現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の三浦義村をはじめ、月9ドラマ「競争の番人」(フジテレビ系)では悪役・天沢雲海を、さらには大ヒットを記録した映画「シン・ウルトラマン」(樋口真嗣監督)のメフィラスなど、作品に強い印象を与えつつも、物語の世界観に溶け込むキャラクターを好演している俳優の山本耕史さん。さらに自身のライフワークとも言える舞台や歌手活動などマルチに活躍しているが、ディズニー実写化最新作「ピノキオ」で、ピノキオの“良心”ともいえる緑色のコオロギ、ジミニー・クリケットの日本語吹き替え版声優を務めている。まさに充実一途の山本さんが作品の魅力や、40代後半に向けての野望などを語った。
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トム・ハンクスさんが孤独に暮らす風変わりなおじいさんゼペット役を務めているディズニー実写映画「ピノキオ」。ゼペットは、木彫りで作った男の子の人形に“ピノキオ”と名付け、いつか命が宿るようにと星に願っていたが、ある日その思いは届き、ピノキオは命を授かる。そんなピノキオの“良心”となるのが緑色のコオロギ、ジミニー・クリケット。本国ではジョセフ・ゴードン・レヴィットさんがジミニーに命を吹き込んでいるが、日本では山本さんが大役を担うことになった。
山本さんは「『ピノキオ』という物語について、風貌やうそをつくと鼻が伸びるというぐらいの記憶はあったのですが、誰が出てきてどういう話だったかというのは記憶が曖昧だったんです」と正直に話すと「ジミニー・クリケットというキャラクターもお話をいただいてから調べたぐらい」と苦笑いを浮かべる。
しかし、しっかりと予習をすると「常にピノキオと一緒にいる役で、映画ではストーリーテラー的な役割を担っている。とても重要な役柄をいただいて、すごく光栄だなと思いました」と感想を述べる。
ジミニーはコオロギ。山本さんは「最初は物語の説明も多く、どちらかというと理屈的に捉えていたんです」と役へのアプローチ方法について触れると「とにかく小さくて早口。声を当てるときも『この時間でこれだけのセリフ入れられるのか?』と思うぐらい。最初はそのスピードに合わせることに必死でした」と収録を振り返る。
それでもだんだんとジミニーというキャラクターを手の内にいれ「心臓の鼓動にシンクロできた」と述べると「ジョセフ・ゴードンさんは結構声を作って高めの声を出していたのですが、僕がそうすることによって『声を作っている山本耕史』というふうに感じてしまうのかなと思って。もしも僕の顔が浮かんでしまったとしても、違和感がない声のトーンを調節して収録しました」と音響監督と絶妙なラインを模索しながらのアフレコだったという。
「とても重要な役で光栄」と本作へのオファーについて語った山本さん。そこにはディズニー作品であるということも大きかったようだ。「やっぱり世界中の子供たちが大好きですからね」と笑顔を見せると「お子さんがいらっしゃる俳優さんはディズニー作品に関わることって、とても喜ばしいし、光栄なことなんだと思います。アメリカンスクールとかに通っている子供でなければ、だいたい日本語吹き替え版を観ますからね。やっぱり誇らしいと思います」としみじみ。
山本さん自身も父親だが「僕は子供が気づくまでは言わないかもしれませんね」と笑うと「僕がテレビに出ているとき、上の子には『いまの誰だか分かる?』と言うと『山本耕史さん』って言いますからね。だいぶいろいろなことが分かってきているので、あえて自分から言わずに黙っているかもしれません」と楽しそうに話してくれた。
大河ドラマに、月9、大ヒット映画、そしてディズニー作品と、出演作が途切れることがない山本さん。まさに充実一途の大活躍だが「とてもありがたいことです」と控え目に語ると「いま40代半ばですが、体が動くうちに、やっぱり自分でなにかを作りたいという思いがあります。いままでも演出したことはありますが、足腰がちゃんとしているうちに、一からモノを作ることはやってみたいです」と思いを吐露する。
「まあやるなら舞台でしょうね」と語った山本さん。「映像の仕事はいただいた役をまっとうするために全力投球するだけですが、舞台を最初から作り上げることはやってみたいです。まあでもいまはこんな世の中になってしまったので、しっかりエネルギーをためて、来るべきときに備えたいです」と未来を見つめていた。(取材・文・撮影:磯部正和)
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