ドラゴン桜:続編は日曜劇場の“いいとこ取り” 新鮮さ与える“スパイス”も 相乗効果が生む新たな物語

連続ドラマ「ドラゴン桜」のポスタービジュアル(C)TBS
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連続ドラマ「ドラゴン桜」のポスタービジュアル(C)TBS

 4月25日にスタートした阿部寛さん主演の連続ドラマ「ドラゴン桜」。今作は2005年に放送された人気学園ドラマの続編で、前作の金曜ドラマ(金曜午後10時)枠から「日曜劇場」(日曜午後10時)に枠を移して放送されている。改めて第1話を振り返ってみると、これまで同枠で活躍してきた“日劇俳優”たちの集結や、本格的な悪役の登場が印象的だった。日曜劇場の要素を“いいとこ取り”しているとも言える続編の魅力を探っていきたい。

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 ◇“日劇俳優”ずらり 視覚で攻める“重厚感”

 ドラマには主演の阿部寛さんをはじめ、江口のりこさん、及川光博さん、山崎銀之丞さん、木場勝己さんと、“日曜劇場おなじみ”の顔ぶれが勢ぞろい。画面を見ただけで同枠のドラマだと分かるような説得力に加え、若手が集う学園ドラマにグッと深みを与えている。

 また、今作の演出を手がける福澤克雄監督は大ヒット作となった「半沢直樹」でも有名な監督だ。江口さん、及川さん、山崎さん、木場さんは「半沢直樹」にも出演していただけに、強烈ながらユニークなセリフの言い回しや、インパクトのある“顔芸”など、“圧の強い”演技も魅力的。監督の演出がよく映える“重厚感”のあるシーンは、日曜劇場となった今作ならではの見どころだろう。

 ◇周りは敵だらけ? “悪役”との真っ向対立、不穏な気配も

 「ドラゴン桜」は阿部さん演じる元暴走族の弁護士・桜木健二が、経営破綻寸前、低偏差の学園に赴任し、東大合格者を輩出することで再建を図ろうと奮闘する物語。前作では低偏差値の生徒が高偏差値の東大を目指すことは無謀だと、桜木の考えに反発する教師たちが相次いだ。

 しかし、理事長はもとより“味方”で、当初は桜木に反発していた教師・井野真々子(長谷川京子さん)も、後に桜木に協力するようになる。周りの教師たちも“徹底的に”排除するほど大きな行動は起こしていなかった。

 一方、続編では初回にして桜木と真っ向から対立する“権力者”として学園の理事長・龍野久美子(江口さん)が登場。先代の龍野恭二郎(木場さん)の提案で、1年で東大合格者を5人出せなければ桜木がクビ、もし成功すれば久美子が理事長の座を降りることを約束させ、闘い合う構図が作り上げられた。

 さらに、学園の生徒・瀬戸輝(高橋海人さん)が桜木を陥れようと動いていたり、東大合格を果たせなかった桜木の元教え子・米山圭太(佐野勇斗さん)が「ヤツを潰すにはもってこい」と口にしたりと、桜木に対しての不穏な力も働いている。主人公への強大な圧力と怪しげな周囲の動きを感じられるのは、日曜劇場ならではの味わいだ。

 ◇“黒幕”は一体… SNSでの“考察合戦”も

 こうした“悪役”が多数登場することで、視聴者の間では真の“黒幕”は誰かという考察が飛び交う。「テセウスの船」「危険なビーナス」「天国と地獄 ~サイコな2人~」など、近ごろの日曜劇場の作品では、SNSを中心とした“考察合戦”も楽しみの一つとなっており、今作でも盛り上がりを見せるのか、期待が高まる。

 こうして、日曜劇場枠での放送にあたり、同枠らしいエッセンスがふんだんに詰め込まれ、新たな「ドラゴン桜」に生まれ変わっていることが見て取れる。逆に、学園ものならではの若手キャストが物語を引っ張っていく様は、今回、日曜劇場にとってスパイスとなっている点であり、新たな風を吹かせているようにもみえる。

 人気学園ドラマを“日曜劇場風味”にしつつ、作品自体の持つ性質で日曜劇場に新鮮さも与える。二つの要素が相互に作用しながら展開していく今後のストーリーからも目が離せない。

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