SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
鈴木央(なかば)さんの人気マンガ「七つの大罪」の“正統続編”となる「黙示録の四騎士」。今年1月に「週刊少年マガジン」(講談社)で連載をスタートし、コミックス第1巻が4月16日に発売された。鈴木さんは、これまで「電子嫌い」を公言しており、「書店さんを大事にしたい」という思いから、無料配信キャンペーンを実施してこなかったが、2月に「七つの大罪」のコミックス第1~24巻を無料配信したことも話題になった。コロナ禍で一人でも多くの人の心の支えになってほしいという大きな決断だった。「パソコンをほとんど使わない」「アシスタントもいない」という鈴木さんの執筆の裏側、書店への思いを聞いた。
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ちょっぴり天邪鬼だからですかね(笑い)。みんながインターネットをやっていたり、電子書籍を読んでいても、「自分は別にいいや」と思ってるんで。それ以外のものの方が楽しいと思う性格なので。「パソコンや電子書籍に絶対触れない!」と決めているわけではなく、あくまでも自分がより楽しいと思うのは何だろう?といろいろなものを選択した結果が今のスタイルになっているだけかもしれません。あとは、例えばご飯や映画などでも自分が「いいな!」と思うものがはやりとは程遠いことが多いですね。元来、そういうはやっているものとは少し遠いものを選びがちというのも大きいかもです (笑い)。
個人的には紙の本しか読まないです。やはり、紙を手でめくるときの匂いや重さが好きで、そこは外せないですね。それに、これは本を作る側になってみて、初めて気づいたのですが、どういう装丁にしようかとか?どういうデザインにしようか?という工夫って本の数だけあるじゃないですか。そういうこだわりをなるべく自分の肌や目で感じたいなと思っています。
原稿制作の合間によく行きます。書店に行くと、図鑑や辞書といった大きい書籍が特にほしくなります! 資料用などに購入することが多いですが、実際に手に取り「こんな本があるんだ」と知るだけでワクワクします。小説なども、大きな棚にずらっと並んでいるタイトルは壮観ですよね。テーマパークのようで、とてもウキウキします。
――マンガも紙とペンのみで描いている?
そうですね! 紙とペンじゃないとマンガを描いている感じがしないです(笑い)。デビュー当時から一貫して紙とペンなので、もう体の一部みたいなものです。だけど最近、悩みがあって……。これまでずっと使ってきたトーンやコピックがどんどん廃盤になっているんです! それに、普段はファクスで編集の方とやり取りしているのですが、新しいファクス機がどこにも売っていない! なので、物理的にマンガを描くことを辞めざるを得ないかも……(笑い)。でも、紙とペンまではなくならないと思うので、一生描き続けると思います!
――アシスタントもいないそうですね。
アシスタントをお願いしていないのも、実は天邪鬼な性格がきっかけなんですよね(笑い)。新人の頃の担当編集の方に「アシスタントがいないとやっていけないよ」と言われたので「アシスタントなしでもやれますよ!!」と半ばやけっぱちで始めたら、今日までそれが続いています。一人で作ると、ゲーム休憩を挟みながら仕事ができますし、酒も飲めるし、実はやりやすかった(笑い)。
――アシスタントもなし、週刊ペースの連載で、つらいと思ったことは?
ないですね。そもそも、子供の頃だと「マンガばかり描いてるんじゃないよ!」って怒られたのに、今はそれを仕事にできているのってとても幸せだと思うんですよね。
「七つの大罪」の続編ですが、「七つの大罪」を読んでいない人も楽しめる作品になっています。主人公はパーシバルという少年。愛嬌(あいきょう)がありとても可愛いです。「七つの大罪」の主人公であるメリオダスとは、また違った魅力がありますね。
-ー「七つの大罪」と意識が変わったところは?
パーシバルをどれだけ可愛く描くかにこだわりました。例えば、褒められた後に照れたり、普段から兜(かぶと)もマントもぶかぶかのような、ちょっと抜けてる描写を描く機会が増えましたね。それはメリオダスを描く時にはあまりなかった部分です。やはり、メリオダスは強く格好いいキャラクターだったので。もちろん、パーシバルもこれから徐々に格好よく、たくましくなってくれると思いますが(笑い)。1巻ではパーシバルの可愛さを楽しんでほしいですね。
やはり1話目、旅立ちのパーシバルの見開きは感情込めましたね! あと、バトルシーンでの見開きはまだないんですが、「七つの大罪」では意外と少なかった見開きの風景描写を楽しんでほしいと思います。「七つの大罪」では村や街に移動することはあっても、その道中は平原だったり、ホークママで一気に移動しちゃったりで、風景描写が実は少ないんですよね。「黙示録の四騎士」ではキャラクターは徒歩で移動するので、これまでにはなかったような風景画を体感してほしいです。
余白ページのある限りは、じゃんじゃんと描き足していますよ! やっぱり、雑誌を読んで応援してくれている方にまだ読んだことのないページを提供したいですね。子供の頃に好きだったマンガにオマケページがあると本当にうれしかったので。その内容が物語本編とは関係のない作者さん自身のエッセーマンガでも楽しかったですもん(笑い)。あ! 「黙示録の四騎士」のオマケページでは、ちゃんとパーシバルが出ますよ! それに、「黙示録の四騎士」でも「七つの大罪」に続いてイラスト募集企画も行うのですが、読者さんとのコミュニケーションも楽しみたいなと思っています。ほかにも「こんな企画をやってほしい」というお声をいただけば、ぜひそれをやりたいなと思っているので、教えてくださいね!
一番の大きな変化は、打ち合わせ後の毎週の飲み会がなくなったことですね。連載が始まってから、まだ一回も飲みにいけてないんです……。「七つの大罪」連載時は、打ち合わせが終わった後に毎週のように飲んでいました。意外とお酒の席からいいアイデアが生まれることもあったりで本当に楽しいんですよね。なので、この状況が一刻も早く落ち着いてほしいです。
書店に行きたくても行けない、また書籍を買いたくても買えない方がたくさんいらっしゃると考え、そのような決断に至りました。さまざまな方が大変な思いをされている中で、少しでも作品が心のよりどころになれたのなら光栄です。無料公開期間では、これまで作品を読んだことがなかった方の声も聞くことができたのもうれしかったです。ただ、無料公開期間を経て、電子版で作品を知っていただいた方に「書店に足を運んでもらいたい」「書店さんを大事にしたい」という思いが一層強くなりました。
やはり、自分自身が紙の書籍が好きなこと、その素晴らしさが一人でも多くの方に届いてほしいと思うからです。また、これまでサイン会などでお邪魔した書店さんからの応援への感謝の念も大きいです。サイン色紙を飾ってくださったり、棚を大きく展開してくださったり、「こんなに応援していただけるんだ」という印象が強く自分の中に残っています。いくつかの書店さんとはサイン会終わりにお酒の席もご一緒させていただいたのですが、本の話で盛り上がってとても楽しかったですね(笑い)。
いつもお世話になっています! 最近は作品が電子書籍で読まれる機会が多くなってきていますが、これからも紙の書籍の文化は続くものですし、一層盛り上げたいと考えています! 引き続き、皆さんに応援していただける作品を作れるよう精進いたします。よろしくお願いします!
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