楠木ともり×鈴代紗弓:アニメ「ひきこまり吸血姫の悶々」 二人だから生まれたテンポ感 「変態」は褒め言葉!?

「ひきこまり吸血姫の悶々」に出演する楠木ともりさん(左)と鈴代紗弓さん
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「ひきこまり吸血姫の悶々」に出演する楠木ともりさん(左)と鈴代紗弓さん

 GA文庫(SBクリエイティブ)のライトノベルが原作のテレビアニメ「ひきこまり吸血姫の悶々」が10月7日からTOKYO MX、BS日テレで放送される。2019年に発表された第11回GA文庫大賞で優秀賞を受賞した話題作で、吸血鬼なのに血が飲めない、魔法が使えない、運動ができない、背が伸びないという引きこもりのテラコマリ・ガンデスブラッド(コマリ)が、帝国の将軍に大抜てきされ、ハッタリと幸運を頼りに快進撃を繰り広げる。コマリ役の楠木ともりさん、コマリの専属メイドのヴィルヘイズ(ヴィル)役の鈴代紗弓さんら豪華声優が出演する。アニメは、ボケるヴィルに対してコマリがツッコむシーンも多く、二人の会話のテンポ感が見どころの一つになっている。2020年からバラエティー番組「ガンガンGAちゃんねる」のパーソナリティーを務め、プライベートでも仲が良いという楠木さん、鈴代さんに収録について聞いた。

ウナギノボリ

 ◇“生”の掛け合いを大切に

 --二人は、アニメ化が発表される前から同作のPVに出演していました。

 楠木さん 「ガンガンGAちゃんねる」のパーソナリティーになる前でしたよね?

 鈴代さん 3、4年前くらいだったかと思います。

 楠木さん アニメでも同じキャラクターを演じさせていただけることがうれしいです。最初、ギャグ作品なのかな?とも思ったのですが、シリアスでもあり、いろいろな要素が盛りだくさんです。ただ、ごちゃ混ぜになっているのではなく、一つ一つがしっかりしているところが作品の魅力だと感じました。

 鈴代さん PVの時にナレーションも担当させていただき、最初は明るいナレーションだったのですが、いきなりシリアスになるんです。ギャグだけど、芯の部分はシリアスな部分も多く……ギャップに魅力を感じます。

 --ヴィルはギャップを感じるキャラクターでもあります。

 鈴代さん キャラクターは変態ばかりなのですが、その中でも変態のギャップが大きいのがヴィルかもしれません。原作の勢い、テンポ感をアニメでも大切にしようとしました。特に序盤は、コマリとヴィルの掛け合いが多いので、生で出てくるお芝居を大切にしようとしました。

 楠木さん 毎回、収録は一緒でしたが、あんまり相談しなかったよね?

 鈴代さん そうだね。

 楠木さん だから生っぽさが出ているのかもしれません。アニメでは普段、せりふがかぶってはいけないのですが、ツッコんでいると、かぶりそうになるところもあって。でもこの現場は多少かぶってもOKとのことでテンポ感をすごく重視していただいていました。

 鈴代さん 少しかぶってしまっても何とかしてくださっていたので、そこに甘えてギリギリを攻めさせていただいておりました。

 --テストと本番で演技が変わることもあった?

 楠木さん 私はヴィルのボケに対してツッコむので、ヴィルが変わったら変えていました。

 鈴代さん あまり考えすぎずに、生のお芝居を大事にしようとしていたので、変わったところも結構あったかと思います。変態さが出ているシーンで、いざやってみたらめちゃくちゃ気持ち悪い声が出た……となったり。

 楠木さん 本当に気持ち悪いんですよ。終わった後に「気持ち悪い」と言ったこともありました。

 鈴代さん ビジュアルが可愛いので、声が変態でも可愛く補完してくれますしね。ただ、この作品では「気持ち悪い」「変態」は褒め言葉なんです。

 --コマリを演じる際に意識したことは?

 楠木さん ヴィルの演技によって変わるところもあるので、あまり準備しすぎないようにしました。動きが細かく、表情がギャグっぽくなるところもありますし、動きに合わせて、どれくらいアドリブを入れる?とか。絵を見ながら判断しつつ、遊んでみたりもしています。あまり考えすぎずに、その場の空気感を大切にして、ツッコんでいる時の生き生きとした勢い、本音をしゃべっている時、ちょっと遠慮がちになっているところなど大きく差を付けたかったこともあって、そこも意識していました。

 ◇気になる二人の関係は?

