放課後カルテ
第1話 保健室にはなるべく来ないでもらいたい
10月12日(土)放送分
第二次世界大戦中の日本海軍とイタリア人たちの友情と恋を描く新春スペシャルドラマ「潜水艦カッペリーニ号の冒険」(フジテレビ系)が、1月3日午後9時~同11時半に放送される。メガホンをとった馬場康夫監督は約25年かけて本作の映像化を実現。主演に二宮和也さんを迎え、「妥協せず、納得のいく作品が撮れた」と自信をのぞかせる。映像化に至る経緯から、監督業における自身の強み、「驚かされた」という二宮さん、共演の有村架純さんの“役者力”について聞いた。
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物語は、1943年9月、イタリアの潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号が、物資輸送のために日本へ向かうところから始まる。実は出航後、日本と同盟国だったイタリアは連合軍側に降伏し、その事実を知らずにいた乗組員たちは、日本に到着すると日本海軍に捕虜にされてしまう。
厳格な海軍少佐・速水洋平(二宮さん)は「食べて歌って恋をして」が信条のイタリア人を毛嫌いしていたが、どんなにつらい状況でも人生を謳歌(おうか)しようとする姿に気持ちが変化。国境を越えた確かな友情が芽生えていく一方、戦火の足音は日に日に大きくなり、両者は無情にも引き裂かれていく……。
当初は映像化について「全く考えていなかった」と語る馬場監督。「あるとき、イタリア人の友人から『こんな話知ってる?』とこの史実を教えてもらいました。当時日本に残ったイタリア人に取材した人物から話を聞く機会もあり、僕は『面白いな』と周囲によくこの話をしていたんです。そうしたら、付き合いのあったフジテレビの石原隆さん(現・日本映画放送社長)から『いい題材になるよ』と言われて。それが最初のきっかけでした」と明かす。
本格的に映像化へと動き始めたのは、それから約10年後。さらに約15年構想を重ねて、今回の新春スペシャルドラマにたどり着いた。「本来であればもっと前に撮る予定でしたが、新型コロナウイルスの影響などもあって、今の時期になりました。延期になっている間も脚本を詰めたりと、“潜水艦”をずっと進めていたので、結果的に良いタイミングで浮上できたと思っています」。
馬場監督といえば、「私をスキーに連れてって」をはじめ1980~90年代の映画をけん引してきた存在でもある。「いわゆるバブル期に映画を撮っていたのですが、当時は本当に忙しくて、僕は全然そのムードに乗っていなかったんですよね(笑い)。逆に言うと、そういった雰囲気を外から見ていたのもあって、『客観的』という視点を持ち続けられていることは監督業に生きているのかもしれません」と、自身の強みを分析する。
そんな馬場監督は、本作でテレビドラマの演出に初挑戦。戦時中の物語を表現するにあたり「時代は客観的に見て、ちゃんと残さないと分からないもの」と持ち前の“視点”を大切に、丁寧に作品を紡いだ。
一方で、「この作品は映画のような撮り方をしたこともあって、撮影方法に関しては何も違わなかった」と馬場監督。「たとえ映画館で上映したとしても、何も違和感のない画(え)に仕上がっていると思いますね」と手応えを語った。
主演には二宮さんを起用。馬場監督は「スタッフからのオファーを二宮君が快諾してくださって。僕だけじゃなく、この番組を形にしようという、いろいろな方の執念を感じました」と明かす。
撮影では「僕はカット割りを決めただけ。お芝居については何も分からないので(笑い)」と、演技プランは俳優陣に全て“お任せ”。特に「二宮君には本当に驚かされた。とにかく感服しました」という。
「まずは、やはり何より演技がうまい。台本を超えてくるというか、想像とは違ったアプローチをしてくる。すごみを利かせた芝居で、撮っていて圧倒された場面があったのもよく覚えています。ラストシーンでは、速水のせりふについて提案をいただいて、結果的に二宮君の意見を採用することになりました。脚本家も『ごもっとも』と言っていましたね」
また、速水の妹・早季子を演じた有村さんについても驚きがあったと話す。「今回の役は、戦時中の小学校教員。兄思いで、日本にやって来たカッペリーニ号の乗組員から好意を寄せられるという役どころで、個人的にははじけたようなイメージだったのですが、全然違ってとても落ち着いた雰囲気で演じられていました。当初は少し暗いかなと感じたりもしたのですが、物語を通して見てみたら、しっかりとした一人の女性が表現されていて。彼女なりの計算があったんだろうなと思います」と語った。
俳優陣の確かな実力も加わり、ドラマの域を超えるクオリティーに仕上がった本作。「豪華かと言われると分からないですが、妥協せず、納得のいく作品が撮れたと思います。性格の全く違うイタリア人と日本人が反発して大げんかするのですが、最後には友情や恋が芽生える。誰でも感動できる物語になっていますので、ぜひご覧ください」と呼びかけた。
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