これまで数々のヒット作を打ち出してきたフジテレビの“月9(月曜午後9時)”ドラマ。「東京ラブストーリー」「ロングバケーション」「ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~」など、多くの恋愛ドラマが放送されてきた枠でもあるが、現在はかつての「月9=恋愛ドラマ」というイメージから変化している。放送中の「女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~」をプロデュースする野田悠介さんが“令和の月9像”について語った。
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「フジテレビといえばトレンディードラマ、恋愛ドラマという時代があり、実際に2010年あたりまでは月9でも恋愛ドラマが大半を占めていました」と語る野田さん。「それから2020年代にかけて『HERO』や『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』、『ガリレオ』の続編も放送され、恋愛ドラマ以外の作品が増えていったように感じます」と振り返る。
現在、放送されている「女神の教室」もロースクール(法科大学院)を舞台にしたリーガル青春群像劇。真相解明を目指す単なるリーガルものとは違い、法曹界で活躍する人々たちがどういった道のりをたどってきたのか、という過程も描いているのが特徴だ。
「月9=恋愛ドラマ」から変化したきっかけは、月9ドラマを「より万人の方に届けたい」という思いにあった。野田さんは「視聴者の間口の広さを考慮していった結果、こういった変遷になっていったのだと思います」と分析する。
さらに、現在の月9ドラマでは「さまざまなジャンルの作品を出していくのがいいんじゃないかと考えています」と明かす野田さん。引き合いに出したのが、4月期に放送される「風間公親-教場0-」だ。
これまでスペシャルドラマとして放送されてきた「教場」シリーズでは、警察学校を舞台に冷徹無比な教官・風間公親(木村拓哉さん)と生徒たちの姿を描いてきた。最新作となる連続ドラマでは、風間が警察学校に赴任する以前、刑事指導官として新人教育に当たっていた時代を描く。
「教場」シリーズといえば、木村さん扮(ふん)する風間の迫力や、作品全体に漂う緊迫感など、骨太で重厚な作品としても話題を呼んでおり、野田さんは「昔の月9とは全く違うイメージだと思います」と話す。発表時には、木村さんも「ちょっと大げさな言い方になってしまうかもしれませんが、“フジの月9”っていうあの空気は、今回全部入れ替わると思います」と、コメントしていたほどだ。
“異例”とも言えるジャンルの作品を月9ドラマとして放送することになるが、「一つのカテゴリーにとらわれずに作品をお届けしていけたら」という野田さんの思いを証明する機会になることだろう。
ジャンルを多様化させる理由には、昨今の配信コンテンツの充実も関係しているという。
「テレビ局としてもいろいろなものを提案していく必要がある。だからこそ、一つの形にとどまらず、挑戦していくことが大事なんじゃないかと思います」
一方で、「かと言って、恋愛ドラマから離れたいというわけではありません。今後ラインアップされる可能性ももちろんあると思います。他のジャンルの作品に恋愛要素を盛り込んだり、昔と今の形の融合もありだと感じています」と告白。
チャレンジし続ける中でも「週の初めである月曜日の放送だということは意識しています。『明日も頑張ろう』と思っていただけるような作品を届けていくことは大切にしたいです」と語っていた。
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