 --二人のコンビネーションが大切になるんですね。

 鈴代さん 基本的に事前に打ち合わせはせずにやっていました。普段の関係値もありますし。

 楠木さん もう4年くらいの付き合いですからね。

 鈴代さん キャッチボールのように投げて、どんなボケを投げても、乗っかって返してくれるという信頼感がありますし、安心して演じられました。

 楠木さん うれしいです。投げたボールに対して、バットで打ち返す勢いでしたからね。バットで打ったものを、ラケットで打ち返してきたり、すごく楽しかったです。関係値があったからできました。

 --普段はどっちがボケ?

 楠木さん コマリとヴィルと一緒ですね(笑い)。

 鈴代さん そうですね(笑い)。

 楠木さん 紗弓はボケてるつもりがないんじゃない?

 鈴代さん そうだね。でもそんなにボケにいっているつもりはなくて。変なのかな?

 楠木さん 変だよ(笑い)。私が結構鋭くツッコんでも笑ってくれるのがありがたいです。

 鈴代さん 鋭い? そうかな?

 楠木さん ズバッと言いすぎちゃうことがあるんですよね。

 鈴代さん 言われてみればそうかも。

 楠木さん 普段の会話も漫才っぽい。

 鈴代さん 私はボケてないけどね!

 --お互いの役者としての印象は?

 楠木さん デビューした頃からすごく器用で、演じ分けに無理がないんです。遊び心もしっかりあって、何て器用な人なんだろう!と最初から思っていました。天然ではありますが、お芝居に対してストイックで、普段からいろいろなことをすごく考えていて、私も見習わないといけない!と尊敬しています。

 鈴代さん 照れますね。最初、大人っぽくて、落ち着いている印象で、すごい!と思っていました。普段のともりに近いキャラクターだとしても、中の人が透けて見えないんですよね。ともりの声ではあるんですけど、ともりじゃない。私は自由にやると、キャラではなく自分が出てしまうことがあり、それは課題なのですが、ともりはキャラを保ったまま、振り幅が広いんですよね。コマリも張りの声が気持ちよく、抜け感がすごく、しかも可愛いんです。振り切って可愛い。尊敬しています。

 楠木さん 恥ずかしいですね。

 --楠木さんは、音楽プロジェクト「MIMiNARI(ミミナリ)」のエンディングテーマ「眠れない feat. 楠木ともり」にも参加します。

 楠木さん オープニングがfripSideさんとお聞きして、すごく格好いい曲になると思ったので、可愛い曲にしたい、とお話しさせていただきました。コマリは大きいベッドで寝るので、一日戦った後にそのベッドでぐっすり眠ったり、ヴィルと本音で話すシーンだったりをイメージしました。作品の最後に流れるので、眠る前に曲を聴く人もいるはずです。気持ちよく翌朝を迎えられ、きょうが少しでもいい日と思っていただけるようにとイメージして、歌いました。

 --最後に放送を楽しみにしている人に向けてメッセージをお願いします。

 鈴代さん 死ぬけど死なない、でも条件がそろってしまうと死ぬ、という斬新なテーマがありつつ、ギャグもありシリアスもあるという「ひきこまり吸血姫」ならではの世界観に、是非“ひきこまれ”ていただけたらうれしいです!

 楠木さん “ひきこまれ”って……前からここで言おうって決めていたでしょ!

 鈴代さん そんなことないよ(笑い)。

 楠木さん ギャグ、百合、シリアス……といろいろな要素がありますが、それぞれが相乗効果で生かし合っているところが魅力です。伏線もあり、どういう展開になるの?と楽しみになる作品ですし、“ひきこまれ”ていただけるとうれしいです。

 ◇スタッフ(敬称略)

 原作:小林湖底(GA文庫/SBクリエイティブ刊)▽キャラクター原案:りいちゅ▽監督:南川達馬▽シリーズ構成:大知慶一郎▽キャラクターデザイン:下谷智之▽音楽:椎名豪▽アニメーション制作:project No.9▽オープニングテーマ:fripSide「Red Liberation」▽エンディングテーマ:MIMiNARI 「眠れない feat.楠木ともり」

 ◇キャスト(敬称略)

 テラコマリ・ガンデスブラッド:楠木ともり▽ヴィルヘイズ:鈴代紗弓▽サクナ・メモワール :石見舞菜香▽ネリア・カニンガム:ファイルーズあい▽アマツ・カルラ:島袋美由利▽カレン・エルヴェシアス:日笠陽子▽ミリセント・ブルーナイト:雨宮天▽メルカ・ティアーノ:上田麗奈▽ティオ・フラット:水野朔

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