全領域異常解決室
第7話 すべてお話します 物語はここから始まった
11月20日(水)放送分
2023年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」のヒロイン(主演)に、女優の趣里さんが選ばれたことが10月17日に発表された。2471人の応募があったというオーディションによる選出で、大阪放送局制作の朝ドラでは、2021年度後期「カムカムエヴリバディ」の上白石萌音さんと川栄李奈さん、2022年度後期「舞いあがれ!」の福原遥さんに続いて、3年連続でオーディションから朝ドラヒロインが誕生した形だ。キャスティングによる起用が続いていた一時期に比べると、朝ドラのヒロインオーディションというものが復活しつつあると言えるのではないだろうか。
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かつて「若手女優の登竜門」と言われることの多かった朝ドラ。そういった側面を視聴者に印象付けてきたのが、ヒロインオーディションだ。ここ10年でいうと、2013年度前期「あまちゃん」ののんさん以降、2015年度前期「まれ」の土屋太鳳さん、同後期「あさが来た」の波瑠さん、2016年度前期「とと姉ちゃん」の高畑充希さん、同後期「べっぴんさん」の芳根京子さん、2017年度後期「わろてんか」の葵わかなさん、2018年度前期「半分、青い。」の永野芽郁さんが、10代後半から20代前半のときにオーディションによってヒロインに抜てきされ、それぞれの作品を通じて大きく知名度を上げた。
また、2014年度後期「マッサン」のシャーロット・ケイト・フォックスさんのように、“朝ドラ初の外国人ヒロイン”も誕生した。
その後、朝ドラのヒロインオーディションが途絶えてしまう時期が。2018年度後期「まんぷく」の安藤サクラさん、2019年度前期「なつぞら」の広瀬すずさん、同後期「スカーレット」の戸田恵梨香さんと3作キャスティングが続き、2020年度後期「おちょやん」の杉咲花さん、2021年度前期「おかえりモネ」の清原果耶さん、2022年度前期「ちむどんどん」の黒島結菜さんといった若手実力派も、オーディションなしで次々と“一本釣り”された。
東京放送局制作に限って言うと、主演という意味での朝ドラヒロインオーディションは「半分、青い。」を最後に長らく行われておらず(2020年度前期「エール」の二階堂ふみさんはオーディションによる選出だが、同作の主演は窪田正孝さんだった)、外野から見ると大阪放送局制作に比べて消極的な印象を受けるが、果たして……。
いずれにせよ、「ブギウギ」のヒロインに選ばれた趣里さんには大いに期待したい。それは趣里さんが、募集要項の年齢制限の上限ギリギリ(現在32歳)だった点、朝ドラヒロイン候補としてさまざまな女優の名前が挙がる中、少々ノーマークだった点を含めて、オーディションによる“抜てき”というものの可能性を、まだまだ感じさせてくれる人選となったからだ。
趣里さんは、NHKによると「オーディションで選ばれたヒロインとしては最高齢ではないか」という話だが、この辺りにも朝ドラヒロインオーディションの存在意義が見え隠れしているように思えてならない。
10月17日に大阪で行われた会見では、「自分にはまだチャンスがあるんだ、これが最後のチャンスだと思って挑戦させていただきました」と自身4度目の朝ドラヒロインオーディションに挑んだ理由を明かしていた趣里さん。
水谷豊さんと伊藤蘭さんの長女でありながら、“親の七光り”に頼らず、地道に作品を重ねてきた中でつかんだ“大役”。「東京ブギウギ」や「買物ブギー」など数々の名曲を歌った戦後の大スター・笠置シヅ子さん(1914~85年)がモデルのヒロインを、趣里さんがどう演じてくれるのか。今から楽しみに待ちたい。
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