SNSの総フォロワー数が140万人を超えるなど注目を集めている人気保育士のてぃ先生。YouTubeでは、現役の保育士ならではの視点から、子育てや保育に関する数々の情報を発信し、70万人以上の登録者数を獲得するなど多くのファンを生み出している。9月1日から芸能事務所「アミューズ」とマネジメント契約し、活躍の幅を広げるてぃ先生に、これまでの道のりや同事務所でのこれからの挑戦などを聞いた。
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現役の保育士でありながら人気YouTuberでもあり、さらに育児アドバイザー、顧問保育士と、さまざまな顔を持つてぃ先生。すべてのベースになる保育士という仕事を選んだ背景には、幼いころから“専門職”に就きたかった思いがあった。
「小さな頃から、ユニホームを羽織るような専門職がよかったんです。かつ、自分が好きで関心もあるものってなんだろう、と考えたとき、保育士か幼稚園の先生がいいな、と。当時、幼稚園の場合は、お昼ご飯を食べたら親が迎えに来るので、お昼以降は子供がいないわけです。保育だったら一日中ずっと子供がいるので、保育士を選びました」
子供と接する楽しさは、子供の“素直さ”を目の当たりにできることだ。「素直。もう、それに尽きると思いますね。大人になくて子供にあるものだと思います」とてぃ先生。「そこはすごく見習わないといけないなと思うし、すごく可愛いし、面白いなと思う部分でもあります」と魅力を語る。ただ、保育士として14年活動してきた今、やりがいも変化してきている。
「最初は『子供と遊ぶのは楽しいな、子供と過ごすのは最高だな』と思っていたんですけど、今はどちらかというと『子供よりもお父さん、お母さんのことを幸せにしてあげたい』と思っているんです。お父さん、お母さんたちに変化をもたらした方が、その子が根底から変わる。今やっているような情報発信もそうですし、保育園の中で保護者の方々にアドバイスをしたり、話を聞いたり……その方が変化の度合いが大きいというのが体感としてあって。だから子供たちに対しても試行錯誤して接していますが、お父さん、お母さんたちを幸せにしてあげたいという意識の方が現在は強いです」
保育士としての日々を過ごす傍ら、可愛らしい子供の日常をツイッターでつぶやいたところ好評を博し、フォロワー数は50万人を超えるまでに。もともとは当時、ネガティブな情報しか出てこない子育てを取り巻く状況でポジティブな情報を発信したい思いがあった。
「子供、子育て、保育というキーワードが出てくる報道は、基本ネガティブなものばかりで。ポジティブなことを発信しているニュース番組はあまり見ないですよね。僕がツイッターを始めたのが約10年前ですが、当時も状況は同じ。だから、そういうキーワードにもっとポジティブな発信をするコンテンツや人がいたらいいな、と当時はやっていたツイッターで発信し始めました」
ツイッターでは子供の可愛らしいエピソードを発信して人気を集めていたが、いつしか周りに似たような発信が増え、次第に自身のツイッターでの役割に疑問を抱くようになった。そこで「子供への接し方とかで、僕たち保育士は当たり前だと思っているけど、皆さんは知らなかった……というようなことが発信できたら、お父さん、お母さんたちがもっと助かるんじゃないかな、と思ったんです」とてぃ先生。ただ、文字数制限のあるツイッターでは多くを書けない。そこで選んだのがYouTube。「YouTubeだったらしゃべりたいだけしゃべれるじゃん、と思いました」と語る。
YouTubeのチャンネル登録者数は70万人を突破。ツイッターやインスタグラムと合わせた総フォロワー数は140万人を超えている。バラエティー番組や情報番組への出演も続き、多くの人から注目を集める存在になったが、てぃ先生自身は「『ブレークしている』なんて思っていないです」と笑う。ただ、「唯一『あ、なんかちょっとすごいかも』と思ったのは、初めて『踊る!さんま御殿!!』に出たとき(笑い)。僕、テレビは自分の番組すらあまり見ないんですけど、自分が子供の頃に母親と見たイメージがある番組に出た、ということが、ちょっと夢みたいだな、と……思いました」と明かした。
9月1日から「アミューズ」に契約。事務所との契約を決めたのは、テレビの出演依頼が増加したことが一因にあった。
「どうしようかなって思っているときに、たまたまご縁があって。自分にとって未知のテリトリーのことは、自分でやるよりもプロに任せた方がいいなと……。保育士としてのお仕事やメディアに関係ないお仕事は、今まで通り、自分でやっていきますが、メディアの部分を主にサポートしてもらいたいと思っています」
「アミューズ」に入ることで、テレビへの出演の可能性もさらに広がる。だが「僕が人気者になりたいわけじゃないんです」とてぃ先生ははっきりと言う。
「フォロワーが増えたらいいなとか、人気者になったらいいなとか、そういう思いは本当に一切なくて、てぃ先生が発信する子育ての情報をたくさんの人に知ってほしいんです。YouTubeやツイッターやインスタって、見てくれる層は限られているけど、テレビは良くも悪くも、僕に興味がなくても強制的に出てくるじゃないですか。僕のことを本当に気に入らない人はチャンネルを変えるかもしれませんけど(笑い)。そうすると、本来僕の情報に触れる予定がなかった人たちも、僕が発信する情報を得てくれる機会がめちゃめちゃ増える。そういう点で、テレビってすごく可能性があるなって思っています。自分でやっていきますが、メディアの部分を主にサポートしてもらいたいと思っています」
これまでにツイッターの投稿をもとにした書籍化やアニメ化もされているが、今後、てぃ先生が新しいステージで実現したいことは何だろうか。
「Netflixみたいな媒体で『てぃ先生の子育てハウツー』とか連載みたいなものがあったらいいなと思います。テレビも見ないしSNSも得意じゃないけどNetflixやHuluは見ている、という人も今の時代は多いですから」
さらに「最近、保育士をテーマにしたドラマってないですよね」と切り出したうえで、「そういうものの『原案』とかには挑戦してみたいなと思っています」とてぃ先生。ただ「僕を引き立たせてほしいわけじゃなく、それをきっかけに保育についてたくさんの人に知ってほしいなという思いが強いですね」と言い切る。
そうやって自身とエンタメとの可能性について語るてぃ先生に、エンタメから保育の現場に生かせることも聞いた。
「たとえば、声優さんを見て『あ、こういう声の出し方をすると子供たちは喜ぶんだ』とか……。テレビで流れているということは、つまりそれにクギづけな子供たちがいるわけですよね。じゃあ、絵本を読むときにちょっとそれを入れてみようかな、ということは結構あります。だって、アニメなんか『子供をどう引き付けるか』の固まり。たとえばプリキュアの映画は子供用とはいえ60分ぐらいはあるわけですが、そこに1時間子供を集中させている。相当工夫されていると思うので、参考になることもたくさんあるなと思います」
今は「子育て」とは無縁のような人とコラボがしたい、とてぃ先生。「まだ子供がいない人や、子供を作る予定もない人たちも子育てに興味を持ってくれたら、社会がもっと子育てに対して優しくなれると思う。そういう意味から、子育てや保育とは何の関係もなさそうな人とコラボしたいですね」と思いを明かす。可能性を広げ、これから「さらにたくさんの人たちに、僕個人じゃなくて僕が発信する情報を知ってもらえるように努力して頑張っていきたいなと思います」と意欲を見せるてぃ先生の活躍に、ますます注目が集まりそうだ。