解説:「病院ラジオ」をお薦めするわけ サンドウィッチマンの魅力と話術が最も生きた番組 最新作が2月11日放送

「病院ラジオ」で患者の話を聞くサンドウィッチマン (C)NHK
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「病院ラジオ」で患者の話を聞くサンドウィッチマン (C)NHK

 現在、NHKや民放各局で多くの番組を抱える人気お笑いコンビ、サンドウィッチマン。そんな2人の魅力と、漫才師の中でも卓越していると言われる話術が最も生きたテレビ番組はNHK総合で不定期に放送されている「病院ラジオ」だと思う。最新作「埼玉県立がんセンター編」が2月11日午前8時15分から放送される。お薦めする理由を説明する。

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 「病院ラジオ」は、サンドウィッチマンの2人が、ある病院に臨時のラジオ局を1日限定で開設し、患者やその家族らとトークをする番組だ。第1弾は2018年8月に始まり、第56回(2018年度)ギャラクシー賞で入賞するなど、高く評価された。その後も不定期とはいえ、着実に放送を重ね、長く続く人気企画に育った。

 当然、トークのテーマは病気の話になるのだが、普通はそんな個人的な情報を“取材”しようと思うと、人間関係を構築するのに相当時間がかかる。ただ、2人の場合は、患者やその家族にマイクをはさんで向き合うと、いつもは口にしないだろう本音をやすやすと聞き出していく。話術や人柄に加えて、DJとリスナーが1対1の関係を結んでいるように感じられる“ラジオ”のメディア特性もプラスに働いているのだろう。

 記者が一番印象に残っているのは、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で収録された第2弾(2019年4月放送)に登場した小児がんの神経芽腫と闘う17歳の女性。約15年間も病気と向き合い、「再発がわかっても、あんまりびっくりしなかった」とあどけなさが残る顔で淡々と話す。

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 サンドウィッチマンの伊達みきおさんが、「お父さん、お母さんへのメッセージは?」と何気なく尋ねると、彼女が漏らしたのは「小学生の時は手術したら欲しいものを買ってもらえたんですけど、今は全然自腹」という言葉。あまりに意外過ぎる一言に2人とも苦笑する。番組では、ラジオでやりとりを聴く病院内の映像が随所にはさまれるが、この時はお母さんらしき人ががくっと下を向く様子が流れ、視聴者も思わず笑ってしまう。

 「こういう時は大体、感謝の言葉を聞くんだよ」と遠慮なく突っ込む伊達さんに、「お小遣いはもらってなくて、入院1日500円なんです」「500円もらうためにも入院頑張ってます」「バイトみたいな感じ」と語る女性。伊達さんも「お金持ちになるため入院してるの?」「バイトじゃないよ」としつこく突っ込み、富澤たけしさんは横で聞きながら爆笑するばかり。病魔と闘い続けてきた彼女の15年の歩みが実感ベースで伝わってきて、笑いながらもじーんときた場面だった。

 もちろん2人を支える番組スタッフの仕事ぶりも大きい。長期間、病院に通い、多くの患者や家族から話を聞き、準備して本番を迎えるという。病院の協力、スタッフの努力もあり、番組はできているといえる。

 今回の埼玉県立がんセンター編では、乳がんの女性が、別のがんで治療中の友人から励まされたエピソードを振り返り、落ち込んでいた時に友人がカラオケで歌ってくれた曲をリクエストする。子宮を全摘した看護師は、みずからが患者になった経験から病院に通う人たちの気持ちを痛感し、日々の仕事では心の底から共感して寄り添うようになったと語るという。

 サンドウィッチマンの2人が「お話し好きの方が多かったです。みんな、さまざまな覚悟をしながら先を見据えて今を生きている感じがしました。生きるパワーをすごく感じました」という埼玉県立がんセンター編。患者たちのどんなドラマをサンドウィッチマンの2人が引き出してくれるのか。今回も必見だと思う。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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