櫻井孝宏:「劇場版 呪術廻戦 0」 夏油傑役の“呪い” 五条悟だけに見せる顔、揺れを表現

「劇場版 呪術廻戦 0」の夏油傑役の櫻井孝宏さん
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「劇場版 呪術廻戦 0」の夏油傑役の櫻井孝宏さん

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の芥見下々(あくたみ・げげ)さんのマンガが原作のテレビアニメ「呪術廻戦」の劇場版「劇場版 呪術廻戦 0」(朴性厚監督)が、2021年12月24日に公開され、話題を集めている。同作で、主人公の乙骨憂太(おっこつ・ゆうた)らの敵であり、最悪の呪詛(じゅそ)師として登場する夏油傑(げとう・すぐる)を演じるのが、櫻井孝宏さんだ。劇場版はテレビシリーズの約1年前が舞台。夏油はテレビシリーズでは額に傷痕があるが、劇場版では傷痕がない姿で登場するなど違いがある。櫻井さんは、テレビシリーズと「明確に違いを表現したいと思った」とこだわりを語り、劇場版の夏油を演じたことは「私に呪いがかかったようなもの」と話す。アフレコの様子を聞いた。

 ◇額に縫い目がない夏油傑 「明確に違いを表現したい」

 「呪術廻戦」は2018年から「週刊少年ジャンプ」で連載中。強力な“呪物”の封印が解かれたことで、高校生の虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)が呪いを巡る戦いの世界に身を投じることになる……というストーリー。テレビアニメが2020年10月~2021年3月に放送された。劇場版は、「呪術廻戦」の前日譚(たん)にあたる原作コミックスの「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」、通称“0巻”が原作。虎杖悠仁たちの1学年先輩の世代が登場するエピソードで、幼少期に事故死した幼なじみ・祈本里香の呪いに苦しみ、自身の死を望む高校生・乙骨憂太が、五条悟によって都立呪術高専に迎え入れられる。緒方恵美さんが乙骨の声優を務める。

 櫻井さんが演じる夏油は、元々は呪術高専出身で、五条の同級生だったが、一般人を大量虐殺し呪術高専を追放された過去を持つ。劇場版では、呪霊たちによる非術師の大規模虐殺「百鬼夜行」を画策する。櫻井さんは、劇場版の夏油を演じる上で、「改めてキャラクターを精査し直した」という。

 「テレビシリーズでは、夏油は額に縫い目がある状態で出てきて、『0』になるとそれがない。時系列で考えても、やはりキャラクターの表現的にはアプローチを変えなければいけないなというのがありました。自分一人では決められないので、監督、音響監督と相談しながら何回かトライして、この方向性でいきましょうと。ただ、それも淡い変化というか、緑と黄緑みたいな」

 声の音色を含め微妙な変化を表現することは「私の中では難しい取り組みでした」と語る。

 「明確に違いは表現したいと思ったのですが、それが線のようにくっきりと見えてしまうのはどうしても嫌だったんです。できる限りのことはやったので、後は見てくださる人に委ねようかなとは思っています。ただ、今後また夏油を表現することになったとしたら、それはそれで私に呪いがかかったようなものなので、難しくなったなと思っているんですけどね」

 ◇丸裸にはなれない夏油の揺れ “乙骨”緒方恵美の演技に「鳥肌」

 劇場版では、夏油が「思う存分呪い合おうじゃないか」と高らかに百鬼夜行を宣言したかと思えば、元同級生の五条と話す際はひょうひょうとしていたりと、さまざまな顔を見せる。櫻井さんは夏油を「本来の人間性は皮肉屋」と感じているという。

 「一枚も二枚も裏がありそうな雰囲気ではあるんですけど、本来の人間性は皮肉屋で、話す内容と音色にギャップがあるような、そういう人なのかなと。五条だけに見せる夏油像というか、夏油の生っぽい部分も表現できたらと思っていました。特に終盤の二人のシーンは、夏油も素に近い。ただ、本当に素かどうかというと、薄皮一枚ぐらいはかぶっているような。本音めいたものは吐露しても、丸裸ではない。もうそこには戻れないでしょうから。私の自己満足かもしれないのですが、その辺りの夏油の揺れを表現できていたらなと思います」

 劇場版では、乙骨と夏油の迫力のバトルシーンも見どころだ。櫻井さんは乙骨役の緒方さんとの収録は「鳥肌が立つような、肌があわ立つような感覚」だったという。

 「乙骨が駆け上がっていくように変化していく様を私は夏油として見ている部分があったのですが、乙骨の場合は『成長した』というより『覚悟した』という感じでしょうか。それを形にした緒方さんが本当に見事でした。乙骨は短期間で劇的に変わるので、その表現はとても激しく難しいものなのですよ。でも、緒方さんはまさに乙骨が憑依(ひょうい)したとでもいうようなたたずまいで、収録されている姿にも鬼気迫るものがありました。もちろん収録では私も頑張りましたが(笑い)」

 櫻井さんは劇場版を「思いやり、愛情にあふれている作品」と表現する。

 「劇場版の大きなテーマは愛だと思います。乙骨と里香のエピソードのベースにあるのは愛情の物語。また、愛とまでは言いませんが、五条と夏油の間にも今でもどこか通じ合っていると思うんです。元々は同級生だった二人の関係性が、今では裏返しになってしまっているように感じます。乙骨と里香、五条と夏油は、本来なら自分にとってプラスになりえた存在が、逆に呪いになってしまっている。そこはこの作品ならではの描かれ方だなと思いました」

 “愛”が描かれる劇場版で、最悪の呪詛師・夏油がどんな顔を見せるのか。櫻井さんが表現しようとした“生っぽい夏油”に注目したい。

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