海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
女優の清原果耶さんが主演を務めるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おかえりモネ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。本作でヒロイン・永浦百音(清原さん)の同級生であり、漁師見習いの“りょーちん”こと及川亮を演じているのが、人気グループ「King & Prince」の永瀬廉さんだ。第15週「百音と未知」(8月23~27日)、第16週「若き者たち」(8月30日~9月3日)では、亮が自身の思いと葛藤する姿が描かれ、そのはかなげな表情に視聴者からは「目が離せない」という声が上がった。見る者を引きつける永瀬さんの演技の魅力に迫りたい。
あなたにオススメ
「豊臣兄弟!」では池松壮亮が! 大河ドラマ“秀吉俳優”史を振り返る
亮は百音と家族ぐるみで付き合う同級生で、高校卒業後から漁師見習いとして海の仕事に就いている。第15、16週では、普段は気仙沼で暮らす亮が、突然、意味ありげに東京の百音の元を訪れて……という展開だった。
第74回(8月26日)では、何の連絡もなく東京にやって来た亮に、百音は「元気?」と声をかける。「急に来るから」と心配する百音に、亮は「来ちゃダメなの?」とさみしそうな顔を見せ、その後、何かを話そうとするも、結局打ち明けられずに終わった。
亮は“曇った瞳”で百音を見つめ、百音も亮のまなざしから何かを感じ取っていたこのシーン。「言葉には出せないけど気づいてほしい」、そんな亮の思いが伝わってくるようだった。
翌日、亮は気仙沼に帰っていったが、百音には母・亜哉子(鈴木京香さん)から「亮くんが船に戻っていない」と連絡が入る。百音が亮に電話すると、亮は「もう全部やめてもいいかな」「俺やっぱモネしか言える相手いない」と意味深な発言。数日前に、亮の父・新次(浅野忠信さん)が、震災で行方不明になった母・美波(坂井真紀さん)のことで荒れたことが原因だった。
百音は亮を汐見湯に連れ帰り、そこに明日美(恒松祐里さん)、三生(前田航基さん)、悠人(高田彪我さん)たち幼なじみも合流。亮が吐露した“現実への諦め”に対し、三生は救いの手を差し伸べた。そして帰り際、亮は百音を頼ったことについて、恋愛感情をほのめかすように「わかってんでしょ?」と問いかけたが、百音は「これは違う。私はりょーちんのこと、かわいそうとか絶対に思いたくない」と答えたのだった。
亮が百音に「わかってんでしょ?」と告げたシーンでは、亮が百音の目を見つめる様子が約1分半にわたって描かれた。思いを含んだまなざしには、もう全てを口にしてしまいたい、でも言えない、亮のスレスレの感情がにじんでいた。
こうした場面で際立ったのが、永瀬さんの一点を見つめる演技だ。力のない瞳で目をそらさずに視線を投げかけ続け、亮が抱える苦しさを表面化させつつも、核心には触れない絶妙なバランスを見事に表現していたように思う。この曖昧さがはかなさを引き立て、思わず目が離せなくなる“吸引力”を生んだのではないだろうか。
まだまだ解消されずに続く亮の葛藤。彼が幸せになる道を歩めるよう、これからも視聴者と共に見守りたい。