江口のりこ:名バイプレーヤーからGP帯ドラマの主演へ 「SUPER RICH」で証明する唯一無二の“女優力”

連続ドラマ「SUPER RICH」で主演を務める江口のりこさん(C)フジテレビ
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連続ドラマ「SUPER RICH」で主演を務める江口のりこさん(C)フジテレビ

 連続ドラマ「SUPER RICH」(フジテレビ系、木曜午後10時)で主演を務める女優の江口のりこさん。ドラマ「海月姫」(同)でのインド人役、「半沢直樹」(TBS系)での政治家役など、インパクトの強い役柄も好演する名バイプレーヤーとして存在感を放ってきた。一方で役へのこだわりは「ない」と言い放つ自然体でサバサバとした性格でも知られる。今回ゴールデン・プライム帯(GP帯)の地上波連ドラ初主演を果たした江口さんのこれまでの活躍を振り返るとともに、その根底にある唯一無二の“女優力”に迫りたい。

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 ◇印象に残る“クセ強”キャラ 一方、“普通”もしっかり体現

 江口さんは19歳で芸能界入り。2014~15年に放送されたNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「マッサン」に出演し、数カ月後には大河ドラマ「花燃ゆ」にも出演。それ以前は映画での活動が目立ったが、2015年以降はドラマでの露出が一気に広がった。

 前述したインド人、政治家のほか、2016年の「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ系)では真面目な校閲部員、2018年の「ドロ刑 警視庁捜査三課」(日本テレビ系)では変装が上手な刑事と、江口さんはさまざまな役どころを演じてきた。

 しかし、ただ演じ分けるだけでなく、例えば昨年の「半沢直樹」で演じた、冷徹なキャリアウーマンに見えた政治家の白井亜希子が、根底にもろさと正義の心を持っていたりと、いずれも視聴者の印象に残る魅力的な人物になっているのが江口さんの魅力。2019年の「わたし、定時で帰ります。(わた定)」(TBS系)で演じた中国人・王丹も、視聴者から「リアル」「ハマりすぎ」と称賛を集め、その後の出演作では江口さんがどのような演技を見せてくれるのか、期待を寄せる声がより高まったようにみえる。

 また、いわゆる“クセの強い”役柄をこなす一方、昨年放送された「#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜」(日本テレビ系)では人生を達観した39歳の精神科医を演じた。これまでの役と比べると派手な特徴はなかったが、主人公たちの恋愛模様を見守る立場で、年相応の役どころだった。こういった“普通”をうまく体現できるところもまた、江口さんの強みだと言えるだろう。

 ◇「江口のりこのドラマは裏切らない」 “女優力”の秘密は…

 これまで数々の作品で名バイプレーヤーとして活躍してきた江口さんだが、「SUPER RICH」でついにGP帯の地上波連ドラ主演に躍り出た。本作は、幸せのカタチ=「スーパーリッチ」を追い求めるベンチャー企業社長の波瀾(はらん)万丈の半生を描くオリジナル作品。江口さんは、「お金があれば何事も解決できる」と考える主人公の氷河衛(ひょうが・まもる)を演じている。

 10月14日に放送された第1話では、社長として会社を大きくするため、リスクを顧みずに強気の姿勢で物事を進める様から一転、会社が危機に見舞われ「お金を貸してください」と土下座する姿まで、見事な振れ幅を披露。視聴者からも「江口のりこ様の演技に引き込まれる」「抜群の安定感」「江口のりこさんのドラマは裏切らない」と好評を得ている。

 そんな江口さんだが、「わたし、定時で帰ります。」出演時のインタビューでは、演じる上でのこだわりは「ない」ときっぱり。「(こだわりが)ないからこそ、楽しくやれると思う。変に自分がこだわりを持ってしまうと、みんなと一緒に作ってやるものだから、邪魔になるんじゃないか」と持論を展開しつつ「(作品作りを)みんなでやっているという意識が結構ある」「楽しくやれたらいいなと思っているので、『絶対私はこうしたいんだ』というこだわりみたいなものはほとんどない」と語っていた。そこには、名バイプレーヤーとしての調和を重んじる姿勢と、数々の役を演じてきたからこその“対応力”がうかがえる。

 深夜は若干状況が異なるが、日本のGP帯の連ドラは、主演俳優がその圧倒的な存在感とこだわりで、“座長”としても作品全体をグイグイ引っ張っていくというスタイルが圧倒的だ。そんな中で、バイプレーヤーとしてならした江口さんの“調和力”と“対応力”は、また違った唯一無二の輝きを今回の「SUPER RICH」にもたらしてくれるだろう。“子犬系イケメン”の赤楚衛二さん、“忠犬系イケメン”の町田啓太さんら共演者も話題の本作。江口さんが「みんなと一緒」に作り上げる物語に注目したい。

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