岡田麿里監督:最新作「アリスとテレスのまぼろし工場」 「恋の激しさを描いてみたい」 制作秘話明かす  

「アリスとテレスのまぼろし工場」のプレミア試写会に登場した(左から)上田麗奈さん、久野美咲さん、岡田麿里監督
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「アリスとテレスのまぼろし工場」のプレミア試写会に登場した(左から)上田麗奈さん、久野美咲さん、岡田麿里監督

 アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などの脚本で知られる岡田麿里さんが監督を務めるオリジナル劇場版アニメ「アリスとテレスのまぼろし工場」(9月15日公開)のプレミア試写会が9月4日、新宿ピカデリー(東京都新宿区)で実施され、岡田監督、声優の上田麗奈さん、久野美咲さんが登場した。同作のキャッチコピーは「恋する衝動が世界を壊す」で、岡田監督は「恋の激しさを描いてみたいなと思いました」と作品に込めた思いを語った。

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 岡田監督は、恋愛作品を作りたかったと話し、「恋愛は恋より愛がえらいみたいな感じがありますが、比べられるものではないし、全く違うもの。恋は落っこちるもので、誰でもできるものではないと思います。その人のことをいい人だなと思ってじんわり好きになるのは愛に近いと思いますが、恋はいや応なく好きになってしまう、よく分からないパワーがある。恋のトリガーというか恋する衝動は世界を壊すのかなと。これまでの作品では愛情につながる恋愛を描いてきましたが、今回は恋の激しさを描いてみたいなと思いました」と制作の経緯を説明した。

 同作は、突然起こった製鉄所の爆発事故により時が止まってしまった町を舞台が舞台で、そこで暮らす人々は変化することを禁じられている。作品の世界観について岡田監督は「世代もあるかもしれませんが、私たちは変わっていくことがいいこと、変わらないことはダメなことと言われて育ってきました。当時は変わることへの焦りとか、マイナスに思ってしまう気持ちもあったのですが、今、時代的にも閉塞(へいそく)感がある中で、『変化ができないというのはこういうことなのか』と感じるようになりました。変化というものは、勝手にしてしまうものなのかなと。そういうことを描きたいと思いました」と語った。

 「アリスとテレスのまぼろし工場」は、2018年に「さよならの朝に約束の花をかざろう」(さよ朝)でアニメ監督デビューした岡田さんの最新作。平松禎史さんが副監督、石井百合子さんがキャラクターデザイン・総作画監督、東地和生さんが美術監督を務め、「さよ朝」のメインスタッフが再集結する。「呪術廻戦」「チェンソーマン」などのMAPPAが制作する。声優の榎木淳弥さんが主人公の14歳の少年・菊入正宗を演じるほか、上田さん、久野さんがメインキャストとして出演する。

 突然起こった製鉄所の爆発事故により時が止まってしまった町を舞台に、少年、少女たちが“恋する衝動”を武器に未来へ向かおうともがく姿が描かれる。中学3年生の正宗は、変化を禁じられた町で鬱屈した日々を過ごす中、気になる存在の謎めいた同級生の睦実に導かれて製鉄所の第五高炉へ足を踏み入れ、しゃべることのできない野生の狼のような少女と出会う。3人の出会いが世界の均衡を崩していく……というストーリー。

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