怪獣映画「ゴジラ」シリーズの最新作(30作目)「ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)」(山崎貴監督)が全国でヒット中だ。11月3日に公開され、10日までの公開8日間で観客動員100万人、興行収入16億円を突破。12月1日には北米での公開も予定されている。2016年に公開され、興行収入約82億5000万円を記録した「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督・脚本、樋口真嗣監督・特技監督)を上回る好スタートを切ったわけだが、実は「ゴジラ-1.0」のゴジラの身長は「シン・ゴジラ」の半分以下だという。1954年に公開された第1作「ゴジラ」(本多猪四郎監督)から“伸び縮み”しているゴジラの身長に焦点を当て、解説する。
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「ゴジラ-1.0」は、1作目「ゴジラ」の公開から来年で70周年を迎えることを記念して製作。焦土となった戦後の日本に現れたゴジラが、日本を「負(マイナス)」へとたたき落とす。「ALWAYS続・三丁目の夕日」(2007年)、「STAND BY ME ドラえもん」(2014年)などの山崎監督が脚本、VFX(視覚効果)も手がけている。神木隆之介さんが主演、浜辺美波さんがヒロインを務めるほか、山田裕貴さん、青木崇高さん、吉岡秀隆さん、安藤サクラさん、佐々木蔵之介さんらが出演している。
「ゴジラ-1.0」に登場するゴジラの身長は50.1メートル。これは初代ゴジラの50メートルを踏襲している。昭和20年代前半(1945~47年)という時代設定に合わせて、当時の街並みにゴジラが登場したら恐ろしさを感じるサイズ、「簡単に命を奪われるかもしれない恐怖」を感じさせる身長に設定したという。
第1作から振り返ると、初代ゴジラで設定された50メートルという身長は、1975年に公開された第15作「メカゴジラの逆襲」(本多監督)まで続いた。つまり、昭和ゴジラシリーズはすべて50メートルと同じサイズ感だったことになる。
身長が変わったのは1984年に公開された第16作「ゴジラ」(橋本幸治監督)。ゴジラ30周年を記念して作られたリブート(再起動)作で、ゴジラが30年ぶりに日本に現れた設定のため、建造物の高層化に伴い、身長は80メートルに変更された。
同作はタイトルが第1作と同じため、通称「84ゴジラ」と呼ばれ、昭和59年の公開だが、便宜上「平成ゴジラ」シリーズの第1作とされている。ちなみに同年、「第1回東宝シンデレラ」でグランプリに輝いた沢口靖子さんが、この作品で「第9回日本アカデミー賞」の新人俳優賞を受賞した。
1989年公開の第17作「ゴジラVSビオランテ」(大森一樹監督)でもゴジラは80メートルのままだったが、1991年公開の第18作「ゴジラVSキングギドラ」(大森監督)から1995年公開の第22作「ゴジラVSデストロイア」(大河原孝夫監督)までのVSゴジラシリーズは身長がさらに伸び100メートルの大台に達している。
3桁の大台に乗ったゴジラだったが、1999年公開の第23作「ゴジラ2000 ミレニアム」(大河原孝夫監督)から始まるミレニアムシリーズでは、原点回帰で55メートルに。2001年公開の第25作「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」(金子修介監督)ではいったん60メートルに伸びるも、2002年公開の第26作「ゴジラ×メカゴジラ」(手塚昌明監督)、2003年公開の第27作「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」(手塚監督)では55メートルに戻っている。
ミレニアムシリーズ最終作で、ゴジラ誕生50周年記念作となった2004年公開の第28作「ゴジラ FINAL WARS」(北村龍平監督)だけは、集大成的な作品として、身長も当時歴代最大の100メートルに設定された。
12年ぶりに復活した2016年公開の第29作「シン・ゴジラ」は118.5メートル。これは2014年に公開された米ハリウッドのモンスターバースシリーズ1作目「GODZILLA ゴジラ」(ギャレス・エドワーズ監督)の355フィート(108.2メートル)を10メートル以上上回り、当時歴代最大となった。
だが、モンスターバースシリーズ3作目の2019年公開「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(マイケル・ドハティ監督)で393フィート(119.8メートル)と、誤差の範囲ともいえるが「シン・ゴジラ」を1.3メートル上回り、2021年公開のシリーズ4作目「ゴジラvsコング」(アダム・ウィンガード監督)でも同じ設定が踏襲された。
このように、時代設定や製作意図によって身長が伸び縮みしてきたゴジラ。巨大化もいいが、「ゴジラ-1.0」では50メートル級ならではのリアリティーや恐怖を存分に味わえた。この機会にシリーズを見直して、好みのゴジラを探してみては?
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