超速パラヒーロー ガンディーン:「かっこいい」の既成概念への挑戦 新たなヒーロー「ガンディーン」に込められたもの

NHKの特撮ドラマ「超速パラヒーロー ガンディーン」に登場するヒーロー「ガンディーン」 (C)NHK
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NHKの特撮ドラマ「超速パラヒーロー ガンディーン」に登場するヒーロー「ガンディーン」 (C)NHK

 「仮面ライダージオウ」などで知られる奥野壮さん主演で6月26日にスタートしたNHKの特撮ドラマ「超速パラヒーロー ガンディーン」。初回からツイッターのトレンドで「#ガンディーン」が1位を獲得するなど、話題となっているが、中でもファンが熱い視線を注いでいるのが、車いすに乗ったヒーロー「ガンディーン」だ。キャラクターデザインを担当したのは、「ゴジラ」シリーズに携わってきたマンガ家でデザイナーの西川伸司さん。「車いすに乗っていること自体が新しいとは思うのですが、車いす抜きでも新しいと思ってもらえるヒーローを目指した」という西川さんに、デザインに込められたものや今回の“挑戦”について語ってもらった。

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 「超速パラヒーロー ガンディーン」のテーマは「パラスポーツ×スーパーヒーロー」。大きな夢を持ち、パラ陸上の練習に打ち込む17歳の高校生・森宮大志(奥野さん)が、仲間が作るサポート・ギアを駆使して侵略者から地球を守る……という内容で、正義のヒーロー「ガンディーン」は、空から落ちてきたイケメン宇宙人「グー」から授かったパワーにより、大志が特殊なプロテクターを装着した姿となる。

 西川さんは1989年公開の「ゴジラvsビオランテ」を皮切りに、「ゴジラ」シリーズで数々の怪獣のデザインを手掛け、特撮ドラマ「超星神」シリーズや「ウルトラマン」シリーズにも携わってきた。そんな西川さんが「ガンディーン」をデザインするにあたり最初に思ったのが、「難しいな」だった。

 「車いすに乗っている人たちがどう思うのか。自分たちには、どんなに想像しても想像しきれない。不快に感じたり、失礼な表現になってしまわないだろうかという意味での難しさはありました」

 加えて「車いすに乗っている子供たちが直接、自分を投影できるヒーローであることを大事にしたかった」という西川さん。「ターゲットは大人ですが、ヒーローである以上、“子供にも向けて”というのは頭の中に常にありましたし、車いすに乗っている子供たちが、ちゃんとまねすることがきて、かっこいいと思えるデザインというのは外せないなって思いました」と説明する。

 また、「ガンディーン」では、パラ陸上の選手の上半身のたくましさを表現するため、肩周りや上腕にボリュームを持たせたデザインにした。

 さらに、劇中で徐々にバージョンアップしていく車いすは、設定上はスーパーマシンではなく、町工場を営む主人公の父親らが作った、いわば“ヒーローをイメージした乗り物”になっている。特に脚周りがカウルで覆われる“3輪”のバージョンは、実用性がありながらも、ヒーローの乗り物として「ラインのつながりや一体感があって、よりストレートに格好良さが出ていると思います」と西川さんは語った。

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 一方で、「ガンディーン」のデザインは、新たなヒーローとして「かっこいい」の既成概念への挑戦だった。

 「ヒーロー」と聞けば、3大特撮とされる「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」のどれかを思い浮かべる人も多く、どこかで「ヒーローとはこうである」という意識が働いてしまうもの。

 そこに、西川さんが目指した「新しい」と「かっこいい」の両立の難しさもあったという。

 「『仮面ライダー』でも『ウルトラマン』でもいいのですが、これまでのヒーローって、それぞれ『格好よさの鉄板』というか、『かっこいいとはこういうものなんだ』という既成概念になってしまっている。そこを外してデザインすると、新しくはなるのですが、かっこいいと思われにくい。自分は怪獣を含め、いろいろと手掛けてきましたが、無難なものがかっこいいと言われて、なまじ新しいことをするとかっこいいと思ってもらえなくなるというのはあるんです」

 また西川さんは、「自分が思う、かっこいいものと新しいものとの両立だけなら決して難しくはないのですが、多くの人にかっこいいと思ってもらえて、かつ新しいものを生み出すのは難しい」とした上で、「どこまでそこに挑めるかっていうチャレンジングな作業でした」と振り返った。

 果たして、西川さんの挑戦は成功したのか。ルックスは悪役のようにまがまがしくて、植物的な生々しさもある「ガンディーン」だが、新しいヒーローとして視聴者にすんなりと受け入れられているのが現状だ。ドラマは残り1回。デザイナーとしての西川さんの思いが込められた新しくてかっこいいヒーロー「ガンディーン」に引き続き注目してほしい。

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