この素晴らしき世界:脚本家・烏丸マル太の正体はプロデューサー 「30年間温めた企画」を放送中 ドラマにかける思い聞く

ドラマ「この素晴らしき世界」の一場面(C)フジテレビ
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ドラマ「この素晴らしき世界」の一場面(C)フジテレビ

 俳優の若村麻由美さんが主演を務める連続ドラマ「この素晴らしき世界」(フジテレビ系、木曜午後10時)。ドラマの脚本を手がける正体不明の人物「烏丸マル太」が誰なのか、ドラマ好きの間で予想合戦が巻き起こりSNSをにぎわせたが、その正体はドラマを手がける鈴木吉弘プロデューサーだったことが判明。今後の展開やドラマに込めた思いについて、鈴木さんら作り手側に話を聞いた。

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 ◇「大人世代のコメディーがやりたい」主人公の年齢設定を変更

 ドラマは、スーパーマーケットでパート勤めをする平凡な主婦・浜岡妙子(若村さん)が、スキャンダルをきっかけに国外逃亡した大女優・若菜絹代(若村さん二役)になりすますことを依頼され、二重生活を強いられるコメディー。

 実は、ドラマの企画自体は30年前から温めていたという鈴木さん。「その時は、主人公が若い世代。20代前半ぐらいのアイドルが失踪する話を作ったんです」と明かした。

 今回、“木10”の枠で大人をターゲットにしたドラマを制作することになり「大人向けのドラマって、社会性が強すぎるもの、グロテスクな人間の感情を描くものがどうしても多くなってしまう。だからこそ、大人世代のコメディーをやりたい。30年前の企画を、主人公を大人に変えればできるんじゃないか」と考えたという。

 脚本も担当した理由について、鈴木さんは「ありそうでない企画なので、脚本家の方と相談しながら世界観を伝えていくと時間もかかるし、自分が狙っているものと若干違うところに行く心配もあった」と説明。さらに「すでに具体的なイメージがあったので、水野綾子プロデューサーや平野眞監督と協力しながら本を作っていったほうが、当初のイメージに近いものが出来るだろうなと思って書き始めた感じですね」と述べた。

 これについて水野さんは「企画が動き始めた最初の段階から(脚本が)1話だけ書いてあって。それを読んですごい面白かったので、そのまま書いた方がいいですよって(鈴木さんに)伝えました」と振り返った。

 ◇烏丸マル太は大学時代のペンネーム

 「烏丸マル太」名義で脚本を書いたのには、どんな理由があるのだろうか?

 鈴木さんは「プロデューサーが脚本を書くときにペンネームにするというフジテレビの伝統があるんですよ。だから、験(げん)を担いでペンネームにしたっていうだけで、特に隠したいと思っていた訳ではないです」と明かした。

 烏丸マル太という名前は、鈴木さんが大学時代に8ミリ映画を作っていた際に使用していたペンネームで、家庭教師のアルバイト先が京都市の烏丸丸太町(駅名)にあったことが由来だという。

 正体を巡って予想合戦が加熱したことについては「全く知らない脚本家の名前が出たら『誰なんだろう?』という反応はあるような気はしましたけど、具体的に有名な方の名前が挙がって、ご迷惑をかけると思っていなかったので申し訳ないなって……」と語った。

 ◇今後の見どころは?

 8月17日放送の第5話から、ある大きな“事件”が動き出すと語る鈴木さん。「従業員の過重労働問題が、実は大きな事件に関わっているのではないかということが描かれていきます。妙子が見た芸能界、そして気の弱い社長・莉湖(木村佳乃さん)。この2人のタッグが、この大きな問題にどう立ち向かって行くのかが後半の流れになっていくので、楽しみにしていただきたい」とアピール。

 さらに「『Mr.Summer Time』を名乗る謎の人が本当に協力者なのか、敵なのか、それは一体誰なのかっていうところも注目ポイントです。関係なさそうな話が、後半にいくに従って絡み合っていきますし、登場人物全員がキーパーソンです」と熱く語った。

 水野さんも「敵、味方がはっきりと分かれていくのですが、誰が敵で誰が味方か、最後の最後まで分からないんです」と話す。

 最後に鈴木さんは「中盤から後半にかけて、少年マンガ的にチームがどんどん大きくなっていくので、そこも楽しみに見ていただけたらと思います」と呼びかけた。

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