水曜日のダウンタウン
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11月13日(水)放送分
世界最高峰の総合格闘技イベント「UFC263」が、日本時間6月13日、米アリゾナ州グレンデールで開催される。メインイベントはミドル級王者イズラエル・アデサニヤ選手が、イタリアのマーヴィン・ヴェットーリ選手を迎え撃つ3度目の防衛戦。さらにフライ級王座をかけたダイレクトリマッチとなる、デイブソン・フィゲイレード選手とブランドン・モレノ選手との対戦も行われる。2試合の見どころを、WOWOWの「UFC -究極格闘技-」解説者で、“世界のTK”こと高阪剛さんが語った。
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――「UFC263」のメインイベントは、イズラエル・アデサニヤvsマーヴィン・ヴェットーリのミドル級タイトルマッチ。王者アデサニヤは前回、2階級制覇を狙いライトヘビー級王座に挑戦したもののヤン・ブラホヴィッチに判定負け。1階級上とはいえ、初黒星を喫した再起戦でもありますが、この試合どう見ていますか?
王者アデサニヤにとっては、ここは正念場だと思いますね。というのも、ヴェットーリとブラホヴィッチは、タイプ的にけっこう似通っているんですよ。前回、ブラホヴィッチはスタンドでプレッシャーをかけていって、途中でテークダウンを奪い、グラウンドで体力を削ってアデサニヤに判定勝ちしましたけど、まさにそういう戦い方を得意としているのがヴェットーリなんです。
――圧力をかけ、テークダウンを奪い、グラウンドで削ると。
いわゆるグラウンド&パウンドを得意とするタイプですよね。約3年前の前回は1~2ラウンドはヴェットーリが組みにいってもなかなかテークダウンが奪えなくて、3ラウンドにようやく寝かせることができたんです。でもその後、スタンドに戻ったとき、アデサニヤ本来の動きができてなかったんですよ。だから、そこがお互いにとってのキーポイントなんだろうなと。
――ヴェットーリがアデサニヤを寝かせられるかどうか。
しかも、今度はタイトル戦で5ラウンド制なので、前回と同じようにヴェットーリが3ラウンド目でテイクダウンに成功して、べったり寝かせることができたら、4~5ラウンドも続けることも可能だと思うんですよ。そうなると、アデサニヤの判定負けという結果も考えられますよね。
――前回も3ラウンドはヴェットーリが取って、テイクダウンを奪われて以降、アデサニヤの動きが悪くなっていたわけですしね。
だからアデサニヤとしては、早めに打撃で仕留めたいところですけど、ヴェットーリはタフで体が頑丈。打たれてもあまり気にせずにガンガン前に出てくるし、サウスポーの構えから左ストレートをしっかり延ばしてくるので、そこで下がってしまったら、ケージに押し込まれて、テークダウンを奪われてしまうかもしれない。
――アデサニヤのような驚異的なストライカー相手だと、なかなか前に出られないものですけど、ヴェットーリは前回も打たれながら前に出ていました。
そうなんですよ。ヴェットーリの前回の試合(今年4月10日のケビン・ホランド戦)も、途中からテークダウンが面白いように決まって、終始グラウンド&パウンドで大差の判定勝ちでしたから。ヴェットーリはあの戦い方を変えないと思うので、アデサニヤがそれをどう処理するかが、この試合の肝になる気がしますね。
――アデサニヤにとっては、前回のヴェットーリ戦がスプリットの判定勝ちで、ブラホヴィッチ戦が判定負け。どんどん前に出てきて、テークダウンを奪ってくる相手というのは苦手かもしれません。ブラホヴィッチ戦での結果を受けて、そこが克服できたかどうかが問われそうですね。
だからブラホヴィッチ戦が、アデサニヤにとってどちらに作用するかでしょうね。幸か不幸か、同じようなタイプの選手なので。いい方で考えると、前回の敗戦から学ぶものがあって対策がしっかりできたとも言えるだろうし。悪い方で考えると、苦手意識がより強まった可能性もある。
――ブラホヴィッチに、アデサニヤ攻略法が見つけられてしまった、ということにもなりかねないわけですね。
だからヴェットーリは、自信をもって前に出てくると思います。それに対しアデサニヤは、ステップでかわしながらカウンターを入れてくるでしょうし、そういうところは天才的ですから。いくら打たれ強いヴェットーリとはいえ、アゴの先端やテンプルといった急所を打たれたら倒れますからね。アデサニヤはピンポイントで意識を刈りにくるんじゃないかな。
――闘牛士のように、突進をかわしながらサーベルを急所に突き刺す、と。
急所に刺さないと、何度でも向かってくると思うんですよね。だから、アデサニヤがしっかりピンポイントで仕留められるかどうかにかかってくると思います。
――もう1試合、デイブソン・フィゲイレードvsブランドン・モレノのフライ級タイトルマッチ。こちらは昨年12月の「UFC256」で引き分けを受けてのダイレクトリマッチになりますが、どう見ていますか?
