裏話、番組に対する思いなどを聞く。第1回は、現在月~水曜のアシスタントを務める松川浩子アナウンサーだ。

ウナギノボリ

 松川アナは、入社1年目に放送2日目で番組に初登場を果たし、主に生中継のレポートを担当。その当時は、初代MCだった角淳一アナウンサー(現在フリー)の、これまでの情報番組にはなかった反応に、かなりとまどったという。

 「角さんは、とにかく人に会いたいという方だったので、商品を紹介するために取材に行ったのに『商品のことより、その人としゃべりたい』と、結構言われました。私はお漬物を紹介するつもりだったのに、ずっとお店のおじいちゃんとおばあちゃんとしゃべって、お漬物の話をせずに帰ったり(笑い)。でも人を大切にすることが、自分の人生の糧になるということを教えてもらっていたんだと、今になって思います」と振り返る。

 今でも一番印象に残っているのは、何もない真冬の海からの生中継だ。「冬の海で何かを探してこい! という指令だったんですけど、結局何もなくて。でも最後に『夕陽がめっちゃキレイやから、バカヤロー! って言うてこい』と言われて、ひたすら『バカヤロー!』って叫びました(笑い)。本当にハプニングの連続で、ほかの番組ではできないようなことを、すごく経験させてもらいましたね」と、番組のユニークさを明かした。

 結婚・出産をへてからは、番組アシスタントやコーナーの企画を任されるように。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛期間中には、ママ友の人脈を生かして母親たちのリアルな声を集めるなど、主婦目線の企画やコメントで存在感を発揮している。

 「ママ友50人ぐらいに『自粛中の家の過ごし方や、子育てはどうしていますか?』と、LINEでアンケートを取って、それをオンエアしました。偏りはあると思うんですけど『ママ友だから』で、かなりぶっちゃけたコメントをいただくことが多かったので、そういう所は面白くできたと思います。私も子どもを2人産んでからは、“お母ちゃん”として結構開き直ってしゃべれるところが出てきましたね」と、出産が良い転機になったという。

 その持ち込み企画の中で、今も語り草となっているのが、当時まだ知名度が低かったヘアドネーションを、自ら髪を寄付することで周知させたこと。とはいえ松川アナ本人は「あれは私のものぐさから実現した企画でした」と笑う。

 「子育て中は、ボランティアまでなかなか気が回らなかったんですけど、ヘアドネーションを知った時に、これはやってみたいと。というのも私は、美容院になかなか行かないし、染めるのも面倒だから真っ黒なまま。そのことが生んだロングヘアが、役に立つのならというので(笑い)。でもこれをきっかけに、ヘアドネーションを受け付ける美容院が増えたり、ロングヘアだった会社の男性が『番組を見てヘアドネーションしました』と言ってくれたりするのを聞くと、やってよかったなあと思いましたね」と話した。

 とはいえ松川アナにとっては、自分の企画が誰かの役に立つこと以上に「共感をしてもらえた時」が、一番うれしかったという。

 「アナウンサーって言葉を選んだり、わきまえないといけないことがいっぱいあるんです。でもそんな中で、自分でも『アホだなー』と思うことを言った時に『それ、私も思っていた!』と言う人がいたら、すごくうれしかったですね。もちろん反対する方もいると思うんですけど、同意の声があったら『私一人だけの意見じゃないんだな』と励みになったし、声に出していいんだという自信にもなりました」と、視聴者の共感が支えになったことを明かした。

 MBSに入社した年から『ちちんぷいぷい』と並走し、ともに成長してきた松川アナ。自分にとっては「家」のような番組だと話す。

 「この21年間の、私の会社人生全部が『ぷいぷい』だったので、本当に家みたいな存在。帰る場所がなくなるというのは、未だに信じられない気持ちです」とさびしさを見せる。その一方で「私もいよいよ巣立つ時が来たんだな、ちゃんと大人にならないといけないんだと、今は身の引き締まる思いです」と、前向きな気持ちを語った。

 そして視聴者に向けて「春ということ、そして新型コロナのこともあわせて、きっと皆さんも今までとは違った、新しい生活がこれから始まるんだと思います。みんなで新しい人生、次の未来に向かって、一緒にがんばっていきましょう!」と呼びかけた。

 「ちちんぷいぷい」は、月~金曜の午後1時55分から放送。3月5日で通常の番組を終了し、最後の週となる8~12日は「フィナーレウィーク」と銘打った特別編を放送する。

写真を見る全 7 枚

テレビ 最新記事