北川景子:「女優をやるために生きている」 “月9”初主演も「ピリッとしたくない」

連続ドラマ「女神の教室~リーガル青春白書~」で主演を務めた北川景子さん(C)フジテレビ
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連続ドラマ「女神の教室~リーガル青春白書~」で主演を務めた北川景子さん(C)フジテレビ

 フジテレビ系“月9”(月曜午後9時)枠で放送中の連続ドラマ「女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~」で、主演を務めている北川景子さん。ロースクール(法科大学院)を舞台にしたリーガル青春群像劇で、「人を知らなければいい法律家にはなれない」という信念を持つ裁判官・柊木雫を演じている。座長ながら「いつも通りにしかできない」と語る北川さんに、主演としての思いや心構え、キャリアを重ねる中で感じた女優への思いの変化などについて聞いた。

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 ◇クランクインしたら「気負うことなくなった」

 ドラマは、青南大学法科大学院の派遣教員として働くことになった裁判官の柊木(北川さん)が、司法試験合格という目先のゴールのための授業ばかりという現実に違和感を覚える。そこで法曹界の未来をよりよくするために“人を知る”授業を繰り広げるというストーリーだ。

 放送前の取材では「自分が引っ張っていかなきゃとか主演だからとか若い子たちに気を配らなきゃと結構ガチガチだった」と話していた北川さん。撮影が進む中での心境について、「結局、何もしていないです」と恥ずかしそうに笑う。

 「『自分がちゃんとやらなきゃ』と思っていたけど、クランクインしたらスタッフさんは知っている方ばかりで楽しくなっちゃった。そこからはそんなに自分がやらなきゃとか引っ張らなきゃと気負うことはなくなりました」

 北川さんがそう思えたのは、共演者たちの存在も大きかった。「学生役の子たちは自分の役を自分らしく自然とやっていて何も言うことはないし、みんな真面目。最近の若い子は、こんなに大人なのかと思い、やることがそんなになかったですね」と驚いたという。

 ◇自分の“座長道”は「いつも通り」

 北川さんについて、本作のプロデュースを手がける野田悠介さんは「気さくなところは変わらない」と話し、学生役のキャストも「気さくに話してくださる」と語っている。北川さんに座長としての心構えを質問すると「いろんなタイプの主演の方を見てきましたが、いざ始まると自分のいつも通りにしかできなかった」という答えが返ってきた。

 「人それぞれやり方がまったく違い、(『HERO』で共演した)木村(拓哉)さんには木村さんのやり方があるし、(『太陽と海の教室』で共演した)織田(裕二)さんには織田さんのやり方があって。誰かのように自分も頑張らなきゃというのは大変なので、いつも通りでいいのかなと思いました」

 北川さんの言う「いつも通り」。その意図を聞くと「自分が主演の連ドラは基本的に楽しくやりたい。撮影は長丁場なので、みんなが楽しくコミュニケーションをとりながらできれば。ピリッとしたくない」と説明し、「緊張感があるとやりたいこともやれないし、特に若い役者さんは萎縮しちゃうと思う。それが自分のやり方かもしれません」と明かす。

 「主演かどうかに関わらず楽しくやりたい。もっと言うとプライベートだからとか、仕事だからとか、そんなに変わらない」といい、「もちろん(自分以外に)主演の方がいるときは立てたりわきまえたりしますが、作品や立場で現場の居方は変わらないですね」と常に一貫したスタンスだと語る。

 ◇初挑戦には不安抱かず 「期待しかない」

 北川さんは女優デビューから20年近いキャリアを重ね、さまざまな「初めて」に挑んできた。今回も“月9”初主演となったが、不安を感じることはあったのだろうか。

 「何かを決めるときは期待しかない。楽しみしかない」と話すも「ドラマの場合、放送が始まると、自分たちが届けたいと思っていることがきちんと届いているかどうかに対して、焦ったり心配になったりすることはあります」と率直な思いを明かす。

 しかし、仮に焦りを感じても「結局ぶれない方がいい。イン前に考えた通りにやった方が良く、最初にプロデューサーが考えていたことを初志貫徹で最後までやることが連ドラでは良いと思っています」と持論を語り、「今回も不安はありません。現場は楽しいし、野田さんの伝えたいことが伝わっていく構成で、自信を持って届けられます」と胸を張る。

 ◇活動の原動力は「必要ない」 子供の存在に感謝

 そんな北川さんにとっての活動の原動力について聞いてみると「これが自分の生きがいだから、原動力は特に必要ないです」ときっぱり。「女優をやるために東京に出てきたので、何か特別な原動力がないとできないことではありません。これをやるために生きているという面もあります」

 女優業に対しては「やめた方がいいのかなとか、向いていないのかなとか、多分みんな考えると思うし、自分も考えたことがある」と明かし、「モデルの方が向いていたかなとか、下手の横好きなのではと思うこともあるけど、やめたいとか休みたいとかはなく、仕事が好き。きっとこの仕事じゃなくても仕事に対して真面目に働くタイプだと思います」という。

 仕事が生きがいだからこそ、「仕事がなくなったときの原動力が逆に心配。いまは子供がいるので、稼働していない期間に心配になるし、そろそろ現場に出たいとも思う」と話すも「生きる上で、子供が初めて仕事以外の原動力になりました。(原動力が)二つになったから、生きる上では良かったですね」と子供の存在に感謝する。

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 ドラマのクライマックスに向けて、「風見刑事(尾上松也さん)に相談されていた事件に動きがあり、風見さんの思惑も明らかになります。私は当初、守宮学院長役の及川(光博さん)に裏があるのかなと思っていたけど、まさか松也さんが。学生たちの司法試験の結果や、私(柊木)と藍井先生(山田裕貴さん)がどうなるかも見どころ」とアピール。

 そして、「今まで広げてきたことが回収され、後半はスピード感のある物語に。サスペンス要素も入ってきて、今までと少し違うテイストもあるので楽しみにしてほしい」と呼びかけた。(取材・文:遠藤政樹)

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