フェイクマミー
第9話 ニセ母計画崩壊!?追い込まれた家族の決断
12月5日(金)放送分
女優の上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の本編の最終回が4月8日に放送された。祖母、母、娘の3世代親子を描いた物語が、大団円を迎えた。100年の物語を描くという“前代未聞”の企画に挑戦し、「こんなにエネルギーを必要とした作品はなかった」と語る制作統括の堀之内礼二郎チーフプロデューサー(CP)に、「カムカムエヴリバディ」とはなんだったのか、話を聞いた。
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「カムカムエヴリバディ」は、朝ドラ史上初の3人のヒロインが織りなす100年のファミリーストーリー。昭和、平成、令和の時代に、ラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代親子を描く。上白石さんは祖母の安子役、深津さんは母のるい役、川栄さんは娘のひなた役として、バトンをつないだ。
最終回では、安子(森山さん)とるい(深津さん)が、断絶された50年を埋めるかのような時を過ごした。ひなたの初恋相手であるビリー(城田優さん)、消息が分からなかった安子の幼なじみのきぬ(小野花梨さん)の孫・花菜(小野さん、二役)らの登場、再建は断念されたはずだった安子の実家の和菓子屋「たちばな」と同じ名前の和菓子屋が登場した理由も明らかになった。これまで描かれてきた三世代が糸のように絡み合い、共鳴し合いながら、つながり、100年の物語の完結にふさわしい幕切れとなった。
100年の物語を描くのは、朝ドラでは初の試みだった。堀之内CPは「自分の経験としては、こんなにエネルギーを必要とした作品はありませんでした」と率直な感想を述べる。「3本のドラマを作っていくことが必要だった」といい、「出演者、スタッフもみんなでバトンタッチをしながら進めていきました」と振り返る。
「初めから最後までずっと出ている出演者はいないという物語の構造だったので、僕らがつなげていかないと、バラバラの物語になってしまう。走っているのは役者の皆さんですが、その横を(スタッフという)コーチがずっと伴走している、駅伝のような感じでしょうか。企画が始まったのは2019年春からでしたので、3年近く走り続けてきました。やっとやり遂げたという安堵(あんど)感でいっぱいです。コロナ禍で撮影が影響を受けたことも何度もありましたし……」としみじみ語る。
ドラマのオフィシャルブック「連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ Part2」(NHK出版)では、同じく制作統括を務める櫻井賢CPが、「今後3世代を描く朝ドラに挑戦する人が現れたならば、『やめときなはれ』とアドバイスする」と表現されている。
これを聞いた堀之内CPは、「僕はもう二度とやらないと思います(笑い)」と冗談交じりに語り、「本当に大好きな作品ですが、ヒロインや出演者といい関係ができてきたと思ったら(すぐに交代で)別れがきますし、セットも慣れてきたと思ったら空襲で焼けてしまったり、時代が移り変わって建て替えるというようなことの繰り返しでした。出演者のみなさんやスタッフみんなが本当に頑張ってくれましたが、みんなに苦労させてしまっているという申し訳ない思いを抱えながら過ごした日々でした。お陰ですごい作品ができましたが、僕自身も櫻井の『やめときはなれ』という言葉に、今は同意してしまいます」と笑う。
3世代を描いたことで、これまでの朝ドラと比較して非常に濃密な作品となったことは確かだ。安子編で張られた伏線が終盤にかけて回収されていく心地よさ、ある人物を演じた俳優が血のつながりや縁のある役に“転生”して再登場する演出など、驚きや感動が詰め込まれていた。
堀之内CPは「突き動かされるように作っていったという感じだった」という。ここまで反響が大きくなった理由について、「コロナ禍という状況で、より伝わるものもあったと思います。例えば2022年の場面では登場人物たちがマスクを着用していますが、最終回の2025年にはマスクを取りました。今はこうだけど、数年後は『ひなたの道』が広がっているという希望を感じていただきたいと願いを込めました。コロナ禍を受けてつむぎ上げた、藤本(有紀)さんの一種の”発明”でもあります。世界の外的状況によって、自分たちの生活が脅かされるつらさや何気ない日常のありがたさ、愛しさは、今のような世の中だからこそ、より感じていただけたのでは」と分析する。
私たちの心に大きな感動をもたらした「カムカムエヴリバディ」。あなたのそばにもきっと安子、るい、ひなたと同じ、100年のファミリーストーリーが存在するに違いない。
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