円広志:“関西のお父さん”になった理由 「よ~いドン!」“卒業”後の夢は?

生活情報番組「よ~いドン!」にレギュラー出演する円広志さん
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生活情報番組「よ~いドン!」にレギュラー出演する円広志さん


 今年7月で15年目に突入した関西ローカルの生活情報番組「よ~いドン!」(カンテレ、月~金曜午前9時50分~11時15分)に初回からレギュラー出演している、歌手でタレントの円広志さん。ざっくばらんなトークで、関西のテレビ・ラジオ番組で活躍するタレントである一方、心にしみるヒット曲を持つ歌手としても、精力的に活動している。15年前に同番組に出演するようになってからの変化や、曲作りをするときに大切にしていること、人生観などを通して、円さんが、関西で“お父さん”のように長く愛される理由を探った。

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 ◇朝のルーティンは「スクワット140回、壁に向けての腕立て伏せ50回」

 1953年8月21日、高知県生まれ、大阪府育ちの円さんは現在68歳。14年にわたって「よ~いドン!」のメイン出演者として、毎回番組を仕切っているだけでなく、人気企画「となりの人間国宝さん」の月・火曜ではロケもこなしている。特に「となりの人間国宝さん」は、普段の生活にもいろいろ影響を与えているそうだ。

 「僕はプライベートでもよく街を歩くんですけど、街や人の息づかいみたいなものが『人間国宝さん』を通して、よりいっそう好きになりました。夏の暑い日にロケをしたら『二度とやりたくない』と思いますけどね……」と笑う。

 ロケでは長時間歩くことになるため、少しでも長くこのコーナーを続けるために、新たな習慣を取り入れた。「8年前に60歳を過ぎてからは、体力をつけることを考えるようになりました。朝6時半に起きて、スクワットを140回ぐらい、壁に向かった腕立て伏せを50回ぐらいしています」と毎朝のルーティンを明かす。

 ◇「人間には常に裏と表の部分がある」

 円さんは、「とんでとんで~」のフレーズが印象的な1978年のデビュー曲「夢想花」や、「探偵!ナイトスクープ」のテーマ曲「ハートスランプ二人ぼっち」(1996年)などのヒット曲を持つ、シンガー・ソングライターでもある。「よ~いドン!」での出会いや経験は、音楽活動にも良い影響を与えているかと思いきや……。

 「たばこや酒が喉に悪いって思われがちですけど、本当は大きい声を出したり、しゃべり過ぎるのが一番良くないんです。だから僕は、ボーカリストとして一番良くないことを、毎日やっています」と、歌手生命が懸かっている(?)ことを明らかにしつつ、「特にロケは喉がガッサガサになるんです。だからライブがあるときは、直前にロケを入れないようにしています……まあ、あまり発表の場はないから大丈夫ですけど(笑い)」と冗談めかして語る。

 「人間には常に裏と表の部分がある」という視点は、街の人とトークをするときも、作詞をするときも、常に頭に置いているという。

 「つらい経験を聞いたら『それは確かに大変だけど、悪いことだけじゃなかったでしょ?』と、楽しいところを引き出したり、笑いにできるような方向に持っていきたいんです。悲しいことの裏には素晴らしかったこともあるはずだし、逆に楽しいことの裏には、見えないけどしんどい部分があるはず」

 その上で「たとえ悪いことばかりだったとしても、それを経たからこそ、あなたの人生はふくよかになるんだよ……というようなことを、僕は表現していきたい。それはロケであっても、作詞のときでも考えますね。でも人生ってそれが当たり前だと思うし、そうじゃなかったら生きていても楽しくないんじゃないかな」と、ネガティブな感情をユーモアや前向きな言葉に変えることの大切さを語る。

 ◇“家族”や“縁”を大切にする人生観

 「僕は血糖値が高いんですが(笑い)、それって母の遺伝なんです。でもこれは、母という素晴らしい人が僕を生んでくれた、その代償だと考えています。確かに良くないことだけど、それよりも命を授かったことのほうがありがたいし、感謝をしよう……というふうに考えたら、なんでもチャラになるかな?と思いますね」と、“家族”や“縁”を大切にする円さん。

 「となりの人間国宝さん」についても、円さんは「ほんまは(話を聞いた)全員を認定したい。それぞれの人生すべてが“人間国宝さん”だと思っています」と出会ったことに感謝し、リスペクトする。そして「人間って、出会って別れたあとも、生きているじゃないですか。放送後になんらかの転機があったと聞くと、心が動く。できるだけ追いかけていきたい」とロケで出会った人たちに家族のような縁を感じ、深い愛情を注ぐ。そんな人間愛にあふれる円さんのことを、“関西のお父さん”のように親しみを感じる人も多いだろう。

 ◇「よ~いドン!」に出続ける限り「長い旅行ができないのが悩み」

 「よ~いドン!」には「この仕事を(芸能活動の)最後にしてもいい」ぐらいの愛着を持っているものの、月~金曜は生放送出演のため、「長い旅行ができないのが悩み」だという円さん。もし番組を“卒業”したら何をしてみたいかと尋ねると、少し変わったプランを語り始めた。

 「番組出演が終了したら、とにかく世界旅行に行きたい。子どもの頃から雨が好きで、雨音を聞くとテンションが上がるんです。桜前線を追いかけるように、雨季をずっと追いながら世界を周りたいですね。その土地の雨を体験して、雨季が終わったら次の国に行く……みたいな世界旅行をするのが夢です」と語る。ただ、「よ~いドン!」と円さんがこれからも関西で愛され続ける限り、夢の実現は遠い未来になりそうだ。

 「よ~いドン!」は月~金曜午前9時50分に放送。毎週土曜日には「となりの人間国宝さん」のベストシーンをまとめた「土曜日もよ~いドン!~となりの人間国宝さん いいトコどり!」(午前11時~11時50分)も放送している。

 (取材・文:吉永美和子)

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