前回はフィゲイレードが、試合前夜に胃の感染症で病院に運ばれるなど完全な状態でなかったと言ってましたよね。そのエクスキューズありきで試合を見直すと、たしかに3ラウンド目から動きが鈍くなっていた。それが、体調不良によりパフォーマンスに影響が出たことでの失速であったのなら、今回は全然違った試合になるでしょうね。
――具体的にはどう変わってきそうですか?
体調不良がそこまで影響しなかったと仮定すると、モレノの勝機はやはり、テークダウンからのグラウンドですよね。モレノは打撃も強いですけど、寝かせてからのコントロールが、いちばん心地いい状態だと思うんですよ。それに対しフィゲイレードの寝技は、トップコントロールというより、いろいろ仕掛けて、最終的に自分がいい形になるというもの。同じように寝技をやっているように見えて、両者はグラウンドの質が違うんですよね。
――フィゲイレードはアタックする寝技で、モレノはコントロールする寝技。
動けば動くほど、グラウンドはフィゲイレードの方が有利になるんですよ。だからモレノはフィゲイレードの仕掛けに付き合わず、一個一個の動きを潰してコントロールして、削っていくという戦い方になると思いますね。
――そうして体力を削れば、スタンドに戻った場合も、フィゲイレードの猛攻が弱まるという。
そうです。また打撃に関しても、フィゲイレードはプレッシャーをかけていって、相手が手を出してきたところでカウンターを当てるのがうまいし、強いんですよ。あとはボディを強く打って、相手の足を止めて、距離を詰めて顔面を打ちにいくとか。接近戦での打ち合いに強い。だからモレノも長いリーチをのばしていくストレートとかいいものを持っているんですけど、打ち合いになったら分が悪いので、そこに付き合わないことも大事になると思います。
――グラウンドでもスタンドでもやり合ったら、モレノは厳しくなるわけですね。
打ち合いになりそうなところで離れて、空振りさせたりとか。グラウンドでも、フィゲイレードが切り替えそうとしてきたら、スタンドに戻るとか。そうやって気勢を削いでいくのも大事になってくるんじゃないかと思うんですよね。
――打っても響かない感じでイラつかせて、徐々にスタンド、グラウンドの両面で削っていけば勝機も見えてくると。
そうですね。根本的なところで、フィゲイレードはものすごく強いし能力が高い選手。フィジカル、テクニック、スピード、すべてのレベルが高くて気持ちも強いチャンピオンだからこそ、それを空回りさせる必要がある。だからこの試合は、体調万全で出てくるであろうフィゲイレードの力を、モレノがどう封じるかがポイントになると思いますね。
試合の模様は、「生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC263 in アリゾナ ダブルタイトルマッチ!ミドル級アデサニヤ&フライ級再戦」と題し、6月13日午前11時からWOWOWプライムで生中継、15日午後10時45分からWOWOWライブでリピート放送。両日とも、WOWOWオンデマンドで同時配信される。
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2024年11月15日 15:00時点
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