名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
白川紺子さんのファンタジー小説が原作のテレビアニメ「後宮の烏」。原作は集英社オレンジ文庫(集英社)から刊行されている“中華幻想譚(たん)”で、若き皇帝の夏高峻(か・こうしゅん)に仕える宦官(かんがん)である淡海(たんかい)役の岡本信彦さんら豪華声優が出演していることも話題になっている。主人公の柳寿雪(りゅう・じゅせつ)、高峻らメインキャラクターを支える役どころの淡海を演じ「あんばいの難しさ」を感じたという岡本さんに、作品の魅力、サブキャラクターを演じる上でのこだわりを聞いた。
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「後宮の烏」は、若き皇帝・夏高峻がある依頼のため、後宮の奥深くで暮らし、烏妃(うひ)と呼ばれる柳寿雪を訪れるところから物語が始まる。寿雪は不思議な術を使い、幽鬼(ゆうき)と呼ばれる死者の霊を呼び出せる特別な妃(きさき)で、呪殺から失(う)せ物探しまで何でも引き受けると言われていた。2人が出会ったことにより、歴史をも覆す“秘密”が暴かれることになる。TOKYO MXほかで放送中。
アニメは、美しい映像はもちろん、キャラクターたちの過去、後宮に秘められた国を揺るがすような秘密が次々明らかになる壮大なストーリー展開も魅力の一つとなっている。
「原作を読んだ時は、『美しい作品』と感じました。寿雪と高峻という達観をした、常人ではない2人の恋ともまた違う人間模様が魅力の作品なのかなと。第2話では、高峻が寿雪に『私の妃にならないか?』と言っていましたが、そういうドキッとしたシーンもありつつ、二人が絶妙な距離感のままストーリーが進んでいくようなみやびな感じがずっとあるイメージです。日本の話ではないのに、わびさび感があるというか。また、ファンタジーとリアルの要素の混ざり具合も絶妙で『こういう人物が実際にいたのかもしれない』『こういう歴史があったかもしれない』と思わせてくれるのも魅力です」
岡本さんが演じる淡海は、人当たりがよく情報収集が得意で、同じ宦官の衛青、温螢(おんけい)と比べると、肩の力が抜けた軟派な印象もあるキャラクターだ。
「高峻に仕える一人ではあるものの、真面目なのか不真面目なのか分からないラフな人というイメージが強く、つかみどころがない。そんな印象があります。収録では、『悪い人のように聞こえる』と言われることも多くて、あんばいが難しかったです。ひょうひょうとしているからこそ、何かをたくらんでいるように聞こえてしまうっぽくて、軽薄さをどこまで表現するのか?というのが難しいところではありました」
岡本さんは、「僕のヒーローアカデミア」の爆豪勝己役、「ハイキュー!!」の西谷夕役など、さまざまな作品で人気キャラクターを演じているが、作品を脇で支えるバイプレーヤーとしての演技も魅力的だ。「後宮の烏」の淡海役では、「あまり前に出ない」表現を意識したという。
「作品の中でのポジション、ひょうひょうとしているキャラクターを考えると、見ている人に『この人、横にずっといるけど何なんだろう? 気になるな』くらいのテイストで終わらせるにはどうしたらいいんだろう?と考えて演じています。もちろん、埋もれたらまずいと思うんですけど、出すぎるといびつになってしまうので、バランスをとるキャラクターという感じです」
岡本さんが話すように「あんばいが難しい」キャラクターといえるのかもしれない。「埋もれず出すぎない」表現とは?
「僕の中で言うと、遊び心に近いです。例えば、前に出るキャラクターを演じる時は、その個性を色濃く出そうとするんです。淡海はひょうひょうとしているキャラクターで、もしメインで登場する場合は、急に“ひょうひょうとしていない”部分を見せようとしたと思います。でも、今回はそれは決してせず、引いた芝居をしました。あくまで一人の宦官として任務を全うするかのごとく、あまり個性を出さないようにしていたかもしれません。含みを持たせすぎると、見ている人は『この人、最終的に何かあるんだ』と思う。その『何かあるんだ』が強すぎちゃうと、ちょっと問題ありかなと。制作の方々からすると、それは求められていないと感じたので、出さないようにしました。個人競技でもありチームプレーでもあるという相反する部分がアニメの現場にはあります」
「後宮の烏」には、寿雪と高峻、淡海ら後宮の人々のほかにも、さまざまな魅力的なキャラクターが登場する。岡本さんが注目しているのは、石田彰さん演じる謎のキャラクター・封宵月(ほうしょうげつ)だ。
「宵月がたまらないです。このアニメシリーズの中で宵月の存在がかなり大きいというか、みやびできれいな物語の中に一石投じてくれる。そんなキャラクターだと思います」
アニメも終盤に差し掛かり、「怒涛の展開になる」と岡本さんは見どころを語る。物語の行く末を最後まで見守りたい。
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