ビーファイター:27年の時を超え 新作玩具誕生の裏側 “思い出補正”を具現化

「ビーファイターカブト」の変身アイテムの玩具「コマンドボイサー&インセクトコマンダーユニット COMPLETE EDITION」(C)東映
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「ビーファイターカブト」の変身アイテムの玩具「コマンドボイサー&インセクトコマンダーユニット COMPLETE EDITION」(C)東映

 特撮ドラマ「メタルヒーロー」シリーズの第14作「重甲ビーファイター」、第15作「ビーファイターカブト」の大人向け玩具がバンダイから発売されることが話題になっている。「重甲ビーファイター」は1995~96年放送、「ビーファイターカブト」は1996~97年放送で、約27年の時を超えて完全版の「COMPLETE EDITION(コンプリートエディション)」として新作玩具が発売されることになった。「27年」なので周年の記念商品というわけではない。なぜ、2022年、令和の時代に新商品が発売されることになったのか? バンダイの担当者に聞いた。

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 ◇潜在的なファン 想像以上の反響

 「メタルヒーロー」シリーズは、1982~83年放送の第1作「宇宙刑事ギャバン」を皮切りに数々の作品が制作されてきたが、現行のシリーズではない。「宇宙刑事ギャバン」などの大人向け玩具はあるが、「重甲ビーファイター」「ビーファイターカブト」はこれまで大人向け玩具が発売されてきたわけでもない。なぜ、2022年に「重甲ビーファイター」「ビーファイターカブト」なのか? 疑問をぶつけてみると、担当者は「やりたかった!という思いが強かった」と熱い思いを語る。バンダイは大企業だ。ただ「やりたい」だけでは実現できないはずだ。

 「バンダイ トイディビジョンは『仮面ライダー』やスーパー戦隊シリーズなどの大人向け玩具を展開していて、今の技術、新しい切り口でより広げていくミッションがあります。30代の私は子供の頃、『ビーファイター』を見ていました。30代は大人向け玩具のターゲットではありますが、『ビーファイター』の大人向け玩具がありません。これまでの大人向け玩具で培ってきたスキームを『メタルヒーロー』に置き換えたら、新しいことができるのではないか?と考えました。リサーチする中で潜在的にファンがいることも分かり、企画を進めました。周年を待ってもいいのですが、ターゲットのことを考えると、今しかない!と思っていました」

 第1弾として「重甲ビーファイター」の変身アイテム・ビーコマンダーの玩具「ビーコマンダー COMPLETE EDITION」を発表した。「現行の作品ではないですし、周年のタイミングでもないので、ティザーを出して、思い出していただこうとしました」とまずはティザービジュアルを発表した。発表すると、想像以上の反響があった。「潜在的なファン」が存在したことが証明された。

 ◇なりきり遊びに振り切る

 担当者は放送当時、玩具を購入して遊んでいたという。大人向け玩具の開発のため、昔の玩具を手にしたところ違和感があった。

 「もちろん格好いいのですが、27年もたっているので、自分の中で思い出補正もあって、変身音を聞いて、あれ!?となったんです。それがヒントになりました。大人向けに出すのであれば、劇中の変身音が鳴らないといけない。これまで大人向け玩具で培われた技術を投入しようとした。外観を再現することはもちろん、思い出補正されている部分を表現しようとしました。なりきり遊びに振り切り、玩具の格好よさをより引きだそうとしました」

 第1弾「ビーコマンダー COMPLETE EDITION」の外観は、墨入れ塗装によって“重甲感”のある見た目に仕上げた。ミニヒーロー(フィギュア)を番組や当時の資料を基に新規造形した。ウイング部分展開時に現れる基板は、放送当時の玩具がシール貼りだったのに対し、3層構造に変更することで、立体的になった。本体裏面部分にも新たなディテールを追加した。ブルービート、ジースタッグ、レッドルそれぞれのカートリッジを取り換えることで、キャストの音声が流れ、発光する。付属する各ビーファイターのミニヒーローは、彩色したものに加え、クリア成形版も付属。本体にクリア成形版をセットすることで、劇中同様にミニヒーローが発光する。

 「昔の玩具は子供向けのサイズだったので、107%と大きくしました。当時子供だった方が大人になって持ちやすいサイズにしています。遊ぶことを前提にデザインを調整しました。裏面は、昆虫の腹部をイメージしたデザインなのですが、ディテールを追加して、よりマッシブな印象に仕上げました。当時はなかった遊びを追加しています。クリアカラーのフィギュアをセットすることで、変身シーンの発光状態を再現しようとしました。飾る時はカラーのフィギュアを入れます。当時できなかったことをやろうとしました」

 ◇今だからできる技術をふんだんに

 第2、3弾もそれぞれの商品に合わせた新機能を追加し、“思い出補正”を具現化しようとした。

 第2弾「インプットマグナム COMPLETE EDITION」は、劇中の銃撃音を再現した「劇中モード」などのほか、「ミッションモード」と搭載しているのが特徴だ。「ミッションモード」は、ブルービートからの「ジャマールが現れた!町の人が危ない!ビームモードで応戦だ!」などの指示に合わせて、キーボードでコマンドを入力する。正しいコマンドを入力すると成功時の音声が鳴り、コマンドを間違えた場合は失敗時の音声が再生される。9種のシナリオを収録する。

 第3弾となる「ビーファイターカブト」の変身アイテムの玩具「コマンドボイサー&インセクトコマンダーユニット COMPLETE EDITION」は、音声認識機能を搭載。、音声に合わせて効果音が鳴る。音声ワード認識数は60種以上にもおよぶ。

 「これまで大人向け玩具が発売されてこなかったこともあり、自由度が高いですし、外観を再現しつつ、アイテムごとに新たな遊びの要素を入れようとしました。今だからできる技術をふんだんに入れました。それぞれのアイテムの特徴を捉え、機能を拡張し、遊び倒していただける商品を目指しました」

 今後の展開も気になるところだが「おかげさまで第1弾の反響が大きく、第2、3弾を発表できました。今後の展開は第3弾の反響次第になりますので、ぜひよろしくお願いいたします!」と語る。

 10月28~30日に東京ドームシティ内の「Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)」(東京都文京区)で開催される“なりきり玩具”をテーマとしたイベント「NARIKIRI WORLD」では、3商品が一堂に会する。ぜひ、その目で、27年の時を超えて誕生した“新たな伝説”を確認してほしい。

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